テラーノベル
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高専の広大な演習場。
月明かりの下、リムルと夏油傑が一定の距離を置いて向かい合っていた。
観客席では、一升瓶を抱えた硝子と、ポップコーンを手にワクワクしている五条が並んで座っている。
「傑、無理すんなよー! リムルはマジで規格外だからね!」
「悟、うるさいよ。……傑、あんたがボコボコにされたら、私が治してあげるから思いっきりやりな」
親友二人の(容赦ない)声援を受け、夏油は苦笑しながらも、その瞳に鋭い闘志を宿した。
「……異世界の王に、私の呪術がどこまで通用するか。……胸を借りるよ、リムル殿」
「ああ、こっちこそ! 手加減なしで行こうぜ、夏油!」
夏油が袖を振ると、かつてとは比べ物にならない密度の呪力が溢れ出した。
「呪霊操術――!!」
一度に放たれたのは、リムルから分け与えられた魔素で変質した、数千体の強化呪霊。それらが黒い奔流となってリムルを飲み込もうとする。
「いい出力だ! だが――『暴食之王(ベルゼビュート)』!」
リムルが前に手をかざすと、襲いかかる呪霊の群れが、巨大な影の口に吸い込まれるように消えていく。
「……やはり、並の呪霊では餌に等しいか。ならば!」
夏油が地を蹴り、一気に距離を詰める。手には特級呪具『遊雲』。
「術式だけが、私の武器ではないよ!」
ガキィィィィィィィン!!
夏油の振るう三節棍が、リムルの腕に巻かれた防御結界と激突し、火花が散る。
夏油の体術は、まさに洗練された極致。翻弄するように鋭い連撃を叩き込むが、リムルはそれを最小限の動きで受け流していく。
「すごいな、夏油! 視線の誘導と重心の使い方が完璧だ!」
「……褒め言葉として受け取っておこう。だが
これはどうかな?」
夏油が空いた左手で印を結ぶ。
「極ノ番『うずまき』・縮小展開」
一点に超高密度で圧縮された呪力が、リムルの至近距離で放たれる!
ドォォォォォォン!!
爆煙が晴れると、そこには片手で『うずまき』の余波を握りつぶしたリムルが立っていた。
「……はは、完敗だね。決定打が通るイメージが湧かないよ」
夏油が武器を収め、清々しく笑う。
「いや、夏油。あんたの呪霊の使い方、俺の配下のベニマルたちにも教えたいくらいだ。
。センスの塊だよ!」
観客席からは、パチパチと拍手が送られる。
「あーあ、傑でもダメかー。やっぱりリムルは『ズルい』よね!」
「悟、あんたが負けた時よりはマシな試合だったよ」
「硝子、それ言わないで!?」
3人の笑い声が、夜の高専に心地よく響き渡った。
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