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築留ヶ関東工業大学附属高等学校――通称「築留工業」。その狭い校内には、男子たちの煩悩と執念によって作られた非公式の**『築留かわいい女子ランキング』**が存在していました。
これまで怜也を取り合っていた第3位の鶴森茜、そして幼なじみの第2位の高知由奈。この二人だけでも十分に「命がけ」だった怜也の日常に、ついに「最後の審判」が下ります。
降臨。ランキング第1位の「絶対女王」
ある日の昼休み。全校男子の視線を一身に集めながら、一人の女子生徒が怜也の教室を訪れました。
第1位、西矢心美(にしや ここみ)。
漆黒のロングヘアに、吸い込まれそうな大きな瞳。清楚な見た目とは裏腹に、彼女は「自分に釣り合う男などこの世にいない」と豪語し、数多の告白を秒で切り捨ててきた、築留工業の「絶対零度の女神」です。
「……あなたが、長島怜也くん?」
心美が怜也の目の前に立つと、教室中の温度が5度下がったかのように静まり返りました。怜也は「(ひぃっ、ついにボスキャラが出てきた!)」とガタガタ震えます。
「はい……僕が、長島ですが……何か……?」
「私の……負けよ。これだけ周囲を騒がせて、トップ3のうち二人を飼い慣らすなんて。……認めてあげる。あなたが、私の『王(キング)』に相応しい男だってことを」
心美は、まるでドラマのワンシーンのように怜也の手に自分の手を重ねました。
「今日から、あなたの隣は私が予約したわ。……文句、ないわよね?」
怜也、ついに「開き直る」
茜に翻弄され、由奈に締め上げられ、絵美に誘惑され、そして今、絶対女王に「予約」された。
極限状態まで追い込まれた怜也の脳内で、何かが音を立ててぶち切れました。
(……逃げても無駄。見せつけても逆効果。優しくしても地獄。……だったら、もういいよ)
怜也の瞳から光が消え、代わりに妖しい「悟り」の色が宿りました。彼は重ねられた心美の手を、逆にグイッと引き寄せました。
「……予約? 悪いけど西矢さん。僕の隣は、もう満席なんだ」
「えっ……?」
心美が目を見開きます。怜也はそのまま、駆け寄ってきた茜と由奈を引き寄せ、三人まとめて見据えました。
「茜、由奈、そして心美さん。……君たちは僕を奪い合って争うけど、それは非効率だ。僕の体は一つしかない。……だったら、答えは一つだよね?」
怜也は、かつてのニート(前世)の知識を総動員し、最も「クズ」で「最強」の答えを導き出しました。
「僕が、君たち全員を幸せにする。……つまり、僕の『ハーレム』に入ってもらう。……いいよね?」
逆転のハーレム・プラン
教室中が静まり返りました。
第3位のギャル、第2位の幼なじみ、そして第1位の女神。
誰もが「長島、死んだな」と確信した、その時。
「……ちょ、ちょおー!? 怜也きゅんが、あーし以外もまとめて愛すって!? ……やばくなーい? 背徳感マジ盛れるんだけどー!! 逆にアリ! むしろ一人占めよりエモい!!」
(茜、即落ち)
「……あんた、本当にバカね。……でも、あんたがそう言うなら、私がそのハーレムの『正妻』として、こいつらを管理してあげるわ。……逃がさないわよ、怜也」
(由奈、管理職として受諾)
「…………ふん、面白いじゃない。私を『数ある花の一輪』にするつもり? その不遜な態度……嫌いじゃないわ。いいわ、私があなたのハーレムに『品格』を与えてあげる」
(心美、女王のプライドで参戦)
築留工業、新時代の幕開け
怜也が「逃げる」のをやめ、「全員受け入れる(ただしクズ)」という方向にシフトした瞬間、絶望的な修羅場は、全校男子の血の涙を誘う**『絶対王政ハーレム』**へと変貌しました。
放課後。
右手に茜、左手に由奈、そして背後に心美を従え、校門を悠然と歩く怜也。
「あー、喉乾いたな。心美、ジュース買ってきて。茜は肩を揉んで。由奈は……今日の夕飯の献立、考えておいて」
「「「はい、怜也(きゅん)様!」」」
その光景は、もはや工業高校の日常を逸脱した、異世界の王国そのものでした。
怜也は、とっくに電池の切れたスマホ(心の中の象徴)を握りしめ、心の中で呟きました。
(……サボりたい、平和に暮らしたい。その願いを叶えるための最短距離が、これだったなんて。……でも、なんか……これはこれで、肩が凝るなぁ……)