テラーノベル
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第25話
一週間後。
「いいですねっ! あと、もう一踏ん張りですけど!」
そう言って私は、ミヒャエルさんの持っていた木剣を吹き飛ばした。
「わあっっ!!」
「ほら、こういう時こそ、防御ですっ!」
ハッとして、水魔法で攻撃を防いで剣に手を伸ばした。
私は、重くなった木剣を持ち上げて……そうしている内に、ミヒャエルさんは剣を持っていた。
初日の三倍は強くなった。
ハラルド先生には、勝てるだろう。
……一応言っておくけど、私は戦力を十分の一以下くらいにされるハンデをつけられたからね。
まぁ、病みあがりだからってのもあったけど……
「魔力切れになった私の足止めならできそうですね」
「どんなシチュエーションだよ……」
ミヒャエルさんがそんなツッコミを入れていたら、私はふふっと微笑んで風の刃をビュンビュンと連続で飛ばした。
ミヒャエルさんは、何とか防いでいるけど……押されている。
「ほら、沢山の罠を使って!」
私は、剣を遠くで振り回しながらそういうと、ミヒャエルさんは水魔法の糸を沢山張り巡らせた。
「もっと周到に、戦略的に、実戦的に、繊細に、大胆にしてくださいよっ!」
全部、斬ってポンと、ミヒャエルの胸に剣の先を当てた。
「強いなぁ……」
「魔法を使ったら、一秒くらいで倒せますよ」
「俺だって、十秒もあれば倒されるな」
黒猫が笑いながら猫の姿で近づいてきた。
私は、抱き上げて頭を撫でた。ゴロゴロと首元が鳴っている。
「あははっ! 最終手段を使えば、の話だからそれから生きようとするならば……私でも苦戦するはずだよ」
「……冗談でも、そんな事言うなよ……確かに、あれなら誰でも十秒あれば確実に死ぬな」
ミヒャエルさんが目をパチクリさせてる。
まぁ、『自爆装置』としか言えない魔法を使うのは、流石に無いと信じたいけど……
「ま、その時は私を置いていけって話です。勝てないような相手は……きっと、強いエルフくらいですから」
私は寂しそうに笑って、黒猫をギュッと抱きしめた。
その時が来たら……私抜きで、皆生きるのか……
まぁ、それが大丈夫なようにイマ、鍛えてるんだよ。そうそう。
私もこの一週間で、倍くらいには強くなったし、黒猫も一、五倍くらいは強くなった。
マリアは……十倍か、十二倍か……そこら辺。伸びしろが元々沢山あったから、めっちゃ伸びた。
実技の授業が無意味に思える程に。
「離せよっ。苦しいだろっ」
「あ、ごめん」
私は、黒猫の事を下ろして少しため息を吐いた。
「かつて、『笛吹の賢者』と呼ばれていたようなこの私が、そう簡単に死ぬわけありませんよ」
✵
「黒猫。今日話してた『最終手段』って何だ?」
寝入り端のハンナが黒猫の腕の中で静かに寝息を立てている。
魔獣を防ぐための結界は、ハンナが張ってるから寝る間ら何もしなくて大丈夫。
「それは……っ……『最終手段』は、『自爆装置』みたいなものだ。自分の命、一つを削って相手の命、一つを道連れにするって事だ」
黒猫がハンナの赤い髪を撫でた。
……魔力の動きからして……泣きそうだ。
「何、その話……『自爆装置』なんて……」
マリアは勿論、この下りを知らないから何のこっちゃ分かってない。
「まぁ、他にも色々あるんだがな……どれも、残酷で……いや、この話は辞めよう。これから眠れなくなってもしょうがないしな」
黒猫は、そう話を切り捨てて、俺にハンナを預けた。
ん? 何をする気だ……?
「少し、夜の散歩ってやつだ。先に寝てろ」
「危なくないの?」
「ん? 『笛吹の少女』の使い魔だ。そんな危なくなるみたいなやつが出てくるわけないだろ?」
フッと不敵に笑ってから、黒猫は何も持たずに……ん? 何も持たないでいった。
やっぱり、死にに行ってるよな?
規格外は、黒猫もだったか……ハンナとまでは、いかないが……
次の日。
黒猫は、朝起きると……まだ寝てた。
夜遅かったのか……?
「くーろーねーこー。夜ふかししたんでしょ?」
ほっぺを突かれながら布団に包まる猫の姿が見える。
……ほんわかするな。
そう言えば、二週間留まるって話だったから……今日含めて、あと四日と半分だ。
まぁ、守れる物が増えるなら……俺はそれがいい。
「ん……? おはよう」
マリアもムクリと起き上がった。
随分と俺とマリアの起きる時間が早くなった。
それと……寝る時は、パジャマを着ろって……ハンナに支給された。
まぁ……そういう事なのだろう。
「今日は、私の魔法を動かしてみましょうか」
……は?
黒猫も、俺も、マリアも……ハンナ以外全員固まった。
#転生
わ
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コメント
1件
うわ、最後の「私の魔法を動かしてみましょうか」で一気に引き込まれました! ハンナの強さの秘密とか魔術体系の奥深さを感じさせる伏線だなって。しかも黒猫が夜中に抜け出したシーン、絶対なにか企んでるでしょ…この焦らし方がたまらないです。ミヒャエルたちの成長も丁寧に描かれてて、特に「初日の三倍は強くなった」という地味だけど確かな積み重ねが好きです。続きが気になりすぎますね!