アーリア視点
僕が彼女に会ってから、何年経ったのか。
そして、彼女が存在を書き換えられて月日が流れた。僕の名前は『アーリア』。
初期の実験台として、初めに、初期に作られた人造人間__『エレメントゲール』の初期型。
そして『豊穣の救済』__『セレス・メシア』と言う別名が付けられた存在。僕には友人が居る。
『…………何か御用ですか、初期型アーリア』
(※エンリルのイメージです)
そう、彼女。『エンリル』。
彼女は僕の友人『フェンリル』の幼き頃の本来の姿。そして、僕が唯一知り合いの友人。
そして亡き友人『フェンリル』本人自身でもあると言う事だ。
『フェンリル』と言う人物の存在は、全て『彼女』(エンリル)に書き換えられた。
何故か?『彼女自身』が”存在を書き換えた”からだ。理由は、いつの間にかそうしていたから。
彼女はそう語る。しかし、僕は違うと確信していた。彼女は『現代(未来)に残りたくない』からだと思うからだと僕はそう考える。
「やあ、エンリル。今日も静かに自らの住んでいる住処で過ごしているみたいだね。……まぁ、ここは『現代』(未来)だけど、ね」
『…………その話は、しないとの約束でしたが?初期型アーリア』
「ふふ、その呼び方は辞めて欲しいな……二型エンリル」
彼女(エンリル)は____
“史上初の元からのベースでホムンクルスの栄養無し及び遺伝子組み換えだけで成功した”と言う成功作。
(資料ではそう書いてあったんだけど、そうとは言いたく無いんだけどね)
『フォースゲール』と言う半神半獣半人の種族。
元からある人間の血、氷狼の血、神の血を持ち、人間の遺伝子を崩さず、氷狼の遺伝子と神の遺伝子を完璧に遺伝子組み換え成功した。
ありのままで。
『……何を考えているのですか、初期型アーリア……』
____彼女は、僕の事を”初期型アーリア”と呼ぶ。何故か、と言われたらこれが昔彼女から呼ばれたあだ名だから。
「いや、何も?”二型エンリル”」(静かに微笑む)
『……貴方は変わらずそう呼ぶのですね、昔から変わりません……しかも、掴み所の無いのも』
「そんな事は無いけどな……君の方こそ何考えているか分からないけど」
『……さあ、知りません……貴方こそ、存在を書き換えたのに。……何故『現代(未来)の私』(フェンリル)を覚えているのですか』
「それは答えたらつまらないでしょ?それに僕は初期型…君は二型…僕に出来る事も沢山あるのだから。それに君の事は忘れたくても忘れられる訳無いじゃないか。」
僕は、エンリルとは唯一無二の小さい頃から知っている人物だ。
彼女はまだまだ、恐らくフェンリルになる前の僕の知っている過去の頃の『彼女』(エンリル)だ。
彼女(フェンリル)はこう言っていた。
フェンリル
『戻りたいんだったら、僕は過去が良いよ。だってそうしなければ、元から人に会う前に1人だった頃の方がとても心が楽になるから……寂しいのは分かってるけど……やっぱり、1人の方が安心感があるから』
…
僕は、彼女が何故1人を好むのか。
色々と考えてみた、そして彼女の前で言ってみた。
「1つ、君は必ず相談事をしないで溜め込み過ぎて更に考えが強過ぎて勘違いで精神を傷付けてしまう事」
『……いきなり何ですか』
「2つ、君は寂しがり屋だけど人見知りがあり人前では初対面の人物以外に心を開かず話したがらない」
『……だから一体……』
「3つ、君は失う事や1人になる事に慣れ過ぎて1人になってしまえば失う物が少なくなると思っている。そして何より、本来の本心は『人との触れ合いや交流』を望んでいる事」
『………………』(目をそらす)
「4つ、これは君の願いでもあるんじゃないかな?___『記憶に残ってくれる程の存在になりたい』。」
『…………………流石は、『現代(未来)の私』を知り尽くしていますね』
僕は軽く少しため息を着いた。
彼女はそれに反応したのか、言葉を出した
『……何か、間違った事でも言いましたか』
「間違いも何も、僕は過去の君も知っているだからそれぐらいのため息は付くのは当たり前だよ。何せ、君は……僕の友人なのだから」
そうそうと思い返して見ると、やはり彼女に初めて会った頃は……
なかなか上手くいかない頃もあったなと感じた__
TimelooptheICE〜記憶に残りたい泡沫の存在〜
※『ElementBook』の2部主人公と3部主人公の関連性及び関係の物語となります。
本編に関係ありませんが、2部と3部の主人公の過去に関連あります。
とは言え、フェンリルの頃はとても不思議な性格だったなと僕は改めて感じた。
(※フェンリルのイメージです)
フェンリルって、確か……
こう、『マイペース』でたまにぼーっとしていて………のんびり屋で、笑顔を絶やさない性格だった気がするな。……慣れている人にしか見せない性格だけどね。
本来は『氷狼』__北欧神話に登場する『フェンリル』と言う狼の血を持っていた。
それがしかし、昔は神の血を3つ持ち、氷狼の血を持つ『フォースゲール』……つまり、半神半獣半人の種族と言う事になる。
………彼女の強さの順位は『下位の上位』辺りになる。僕は『上位』。だけど、僕より強いのが……
『エレメント・コア』を持つエレメントゲールになると言う事だ。しかし、その頃はまだ眠っていた。
僕は、初期として初めに作られたエレメントゲール。だけど、過去を探る事も知る事も『禁忌』とされている程の元のベースの人間の体を使用しているらしい。
なかなか、僕自身も興味津々らしく調べてみたいと言う好奇心に渦巻いていたな……その頃は。
何せ、僕の癖の人間観察がそうしていたからだった。勿論、最初の観察対象は決まっていたに変わりは無いけど……
彼女と話したのは、目覚めてから少し経った頃の話。
『……え……と』
「…………??どうしたのかな??」(不思議そうにする)
『………う、その………初めて、まして……??💦』
「初めてまして?……あー、はじめましてと言いたかったのかな?僕は、アーリアと言う名前だよ」
『……アーリア、さん??……先輩の方が良かった……でしょうか?』
「呼び捨てでも構わないよ、先輩でもさん付けでもどちらでも大丈夫だからね」
『………』(ほっとしている様子)
初めて会った時の彼女は、人見知りがあってね…………少し戸惑いがありつつも、話してみたかったと言う気持ちがあったんだろうね。
彼女の纏う魔力(マナ)の気配を見てみると、氷や雪に纏って居ながらも心の中に色々と溜め込んでいる色が見えていた。
(僕の場合だと、感情とか心の中がどうなって居るかが色で見えるんだよね。……人間観察していた癖からかな??)
彼女の表情はころころとサイコロのように切り替わって居る。
嬉しかったら明るい笑顔と明るい声で表現したり………悲しかったら沢山の涙と共にえーんと泣いたり…………寂しかったら素直に言わないで、いつの間にか傍に居たり……
(傍に居たこ事自体、分からなかったんだよ。……気配潜めていつの間にか居た時とかも居たから)
それで僕が本を読んで居たりすると、気になってずっとじーっと見たり……
「この本が気になるのかな?」
と声を掛けると
『………え、あ、気になりますです!?💦』
と慌てつつもバレたの!?と驚きながらも言っている。そう、彼女は……『思っている事が顔に出やすい』子でもある。
勿論、コミュニケーションや人間関係が苦手な彼女。1人になる事が好きだけど………
大勢の人達の居る所や騒がしい場所が苦手な彼女でもあるから、図書室は彼女にとっては安らぐ場所なのでもあるのだろう。
勿論、彼女も苦手な物が沢山ある。
まずは運動。次に勉強が苦手だと言うこと。
それから、やはり人間関係やコミュニケーションが苦手な事。場の空気感に和めない事。
様々な事が苦手な事もあるのが彼女だが、しかし彼女にも長所がある。
……だけど
彼女は、その日を境に僕以外の人物達から
消えてしまっていた。
僕は彼女を知っていて、皆は誰も彼女を知らないように普通に過ごしていた。
彼女(フェンリル)に似ている人物『エンリル』。
面影もあるし、だけど時の力を感じる…………………………彼女、もしかして”時の力”を使用して何処からか来たのか?
僕は、色々と考え事をしていた。
その後、何も語らない彼女は僕には会話して他人には興味を示さない。
………と言うより、僕も警戒されている。
『…………何を考えて居るのですか、初期型アーリア』
「………ふふ、いや何も?」
そしてまた今日も僕は彼女と会話をするのだった。
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