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グリム
「ほぎゃ〜〜!!!絨毯が勝手に
動いてる!ゴーストが取り憑いた
呪いの絨毯だゾ!」
カリム
「おっ、そこにいたのか
いつもの場所で丸まっててくれよ」
絨毯
「♪ ♪」
グリム
「ソイツは一体なんなんだゾ!?」
カリム
「これは熱砂の国に伝わる伝説のお宝
《魔法の絨毯》だ!かつて砂漠の
魔術師が仕えた王が愛した空飛ぶ絨毯
コイツはそのレプリカらしい。うちに
代々伝わる家宝なんだ」
絨毯は言葉が分かるようでカリムの話に
対し首?を縦にコクコクと動かした
グリム
「空飛ぶって、箒みたいに
絨毯が空を飛ぶって?」
カリム
「そう。話すより乗ってみたほうが早い
もうすぐ日暮れだし、夜空の散歩と
しゃれこもうぜ!さあ、お前達も乗った
乗った!」
グリム
「ええ?コレ、本当に落ちたりとか
しねぇのか?」
カリム
「大丈夫だって。俺を信じろ」
『僕はいい』
カリム
「まあ、そう言うなって!きっと
楽しいぜ。さあ行くぞ、それ!」
『はあッ?!』
アルアジームに強制的に乗せられ
夜の空の旅へ
〜〜〜
グリム
「う、うわーーー!!本当に空を飛ん
でるんだゾ!高さで目が眩みそうだ!
寮がもうあんなに小さい」
カリム
「どうだ、雲の上は別世界だろ?」
ユウ
「星がダイヤモンドみたい!」
カリム
「あははっ、気に入ったか?」
グリム
「最高なんだゾ〜〜!」
カリム
「空を自由に飛び回るのって、
いいよな。小さい悩みなんか
全部どうでもよくなる」
『…』
夜は嫌いだ
アイツが、一族の守り神が、蛇鬼が、
もう死んだと分かっていてもときおり、
夜に這い回るような不気味な音が、
粘りつくような鋭い視線が忘れられない
兄さんと共に逃げ出し、その犠牲に
50人もの人が死に、従姉妹から言われた
言葉が、あの夜が忘れられない
沢山の人を失った。目の前で死んでいく
者を何十人も見て来た。鬼の活動時間で
ある夜が、今宵もどこかで人が死んでいく
夜が、大嫌いだった
この世界は平和だ。僕達が望んでいた
平和な世界だ。でも、僕はとっくに
鬼殺隊での日々が体に染み込んでいる
ようで、僕にはこの世界が酷く、眩しく
見えた
同時に羨ましい。鬼殺隊として、こんな
事は思ってはいけないし、とっくに
分かっていた事だろう。だが、思わずには
いられなかった
何も知らないこの世界の人達が羨ましい
そう1度思ってしまえば止まらない
醜い自分が弱い自分が溢れ出す
だから、だから、うかつにも思って
しまったんだ。ゆっくり空を見上げる
暇などなかった僕達には、毎晩毎晩
鬼の被害に怯える僕達には、平和な
この世界の夜は
“綺麗に見えてしまったんだ”
〜〜〜
グリム
「はぁ〜〜〜!!
本当に楽しかったんだゾ」
カリム
「喜んでもらえてよかった
なんだかんだあっとゆうまに
ゆうげの時間だな」
ジャミル
「カリム!やっと戻ってきたな
夕食の前に確認しておきたい事が
ある。来てくれないか」
カリム
「ああ、分かった。レイ達は
先に談話室に行っててくれ」
カリム達が去った後、
『…僕は帰る』
グリム
「ふなっ、もう帰っちまうのか?」
ユウ
「もうちょっと一緒に
いたかったんだけどなぁ」
『僕は微塵もいたくないな。フン』
僕はその後寮の部屋に戻ったが
落ち着かず、外に出て木の上に座り
ボーっと夜の空を見上げていた
『兄さん。僕は、僕はこの
世界で、何をすればいい?』 ボソッ
僕はそのまま、寝落ちしてしまった
ポタ
また黒く染まっていく