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サイド トキ
「っ……」
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい…!」
傷の手当てをするために帽子をかぶった少年たちに助けられて、僕は今タエさんという人に何故か謝られている。
ただ消毒液が染みただけなんだけどな……。
「……痛そう。これ、いつから?」
キリさんがそう聞いてくる。自分が傷ついたわけじゃないのに痛々しい顔をして。
他の人も同じような顔をしている。みんないい人なのだとよくわかる。
その優しささえ、上手く受け取れない僕はもうまともじゃないのだろう。
「いつからだったか……忘れてしまいました。もう、慣れてしまったので……」
「慣れたって……それ、やばいだろ!!なんで誰にも言わなかったんだ?!」
団長だと名乗った人が叫ぶ。
僕はただ笑うことしか出来なかった。
「僕たちは、共依存的な関係なんです」
リビングにあるソファに座って僕は話す。
一方が崩れてしまえば、どちらも崩れてしまう。そんな歪な関係だ。
「だからって、お前がそこまで我慢しなくていいだろ?!」
団長さんのいうことは最もだ。だけど、
「みなさんが僕を助けてくれたように、僕にも助けなくちゃいけない人がいるんです」
僕にとっての、大切な人が。
「……だとしたら、それは共依存なんかじゃないんじゃない?束縛や恐喝とも言えると思うんだけど」
ルネさんは、人差し指を立ててそう言った。
「……かも、しれませんね」
どちらにせよ、僕が選んだことなのだ。
「今日は本当にお世話になりました」
僕は立ち上がって玄関の方へ向かう。
タエさんが黙ってまま座っていて、団長さん、マオさん、キリさんは僕を引き止めようと立ち上がった。
一人、ルネさんだけが「ジャージ、忘れないようにね」と言って僕に衣服などを渡してくれた。
「ありがとうございま……」
「ひとつだけ、忠告…というか、預言しておくよ。この団は諦めが悪いやつばっかだから、君もモンダイジ団に入ることになると思うよ」
耳元でそう囁いて、彼は笑顔を浮かべてみせた。
「っ、おい待てよ!」
ルネさんとは対象的に団長さんの言葉を無視して外へ出る。
青い空の真上には、太陽が明るすぎる光を地上に注いでいた。
あの人たちと関わりを持つなんて、ありえない。
僕にはそんなこと許されない。
なぜなら、僕はこの社会で生きてはいけないモンダイジなのだから。