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めんどくさがりの魔法学校！

第14話 - 第13話

1,000

2023年01月16日

#ワイテルズ

#我々だ

#ら運営

Chara@Mammy🦄👊

あとは初日のホームルーム活動が待っていた。今後についての簡単なガイダンス。それら入学初日のカリキュラムは、予定通り昼前に終わる。

菜乃葉

「今日は午後の授業無し、昼飯食べに行こ」

夏菜

「そうだな、まずは食堂に向かお。菜乃葉とか瑞夏、美音は食堂使うの初めてでしょ？　案内する」

美音

「わーいっ、夏菜ちゃんありがと〜」

瑞夏

（さ、さすがｯ…）

菜乃葉達は話しながら連れ立って食堂に向かう。中に入ると、広い空間に大きな長テーブルがいくつも並べてある光景が目に入る。席数は多く、全校生徒が一斉に食事に来たとしても十分余裕がある程だ。

メニューから各々が好きな料理を注文し、受け取って空いている席を探す。食堂内では多くの生徒が歓談と食事を楽しんでいるが、菜乃葉達は運良く人のいない一角を見つけ腰を落ち着ける。

美音

「それでは早速、いただきま〜す！……ん〜っ、おいしい！」

菜乃葉

「ほんと、期待以上」

目を輝かせる美音に、菜乃葉も少し笑顔を零し同意する。瑞夏はハムスターのように口いっぱいに詰め込み、もぐもぐと目を輝かせ食べていた。一口食べただけでもわかる、一流の料理人が作った最高級の料理だ。

夏菜

「すごいよね、これが毎日無料なんだから。学費は全額免除、寮費も食費も全部タダ。多くはないけど、生活支援金まで出る。ありがたい話」

しみじみと呟く夏菜に、瑞夏も軽く頷く。

美音

「それだけ魔法使いの育成に力を入れてるんだね〜。優秀な魔法使いは、いくらいても足りないくらいだし！」

魔法使いが必要とされる場面は多岐に渡る。兵士や騎士、冒険者といった戦闘系。戦闘でも日常でも引っ張りだこの治癒術師。魔法の研究と発展を担う魔法協会。人々の生活を豊かにする魔法技師。そのどれもが重要な役割だが、魔法適正を持つ人間は少ない。常に人手不足であるために、各国ともに待遇を良くし、育成に力を入れている。

美音

「私の家も余裕があるわけじゃないから、学費の心配をしなくて済むのは助かる〜！」

瑞夏

（うんうん）

夏菜

「うちも……ってなに？なんか騒がしい…」

何やらざわめきが起きている方に目を向けると、特別選抜クラスの生徒が数人、食堂に入って来るところだった。一般クラスの生徒は黒いローブを身に付けるが、特別選抜クラスの生徒は真っ赤なローブを身に纏う。そのため、一目で見分けが付いた。

「どけどけっ、邪魔だ邪魔！さっさと道を開けろっ、庶民ごときが！」

「ささっ、モブクズ様。どうぞこちらへ、我ら特別選抜クラスの専用席が御座います」

「はんっ。庶民どもと同じ部屋で食事をさせられるとはなぁっ！」

周囲を恫喝しながら進む、特別選抜クラスの生徒たち。一般クラスの生徒たちも、彼らの赤いローブが目に入ると慌てて道を開ける。食堂の中央にある、豪華に飾り付けられた専用席に辿り着くと、彼らは悠々と腰を下ろした。

菜乃葉

「うっわ。なにあれ、感じ悪」

美音

「ちょ、夏菜ちゃんステイステイ！この公共の場で魔法放とうとしないでよ！ロケランも禁止！どこから持ってきたのそんなもの！！」

眉をひそめる瑞夏に、菜乃葉も顔をしかめっ面にする。夏菜なんて鬼みたいな顔面で、ロケランをさっと取り出しているところを美音に全力で止められている。

特別選抜クラスの生徒は、全員が有力な貴族の子弟だ。彼らはその生まれ育ちから、当たり前のように特権意識を持っている。とはいえ、この学校の生徒たちは魔術師の卵だ。誰でも将来、重要な人材になり得る。「あんな敵を作るような態度は色々ダメなんじゃないか……？」と、菜乃葉は内心で首をひねる。

菜乃葉

「夏菜、殺意剥き出しにするのは良くない。特選クラスにはなるべく関わらないこと。それがこの学校で上手くやっていくコツ」

夏菜

「それはそうだけど……そう言う菜乃葉はなんとも思わないの？！爆破してやりたいとか！」

菜乃葉

「そういうわけじゃない」

夏菜に迫られ、口ごもる菜乃葉。違うそうじゃない。だが良くない空気を察した美音は、少々強引に話題を変える。

美音

「まあまあ。そんなことより、午後はどうする？　部活見学も出来るみたいだけど」

逃げる話題を探していた菜乃葉は、すぐに食いついた。

菜乃葉

「私は志望なんてないから、なーなーと色んなところ見回って無所属のままいようと思う」

瑞夏

「…ぃぃな…それ」

名門校だけあり、関連業界に優秀な卒業生を多数輩出している部活も多い。そういった部活に所属すれば、技能の研鑽だけでなく、卒業後の進路を見据えた人脈やコネ作りも期待できる。希望進路が決まっていない菜乃葉のような生徒にとっては、本当は所属しておいた方が何かしら便利だ。

美音

「夏菜ちゃんはどこを見に行く予定？」

夏菜

「まだ具体的には決めてないけど……」

うーんと頭をひねる夏菜はさっき殺意剥き出しだった奴とは思えないほどの真顔に戻り、無関心そうな声で声を続ける。

夏菜

「……そうだな。とりあえず、趣味系の部活をいくつか覗いてみる」

美音

「あっ、それ良い！ねぇ夏菜ちゃん。よかったら一緒に＿」

美音が何かを言いかけたその時、菜乃葉達に予想外の声がかかった。

「ごめん。隣り、座ってもいい？」

夏菜

「……なぜここにいるんですか、莉愛王女。特選クラスの席はあっちですけど」

顔をしかめないように気をつけながら、夏菜は努めて平坦な声を出した。莉愛はNakamu王子の姉、即ち王女だ。彼女が何を考えているにせよ、彼女の言動は注目を集め過ぎる。王女が一般クラスの庶民に話しかけ、隣りに座った。そんな噂が広まれば、菜乃葉にも注目が集まることは避けられない。加えて、入学スピーチの件もある。トラブルの予感しかしないし、積極的に関わりたい相手ではない。……というか、はっきり言って関わりたくない。

「同じ新入生なんですから、気軽に莉愛、と呼んで下さい。ね、菜乃葉ちゃん？」

しゃべりながらも、莉愛はさっさと菜乃葉の隣りの席に腰を下ろす。

夏菜

「…まだ座って良い、とは言ってませんけど」

莉愛

「そう露骨に警戒しないでよね。私は貴方に興味がある。それだけなの」

そう言って、莉愛は不敵に微笑んだ。

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作者の小話

めうちゃんさんとリアちゃさんはNakamuさんの姉妹なので強制的に王女の立場になってしまうんですよねぇ…まじですみません！！！

ちなみに思い浮かべてる立場

めうちゃんさん→庶民を偽ってる王女