テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

モンダイジ団

一覧ページ

「モンダイジ団」のメインビジュアル

モンダイジ団

8 - 第8話 サイド トキ

♥

36

2022年03月29日

シェアするシェアする
報告する

サイド トキ


「っ……」

「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい…!」

傷の手当てをするために帽子をかぶった少年たちに助けられて、僕は今タエさんという人に何故か謝られている。

ただ消毒液が染みただけなんだけどな……。

「……痛そう。これ、いつから?」

キリさんがそう聞いてくる。自分が傷ついたわけじゃないのに痛々しい顔をして。

他の人も同じような顔をしている。みんないい人なのだとよくわかる。

その優しささえ、上手く受け取れない僕はもうまともじゃないのだろう。

「いつからだったか……忘れてしまいました。もう、慣れてしまったので……」

「慣れたって……それ、やばいだろ!!なんで誰にも言わなかったんだ?!」

団長だと名乗った人が叫ぶ。

僕はただ笑うことしか出来なかった。


「僕たちは、共依存的な関係なんです」

リビングにあるソファに座って僕は話す。

一方が崩れてしまえば、どちらも崩れてしまう。そんな歪な関係だ。

「だからって、お前がそこまで我慢しなくていいだろ?!」

団長さんのいうことは最もだ。だけど、

「みなさんが僕を助けてくれたように、僕にも助けなくちゃいけない人がいるんです」

僕にとっての、大切な人が。

「……だとしたら、それは共依存なんかじゃないんじゃない?束縛や恐喝とも言えると思うんだけど」

ルネさんは、人差し指を立ててそう言った。

「……かも、しれませんね」

どちらにせよ、僕が選んだことなのだ。

「今日は本当にお世話になりました」

僕は立ち上がって玄関の方へ向かう。

タエさんが黙ってまま座っていて、団長さん、マオさん、キリさんは僕を引き止めようと立ち上がった。

一人、ルネさんだけが「ジャージ、忘れないようにね」と言って僕に衣服などを渡してくれた。

「ありがとうございま……」

「ひとつだけ、忠告…というか、預言しておくよ。この団は諦めが悪いやつばっかだから、君もモンダイジ団に入ることになると思うよ」

画像

耳元でそう囁いて、彼は笑顔を浮かべてみせた。

「っ、おい待てよ!」

ルネさんとは対象的に団長さんの言葉を無視して外へ出る。

青い空の真上には、太陽が明るすぎる光を地上に注いでいた。


あの人たちと関わりを持つなんて、ありえない。

僕にはそんなこと許されない。

なぜなら、僕はこの社会で生きてはいけないモンダイジなのだから。

この作品はいかがでしたか?

36

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚