テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

兵ヒュ 小説 短編集 ??

一覧ページ

「兵ヒュ 小説 短編集 ??」のメインビジュアル

兵ヒュ 小説 短編集 ??

1 - 酔いの戯言 ( 衛生兵・軍医 )

♥

47

2025年10月01日

シェアするシェアする
報告する

宴会の喧騒の中、酔いがまわってきてぼーっとしながらふと視線をやると、衛生兵さんは机に突っ伏し、ぐったりと眠り込んでいた。

赤く染まった頬、かすかな寝息に混じる酒の匂い。

その姿に、私は思わず小さく息をついた。


……最近は冷え込む夜が続きますし……このままでは、風邪をひいてしまいますね。


そう思いながら肩に触れ、そっと揺さぶった。


軍医「衛生兵さん、そろそろお帰りになったほうがいいですよ。風邪を引いてしまいます」


ゆっくりと瞼が開き、潤んだ瞳がこちらを映す。


衛生兵「……いやであります……」

軍医「え?」

衛生兵「軍医殿が……“ 愛してる ‘’って言ってくれたら……帰るであります……」


思わず瞬きをした。

本気…冗談か酔いの戯言か ──

しかし、その瞳はまっすぐで。

胸の内に、微かな困惑と熱が広がる。


……そんな言葉、軽々しく口にするものでは……。

けれど、このままでは彼は帰ろうとしない。

風邪をひかせるわけにもいかないし……

何より、安心させてやりたい 。

恥ずかしさなどがぐちゃぐちゃになりながらも


小さく息を整え、片手で口元を覆い、耳元へと身を寄せる。

一拍の間を置いて ──


軍医 「 …… ~~~~~~ 」


その言葉をようやく吐き出すと、衛生兵さんはふにゃりと笑みを浮かべ、そのまま瞼を閉じた。

安堵に包まれた寝顔を見て、私は胸の奥が締めつけられるのを感じる。


軍医「……まったく、手のかかる方ですね」


小声でそう呟き、彼の身体をそっと抱き起こした。

重みを腕に受け止めながら、周囲に気づかれぬよう静かに立ち上がる。


宴会場のざわめきから離れると、不思議なほどの静けさが広がっていた。

眠る衛生兵さんの体温を確かめるように抱き直し、私は小さく息を吐く。


── せめて今夜くらいは、風邪などひかせるわけにはまいりませんね。


心の中でそう呟きながら、私は歩みを進めた。

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚