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そあふぃー
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――暗がりの中。
ふと気がつくと、柊吾は見覚えのないベッドの上に横たわっていた。
薄暗い室内、見慣れない天井、かすかに漂う甘く重いタバコと香水の香り。自分がなぜここにいるのか分からず、上体を起こそうとした――その時だった。
「酷いなぁ。……逃げなくてもいいでしょう、柊吾さん」
上空から降ってきたのは、耳元を揺らす、昼間より少し低くて甘い声。
ハッとして見上げると、覆いかぶさるような体勢で、眼鏡を外した瑞樹が自分を見下ろしていた。暗い熱を孕んだ瞳に捉えられ、体が硬直する。
「なっ……く、黒瀬さん……ッ!?」
わけが分からないまま逃げ出そうと身を捩った瞬間、両手首を頭の上でひとまとめに掴み上げられ、ベッドの上にぐっと押しつけられた。完全に逃げ場を失う。
しなやかで力強い体が上から覆いかぶさり、体温の熱がダイレクトに肌へ伝わってきた。
驚く隙もなく、瑞樹の大きな手が柊吾の薄いシャツの隙間から滑り込んでくる。熱を持った指先が腹筋を撫で上げ、胸元を弄るように優しく捏ね上げると、ゾクリとした熱い快感が背骨を駆け抜けた。
「はっ!? ち、ちょ……っ、なっ……何して……ッ!?」
「何って……いつも画面越しに、俺のこと見てたんでしょ?」
瑞樹はくすっと意悪く笑うと、柊吾の顎をすくい上げ、熱い息を吹きかけながら指先で唇をなぞった。
「本当は俺と、こういう事したくて堪らないくせに」
耳たぶを甘く噛み取られ、低い吐息が首筋へ落ちる。
気づけばお互いの衣類はいつの間にか消え失せ、素肌が直接触れ合っていた。
太ももの間に滑り込んできた瑞樹の硬い膝が、柊吾のいちばん過敏な部分をじわじわと圧迫していく。締め付けられるような甘い刺激に、柊吾の喉からくぐもった艶っぽい喘ぎが漏れた。
「んっ……ぁ……っ」
「いい声……もっと聴かせてよ」
戸惑う暇すら与えられず、画面越しに何度も見て憧れた、あの色っぽい薄い唇がゆっくりと自分の唇へと重なり――
「――――ッッ!!??!?」
跳ね起きると同時に、自分の喉から間抜けた悲鳴が飛び出していた。
「はぁッ、はぁッ、はぁ……ッ!!」
バクバクと、壊れそうなほど激しく打つ心臓。荒い息を吐き出しながら、柊吾は汗ばんだ体でがばりと体を起こした。
カーテンの隙間から、容赦なく朝日が差し込んでいる。
(……え? うそ……夢、か……?)
全身を包む不快な汗と、肌に残る夢の中の熱っぽい感触。
ハッと我に返った柊吾は、顔を青くしながら、勢いよく自分の下半身の布団をめくって覗き込んだ。
(……頼む、何も起きていないでくれ……ッ!!)
祈るような気持ちで視線を落とした――次の瞬間。
「――――……ッ!?」
柊吾は絶句した。
夢だったことに心底ホッとしたのも束の間、そこには夢の中の情事の余韻をガッツリ引きずり、元気いっぱいに主張してしまっている情けない己の姿があった。
(……う、嘘だろ……なんで、なんで夢に出てきたうえに……反応してんだよ……ッ!!)
あまりの衝撃と羞恥心に、柊吾は勢いよく布団を被り直すと、頭を抱えてベッドの上でゴロゴロと悶絶した。
(欲求不満かよ、僕は……ッ!! 違う! あの人はただの隣人で! 抱かれたいだなんて思ってない! ……思って、ない……よな……?)
一瞬、自分自身の心に疑念が芽生え、急激に自信がなくなってボヤく。
(そりゃ、実際にどんなふうにするのかとか、気になってないとは言えないけど! でもっ、あの人の職業がなんであれ、ただの隣人なんだから! そんな雰囲気になるなんて絶対あり得ないって!!)
頭の中で本音と建前がぐちゃぐちゃにぶつかり合い、大惨事巻き起こしている。
(それなのに、なんで僕の体はあいつの顔を思い浮かべてノリノリになってんだよバカか!! 自意識過剰どころの騒ぎじゃないだろ!!)
猛烈な自己嫌悪と羞恥の嵐が押し寄せる。
自分の身体の素直すぎる(そして意志に反する)反応に頭を抱えながら、朝日が昇る自室で、柊吾のパニックは完全に底なしの沼へとハマっていくのだった。
コメント
1件
ちょっと待ってそれ!!!夢オチのどんでん返しからまさかの現実での反応まで全部エモすぎるんだけど😭💕 瑞樹さんの覆いかぶさりセリフ「酷いなぁ。逃げなくてもいいでしょう」で完全に心臓持ってかれた…眼鏡外したギャップが天才すぎるでしょ!! で、目覚めた後の柊吾さんの悶絶が可愛すぎて笑ったけど、その必死に否定する感じが逆に自覚フラグでしかなくて沼ですわ…次の話が待ちきれない🫠💦