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「やあ敦くん!今日も一段と可愛いねぇー!」
「ウザイです辞めてください」
「今日もツンデレだねぇ〜!」
「デレてないです」
「おい太宰、敦にちょっかいかけんなよ」
「おや蛞蝓、居たの」
「さっきからずっと居たわ!!」
また喧嘩が始まった。
今日は何時もより暑いから
疾く学校に行きたいのに……
「御二人共、人虎が困っておりますよ」
「「はっ!」」
「すまないね敦くん、疾く行こうか」
「すまん……」
「あっ、いえいえ!」
「あ、敦くんおはよう」
「おはようございます谷崎さん」
「……今日も騒がしいね……」
「あはは……」
僕の後ろで再び喧嘩を始めた二人と、
其れを宥める芥川という光景だった。
クラスの人達は何時もの事か、と、そっぽを向いていた。
「お前ら〜席つけ〜」
チャイムと同時に教室に入って来た先生が云った。
「お前らも喧嘩すんな〜」
「それに太宰、お前は生徒会役員だろ」
そうだった……この人、生徒会だった……
何時も奇行ばっかで忘れてた……
此の前だって「虹色のゾウリムシ」なんて云ってたし……
兎に角、太宰さんは変人だ。
「生徒会だるぅ〜……」
「立候補されたんでしたっけ?」
「そうだよ〜……あの蛞蝓に……」
また出た……
恐らく、嫌がらせで立候補したのだろう。
何とも賢いのか馬鹿なのか……
「あ、着きましたよ、生徒会室」
「だる……」
「遅い!四十二分遅れだ!」
「それくらいいいじゃないか」
「大体、私は会計だから、そんなに重要じゃあるまい」
「重要だわボケ!!」
この人は国木田さん。
副会長だ。
「おや、敦も来たのかい?」
彼女の髪でキラリと輝く蝶。
其れが何時も美しく思え、癒される。
この人は与謝野さん。
成績優秀で才色兼備なんだけど……
趣味が「解剖」らしい。
生徒会広報だ。
「ん?敦、怪我しているじゃないか」
「妾が治してやろうか?」
「いえ結構ですっっっ!!!」
「チッ、残念」
もう絶対この人には治療してもらいたくない……
「敦、何時も太宰がすまんな」
「いえいえ!」
「今度、お詫びに何か奢らせよう」
「へっ!?いいんですか!?」
「嗚呼」
「有難う御座います!福沢さん!」
この人は福沢さん。
生徒会長。
とても優しい人だ。
「は〜!やっと会議終わった〜……」
「長かったですね」
「そうだね、でも、良かったかも」
「え?」
何時もなら「怠かった」等と云うのだが……
「教室、誰も居ない」
夕日が窓から入り、何時もおちゃらけた雰囲気の太宰さんを
違う人かの様に思わせる。
風に吹かれカーテンが舞う。
それと同時に、太宰さんの唇が、
僕の唇と重なった気がした。
「何時も、本気で云ってたんだから」
「さっ、帰るよ」
なんだか人肌が恋しくなり、
今日は太宰さんと手を繋いで帰った。