テラーノベル
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第24話
翌朝。
俺は、起きるのが……ワースト二位。いや、四人しかいないんだが……
「早いですね。おはようございます」
ハンナが朝早く素振りを始めていた。軌道が綺麗。
……そう言えば、ハラルド先生から『剣術を教えてもらえ』とか言われたな……
この非常識的な、女の子に、チートを……ま、何とかなるはず。
「あぁ。おはよう」
「マリアが起きるまで一緒にやりますか?」
ハンナは木剣を二本持って、小首を傾げている。
やるしか、選択肢が無いだろ。
「じゃあ、やるか」
「色々と教えます。百年前の常識を」
「え?」
百年前って……笛吹で……ん?
「百年前?」
「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
「言ってない!」
少し食い気味に言った。
百年前……? そんなに変わるのか?
「私は、ハンナ。『笛吹の賢者』と呼ばれた女の子ですよ。百年前は、今の何百倍も強かったですけど」
ふふっ。とほほ笑みながら言っている。
「……あ、そっか。『笛吹の少女』って呼ばれてるのだけ知ってたのか」
自分の中だけで納得している七歳児と、未だに理解が追いつかない十五歳のやつが面と向かっている。
「それは……は? 七歳児だよな?」
「う〜んと、私の体は七歳児です。転生する前は……忘れました。というか、歳を数えるのを辞めてました」
……は?
転生……? ん?
あ、あぁ。そういう事か。転生か。
うん。スケールが大きい。
「そうか。そんなに衰退したのか?」
「めっちゃ弱い私が、めっちゃ強いみたいな普通じゃない認識になってるんですよ。衰退どころじゃありませんっ!」
「……一体、何の話をしてるんだ?」
黒猫が、きのみを沢山抱えながら呆れ顔で問うた。
「まぁ、カクカクシカジカで……」
「はぁ……? ハンナ。お前は馬鹿なのか?」
「え?」
「衰退したのは……丁度百年前だ」
「えぇ……?」
黒猫が、呆れ顔でため息を吐いた。挙句の果てには、ほっぺをつねられている。
……百年前、何があったんだ?
「俺の……旧知の知り合いってやつか? エルフに聞いたんだ。『練習台が無くなったのは関係ないかもしれないが……国王が魔法に関する資料をまとめて捨てた』と言っていたな」
「はぁ?! 屠ってくる!」
「待てっ!」
使い魔が『待て』をしている、異常事態。
わぁ……初めて見るな。立場逆転。
「むぅ……」
ムスッとした顔で止まった。
ちゃんと七歳児してるなぁ……いや、してなかった今までが常識じゃないんだが……
「それは、百年前の国王だ。居るはずが無い。というか、正確に言うと八十年前だぞ」
ん? って事は……いや、『笛吹の賢者』も、正確に言えば、百十年くらい前……
「え? 私、何年前の話の人だったの?」
「知らん。だけど、お前はイマの人だろ? 資料を作ればいいじゃないか」
「簡単に言わないでよ! 一から十まで……言語化するのに、とんでもない時間と、労力がかかる。というか、それ黒猫でもできる内容しか資料になかったし」
……なんだか、スケールが大きくなっていってる。
常識を言っても無駄だな。うん。
「あ、ミヒャエルさんも、今日の内に使えるようになるくらい簡単ですから」
……は? きょ、今日?
もう、言葉を頭の中で弾け飛んで言葉が出なかった。
「……おい、困ってるぞ。規格外過ぎるんだよ」
「う〜ん……かなり、簡単なんだけど……というか、私が黒猫に一日目の最初に教えた事だけだよ」
「ついていけるのか……?」
「ミヒャエルさんくらいだったら……半日もあれば……」
三十分後。
「できてますよ。そのまま魔力の魔素を取り込むように……」
……なぜか十分くらいできた。
隣で、朝の支度が終わったばかりのマリアもやりはじめている。そっちは黒猫が見ている。
何をやっているのかと言うと……
「魔力を一本の糸にしてみろ。魔法は発動せずにな」
それを、やらされている。
「魔素と魔力は大体同じって事です。そこら辺に漂ってる魔素の制御を自分の物にしたのを魔力。ずっとこの応用になるから覚えておいて下さい」
そう言ってハンナは、木剣に魔力をまとった。凄く薄い。
この糸、二本分。
「分かった。これだったら、魔力疲れもしないが……神経的に疲れるな」
俺が苦笑すると、ハンナも苦笑した。
……これは気を張り詰めていないと、難しい。
「私も、先生に教えてもらった時は、疲れましたから。でも慣れたら、応用の応用の応用くらいまで気にかけずにできるようになりますよ」
応用の応用の応用? 何を言ってるんだ?
「朝食にしますか。昨日のあまりがありますしね」
そう言って、大きな机と四人分の椅子と昨日のあまりのご飯を空間魔法を使って亜空間から出した。
……昨日のご飯は、温められている。うん。規格外。
「そうだな」
もう、驚かなくなった俺は頷いて椅子に座った。
75
鴨之助
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わ
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NGS_ヘビーなしっぽ
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コメント
1件
いやー、24話お疲れさま!ハンナの正体が「笛吹の賢者」で転生者だったのか…!百年前の衰退の話と繋がってスケールが一気に広がった感じがしたわ。黒猫にほっぺつねられて「待て」してる七歳児の姿に笑ったし、「屠ってくる!」→「待てっ!」の流れは名シーンすぎる。ミヒャエルが「もう驚かなくなった」って達観し始めてるのも成長だな〜。次が楽しみすぎる🔥