テラーノベル
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陽の光は…どんなに明るかっただろう…。もう、
ここ《牢屋》からも出られない。あぁ、最後に家族の温かさを知りたかった…。一筋の光が見える中。俺は気を失った。神様でも舞い降りたかとその時は思ったものだ。そして、ここがこの物語の初めでもあった。
アルデ王国フィアル城、そこで俺は育った。アルデ王国第1王子である俺は、もうすぐこの国の権力を握る。妹は俺より15も違う。なので、自動的に権力争いなどには参加せず、第1王子であるこの俺が王位継承者となっている。国王である父は、嫌いだ。王にさせたがる。母は、とても天然でゆるい人だ。これが俺の家族。ある日、俺は村の偵察へと古びた村へ足を踏み入れた。すると、ほとんどが壊滅状態にあり。そこで一つだけ鉄で囲まれた建物がそびえ立っていた。恐る恐る開けると。そこには少女がいた。正直可愛いと思った、今にも意識が飛びそうだ。そうこう思っていると、少女の方が意識が飛んでしまった。妹と同じくらいだろうか、そんな女の子が何故ここに…、しかもなんだこの体にはられている御札の量は、すべての四肢に御札が1枚ずつはられている。両目にも包帯の上からはられており、それぞれ見た事もない字が書かれていた。俺は少女を抱え、丸1日かけ城に戻った。父は、驚きながらも俺の事情を聞いてくれた。母は、口ものを手で押えて悲しげな顔をしながらも頷きながら答えてくれた。妹は不思議そうな顔をしていた。そして父が、驚くことを口にする。
「その子をうちの子にしよう」
と言い出したのだ。そう言い出したとき、少女は既に起きていたようで、ピクっと体を動かした。俺は、恐る恐る少女を下ろす。すると自立したので、俺は少女の顔を伺いながら。
「お父様?」
と、俺はもう1回言うように促す。すると父は不思議そうな顔をし。
「え、だから、その子をうちの子にするって」
と、言っていた。父は顔を掻きながらそう言っていると。まもなく少女が父の方を向き。
「は?」
と言った。まるで予想もしていなかったかのように。この子はどう見ても日本の子だ、そんな子をうちの子にするなど、父は頭でもイカレてしまったのだろうか?父は言い分を求めるかのように手を前に出していた。少女はそれを読みとったのか。
「なっ!なんで俺があんたの娘にならなあかんのや!そもそも!ここはどこや!俺は、まだ罪を償ってない!」
と訳の分からない言葉を使って話す。父はどうやれ言葉がわかったのか、うんうん…と顔を頷かせる。俺は少女の言葉がわかったのか聞くと
「いや!まっっっっったくわからん!!!」
と自信満々に言っている。どうやら本当に日本人のようで。少女は、頭を搔いたあと。魔法を使った、その時の顔はまるで罪悪感に満ちているような…。なぜだ?魔法は俺らの世界では当たり前のはず。そうか、昔聞いたことがある。俺の行った村は代々日本人がこの世界に召喚されたところから始まった。多分この子は純粋な日本人、と言うやつだ。少女は、魔法が終わったのか話そうとする。そういえばこの子…詠唱は…。と思い。父の方を見ると驚いていた。そぅ!これは無詠唱魔術だったのだ。そして、俺は少女に問いかけた。
「君!詠唱は!?どういうこと!?」
と言うと、少女は。「詠唱?」と少し疑問系だった。
この男は何を言っているのだろう?詠唱?魔法のことだろうか。そんなものを俺が使えるはずがない。だってこれは、陰陽師の力で今使ったのは「言」なのだから。それを俺が使えるだけ、まだ俺は俺のことを好きでいれる。この力だけは認めてもらっているのだから。そうして俺は…俺は、忌み子と言われぬよう…。俺は急な吐き気に襲われた。まるでこれまでの行いを否定するかのような。
すると、母が口を開いた。俺は急に丸まってしまった少女を見つめながら、母の言葉に耳を貸した。
「カルリ、その子を後で私の部屋まで連れてきて」
といい、その場を去った。少女は、青ざめた顔をしながらも。 「カルリ?」と疑問形で俺の名前を口にした。そう、カルリ・A・スチアルーテこそ、俺の名前だ。そう口にしながら、俺は少女を母の部屋へと向かった。
カルテは、あの女の子を娘にすると言ったわ…。私はあの子が気に入った。だから、今からあの子を大変身させる。それが、私のしたいこと。あの人《カルテ》と結婚すると決めた時。あの人は、
「俺と結婚したら、好きなことをさせてやる」
そう言ってくださった。あの人は、政略結婚に同意していると最初は思った。よくお話であるのだけれど、政略結婚をすると。叩かれたり、蹴られたりするらしいの。私は、それを覚悟した。なのに、あの人は叩くどころか、すごく私のことを気遣ってくれた。結婚してすぐ第1子であるカルリが生まれたわ…。だけど、15年ほどご無沙汰で。あまり二人の時間を作れなかった。それから、やっと時間を作れた。その1ヶ月後、チアルを授かったの。そうして、髪の毛を整えたりアレンジしたりお世話したりしたかったのだけれど。あの子たちはそういう訳には行かなくて。どうやらカルリもあの子のことが気になっているみたいだし、私はあの子たちを応援する。そうこう思っていると、カルリが女の子を連れてきた。
ー1時間後ー
俺は父に命じられ、少女を迎えに行った。どうやら盛り上がっているようで、俺は聞き耳を立てた。
「あなた18だったの!?」
「はい」
まさかの歳に俺は少しガッツポーズを決めてしまった。なぜだろう?
「ねぇ、あなたの名前は?」
「…りな」
「じゃぁ、これからはシュリナと名乗りなさい」
と、少女の名前を決めたようだ。するとシュリナはこちらへ来るようで、急に扉が開けられた。シュリナは、呆れているのか。
「なにしてんの、お兄様…」
と俺のことだろう。そう言って俺に握手を求めてきたように見えたので手を掴むと、俺の体が浮いた。すると人差し指を口に付けていた。そして、シュリナは。
「お兄様、足つけな」
と言っていて。俺は足をつけるとゆっくりと浮いていた体が、俺の体重へと変わる。
そして、シュリナと共に父の元へ帰る。すると父はシュリナの元へ近寄り…
顔をスリスリしていた。シュリナはまた呆れた顔で父の足蹴にする。態度の悪い妹が増えてしまった。と俺はガッカリする。しかも、この年齢的には王家継承者のひとりとなるだろう。つまり、俺と権力争いをすることになる。
さて、これからどうなってしまうのだろう?
すると、奥から白髪の女性が現れる。そして
「よ、よろしくお願いいたします。」
と礼儀正しくシュリナに言った。
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