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 フロアをあとにしたセシリアは、重い扉が閉じた瞬間にドレスの裾を持って駆けだした。
 走って、走って、胸にあるモヤモヤを振り払うように走り続け――気付いたら庭園の中心部にいた。
 ライトアップされた噴水を眺めていたら、呼吸が次第に落ち着き始める。
(夜風が頬に触れて気持ちいい……)
 水の音には人の心を癒す力があるという。
セシリアの心も夜風を感じるまでの余裕が生まれたが、それも長くは続かない。
 いたずらな雲が満月を隠すと同時に、セシリアの表情もふっと曇る。
「一緒に踊れるかもって思っていたんだけどな……」
 お似合いだと囁かれていた二人を思い出し、胸の奥がちくりと痛む。
 ギルベルトは昨日、頬をほんのりと染めてこう言った。
 ――明日の夜会だが、もしよければ、その……。
 フランツに遮られて最後まで****************************

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