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そあふぃー
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そのままバンッとドアに背中を打ち付け、息を呑む。
心臓が痛いくらいに脈打っていた。頬は熱く、指先はガタガタと震えている。
(――こんな、こんな事って……)
否定しようとしても、先ほどの光景が鮮明に焼き付いて離れない。眼鏡のない切れ長の瞳。紫煙をくゆらせる薄い唇。あの、何度も画面越しに見つめた顔と、寸分違わず重なる輪郭。
「……いや、いや、いやいやいや」
ぶんぶんと首を横に振り、柊吾は自分の頬を両手でパンと叩いた。
(きっと他人の空似だ……だって、そんなはず……)
あるわけがない。そう繰り返し自分に言い聞かせながら、ポケットから取り出したスマートフォンを開いた。
薄暗い自室で、スマホの青白い光がパッと柊吾の顔を照らし出す。
震える指は、吸い寄せられるようにフォルダの奥深くに隠してある「お気に入り」のタグをタップしていた。
何度も見返し、内容はほぼ覚えてしまっている。なぜか三作品ほど出た後はぱったりと出演しなくなった、幻の男。
もし、毎晩オカズにしていたあの人が瑞樹だったら……。自分は今度から、どんな顔をして彼に会えばいいのだろうか?
(……嫌だ、確かめるなんて怖すぎる)
だったら、見なければいい。このまま画面を閉じればいい。
頭のどこかでそう分かっているのに、警告を発する理性とは裏腹に、確かめたい気持ちが指先を勝手に動かしていた。
読み込みを示すローディングアイコンがぐるぐると回るほんの数秒。
心拍数ばかりが跳ね上がり、息すら上手く吸えないほど喉が干上がっていく。
そして――見慣れたサムネイルが表示された瞬間。
「――――っ」
喉の奥で、引きつった息が止まった。
見間違えるはずがなかった。画面の中で、眼鏡をかけずにこちらを見つめる横顔。
そこに映る男は、紛れもなく――先ほどベランダで紫煙をくゆらせ、少し低い声で自分に話しかけてきた、瑞樹その人だった。
(――――ッ)
思考が、完全に停止した。
画面を食い入るように見つめたまま、柊吾は数秒間、微動だにできなくなった。
(あぁ。……深く考えちゃダメなやつだ、これ)
理解した瞬間、脳の何かがブツンと音を立てて切れた。
これ以上深く考えたら、本当に頭がおかしくなる。自分は今度からどんな顔をして彼に会えばいいのかとか、毎晩オカズにしていただとか、壁一枚隔てた隣に本人がいるだとか――そんなことを真面目に考えたら、正気を保てる自信がない。
「……よし、寝よう」
柊吾は強引に思考を打ち切った。
震える手でスマホを放り出すと、吸い寄せられるように布団へ倒れ込み、頭からすっぽりと毛布をかぶった。
(何も見てない。僕は何も知らない。全部夢だ。明日の朝起きたら、いつもの日常に戻ってるはず……!!)
ぎゅっと目をきつく閉じ、必死に現実逃避の念を唱える。
そうして泥のように眠りに落ちたはずだったのに――。
コメント
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あおいです🌷 14話、読み終わりました……! 柊吾の動揺が全身からにじみ出ていて、読んでいるこっちまで息が止まりそうでした。スマホの画面を見た瞬間の「――――っ」の空白、すごく効果的で、彼の脳が真っ白になる音が聞こえた気がします。 「深く考えちゃダメなやつだ、これ」って、もう全てを諦めたような口調なのに、布団に逃げ込む姿が愛おしくて切ない……。続きが気になって仕方ないです!