テラーノベル
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「なあ、花火大会行かね?」
突然のLINE。
送り主は、幼なじみの陽翔(はると)。
心臓が、どくんと鳴った。
『行く。』
たった二文字送るだけなのに、三分もかかった。
――私は、陽翔が好きだ。
でも陽翔には、好きな人がいる。
それは、私の親友の美咲。
◇
花火大会当日。
「浴衣、似合ってるじゃん」
「……ありがと」
ずるい。
そうやって、何も考えてなさそうに優しくするところ。
「美咲、来れなくなったんだって」
「え?」
「急に家の用事らしい。だから今日、俺ら二人」
胸がぎゅっと締めつけられる。
嬉しいのに、嬉しくない。
だってこれは、“代わり”だから。
◇
ドンッ――
夜空に大きな花火が咲く。
「きれいだな」
陽翔がつぶやく。
私は、花火じゃなくて、横顔を見ていた。
(今、言わなきゃ一生言えない)
「ねえ、陽翔」
声が震える。
「ん?」
「……好きな人、いるんでしょ?」
一瞬、陽翔が黙る。
「……いるよ」
やっぱり。
知ってたのに、涙が出そうになる。
「そっか。応援するね」
笑えてるかな、私。
そのとき――
「だから今日、ちゃんと伝えようと思って」
「え?」
「俺、ずっとお前が好き」
頭が真っ白になった。
「え……? 美咲じゃなくて?」
「は? なんで美咲?」
「だって、いつも一緒に……」
「それ、お前がいるからだろ」
花火より大きな音が、胸の中で鳴った。
「好きって言えなかったの、俺のほう」
涙がこぼれる。
甘くて、少ししょっぱい。
「……私も、好き」
その瞬間、特大の花火が夜を照らした。
あの夏。
好きって言えなかった時間さえ、今は宝物。
――甘酸っぱい初恋は、両想いで終わった。
コメント
2件
音透さんの作品全部胸キュンなんですけど……!神ですか…!?✨️