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7 - 第7話 サイド キリ

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2022年03月28日

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サイド キリ


廃工場は高いフェンスで囲まれている。

そして、その入り口では成人男性が二人立っていた。

「どうする?正面からいく?」

『いや、それはまずい。トキを人質に取られる可能性がある』

私の提案にマオがスマホ越しに答えた。

タエとマオは拠点で私たちをサポートしてくれる。二人は運動はあまり得意じゃないらしい。

『後ろにフェンスが破れている場所があるから、そっちから行くほうがいいかも……』

「ああ、了解だ。キリ、俺についてこい」

「んー。じゃあ俺は残って揺動させとくかー」

あっという間に作戦が決まってしまった。

すごいなあ、と感心していると「そうだ。キリに渡すの忘れてた」とキノから銃を手渡された。


……銃?


「ええっ?!な、なんで銃なんて持ってるの??!!」

「ルネが作ってくれた」

「つくったぁ??!!」

「モデルガン改良しただけだけどねー。実弾はでないから、安心して撃っていいよ♪」

「撃てるか!」

うっそでしょ?!

どんだけ万能なの、この団は。

「…常識を求めた私が間違ってた」

「まぁ、俺らは正義の味方(ヒーロー)じゃねぇからな。これぐらいは目ぇつむってくれ!」

キノがイタズラっぽく笑う。

…しょうがないなあ。

「行こう。ルネも気をつけて」

「準備できたら連絡してね〜」

そう言ってルネは手を振って私たちを見送った。

うーん、緊張感皆無なんだけど。

私、今から本当に誘拐犯と対峙するんだっけ??


フェンスの中に入って、忍び足で工場に近づく。

「どうやって工場内に入るつもり?」

窓からは紫色のジャージを着た青年が手足を縛られたまま殴られている様子が見える。

おそらく、あの青年がトキで間違いないだろう。

突入したい気持ちをなんとか抑えながら私はキノに聞いた。

「ルネから合図があったら、窓から侵入するぞ」

……窓から、デスカ。

「っていうか、合図って」

ドッゴオオン!!と私が言い終わらないうちに大きな爆発音が聞こえた。

「いいっ?!」

「合図だ!」

ドンドンドンドン!と四連発銃弾を窓にめり込ませ、綺麗なスライディングでキノは工場内に入っていった。

「な、なんだ?!」「誰だ、テメェ!!」

動揺した男達がそう言っている間に、キノは二人の鳩尾に拳を入れる。

「モンダイジ団団長、キノだっ!!」

「ああ、もう!」

私も窓から入って残っていた男達に蹴りを入れていく。

もうどうにでもなれ!


「わーお。俺の出番なかったねー」

誘拐犯を全員気絶させたところでひょっこりとルネが顔を出した。

絶対タイミング覗ってたよね?

「お前もこいつら集めんの手伝え!!」

「はいはい」

そんな二人の会話を聞き流しながら、私はトキの縄を解いた。

「大丈夫?」

「……はい。どうもありがとうございます」

トキは疲れた笑顔を顔に浮かべる。

「とりあえず、拠点に戻るぞ。ケガの手当てとかしたほうがいいだろうしな」

「いえ、そこまでしていただくわけには……」

キノがそう言うとトキは慌てて手を振る。

そのときに、トキが顔をしかめたのを私は見逃さなかった。

「ちょっとごめんね」

「!!」

グイッとトキのジャージの袖をめくる。

するとトキはばっと私の手を振り払った。


画像

「「「!!!」」」

腕には、沢山の痣や刺し傷、やけどの痕があった。

しかも、昨日今日でついた傷じゃない。明らかに昔からある傷だった。

「…虐待、か……」

泣きたいのか、動揺しているのか、困っているのか……いろいろな感情が混ざった複雑な表情で彼は笑った。

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