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コメント
1件
ちょかさん、第1話読ませていただきました。 静かで、それでいて張りつめた空気がすごく伝わってきました。屋上からスコープを覗く冒頭のシーン、そして「また一人」というセリフに、もうこの世界の過酷さと麗さんの孤独が一瞬で染みましたね。桜子さんの「それでも前に進む」強さも素敵でした。 苔に覆われた街の描写も印象的で、続きがすごく気になります。どんな世界で、二人がどこへ向かうのか、楽しみにしています🌷
#高校生
しらぬい
27
417
32
#ズキオク
バァーン!
「また一人。」
街全体を見渡せる建物の屋上からスコープを覗く。
銃の先から白い煙が立ち、蛇行して消えた。
発砲した衝撃が肩に当たって少し痛い。
「いつになったら前に戻れるのかな。」
聞き慣れた声がした方を振り返ると白谷桜子《さくらこ》が立っていた。
不安そうだが絶望はしていない、そんな表情でいた。
桜子は私の同級生であり、長い月日、共に苦難を乗り越えてきた仲だ。
今では家族又はそれ以上の存在かもしれない。
「さぁね。」
私が射抜いた“物“は、少しもがいた後にピタリと動かなくなった。
二人でそれを見ながら感傷に浸る。
今日は天気が良い。
乾燥した少し暖かい風が私たちを撫でるように吹き抜け、 私の長い髪が風で靡く。
太陽は出ているが、暑くなく暖かい。
ただ惜しいのは街が静寂すぎることか。
人の声はせず、遠くの方からトンビの鳴き声が聞こえる。
「麗?」
スコープのその向こうをじっと見つめる私に、桜子は声をかけた。
「ううん。なんでもないよ。」
低くしていた姿勢を休めて立ち上がった。
「今日も行こうか。」
苔が建物を包む世界で私たちは生き抜くしかない。
一人でも生きている仲間を探さないと。
「そうだね。」
こんな世界でも元気よく頷く桜子に今日も救われる。
一歩、また一歩、私たちは前に進まないといけないのだ。