目が覚めた。ここはどこだろう。ゆっくり目を開けて当たりを見渡す。
シャー
カーテンがゆっくり開いた。
「あら、目が覚めた? 」
「えっと、誰ですか?」
容姿の整えられている若い女の人がそこにいた。見るからに看護師⋯なのかな。
「今、先生呼んでくるね」
状況も掴めないまま、スタスタと女の人は小走りで去っていった。
少し時間が経った頃、白衣を着た男の人が部屋に入ってきた。
「優明⋯ちゃんだよね?」
「はい⋯」
私の名前を自信なさげに聞いてくる。そして、その男の人の後ろには、あの喫煙者のお母さんも着いてきていた。
男の人がはぁと息を吐いた後、ゆっくりと話し始めた。
「あのね、落ち着いて聞いてね。」
お母さんがいて、看護師がいて、ベッドに横たわっている自分がいて、なにかおかしなことが起きているのは予想がついた。
「優明ちゃんはね、煙花弁(えんはなびら)症候群っていう病気にかかっているんだ。」
「え、?」
聞いたことも無い病気で出る言葉が無かった。医師によると、煙を長時間吸っていたのが原因で、肺とか至る所に花が咲く病気とのこと。
「ごめんなさい⋯ 」
いつも気の強いお母さんがここまで泣いているのは見たことがなかった。自分が喫煙者で、タバコも辞めなかったから責任を感じているのだろうか。
私も、お母さんにつられて涙が出そうになったが、ぐっと堪えて聞いた。
「治るんですか、?」
まるで絶望を味わせるようなため息とともに
「最善を尽くします。」
と、一言医師は言った。もしかして、治らないのかな。しんじゃうのかな。最終的にどうなっちゃうんだろう。私はもう二度と普通の生活を送れないのかな。とかずっとマイナスなことを考えてしまった。
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