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アウラウラ
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琉姫
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1人で帰るのは久しぶりだな…
そう思いながら灯は通学路を歩いていく。
すると
キラリ、とカーブミラーが光った。
「灯ーっ!テストお疲れ様!」
「わっ、!?」
まさかカーブミラーからアカリが出てくるとは思ってもいなかった。まぁ、鏡から人(?)が出てくる時点でおかしいけど。
「あ、えっと、ありがとう。」「さっ、早く美術館に遊びにおいでよ!あっ、テストは返ってきた?」
「機械採点とはいえそんなに早く返ってこないよ…というか一生帰ってこなくてもいい…」
「ほぇ〜、まっ、早く遊ぼうよ!あっ、カーブミラーから美術館行けるけどやってみる?」と、はしゃぎながらアカリが言う。
それはアカリだから可能なことであって…。
「いや、色んな意味で問題になりそうだから遠慮しときます…」
「そぉ?まぁいいけど。」
アカリは興味をなくしたかのように灯の隣から離れて近くのショーウィンドウを見る。
「ねぇねぇ灯!この服可愛いと思わない?なんてゆーか、すごく繊細な感じで…」
「ほんとだ、素敵なデザインだね」
服か…。ここの服あんまり見たことがなかったな。もしかして、私よりアカリの方が感情が豊かなのかも。
灯が答えるとアカリはさっきまでの笑顔が消え、「うーん」と納得いかない顔をした。
「ふぅん…。あまり服には興味がなさそう…っと。」
何やら独り言を言いながらメモ帳らしき物にペンを滑らせていく。
(…アカリ、あんな素敵なペンを使うなんて、意外だな。)
アカリがまさか自分のことをメモしてるとは思ってもおらず、灯はアカリの使うペンを見つめる。
まるでガラスで出来たようなペン。あまり見ないデザインだ。よく見ると魚やクラゲの飴細工のような装飾もされている。ん?これは…ジンベエザメかな?
少しアカリの手元を見つめていると、アカリはその視線に気づいたようで、
「よしっ、灯!今日は塾がないんでしょ。色んなお店を見て回ろうよ!」
「えっ、でも…帰りが遅くなるとお母さんが心配するだろうし…」
というか美術館に来て欲しいとか言ってなかったっけ?
「むぅ…。仕方ない、じゃあまた今度一緒にお出かけしようよ。今日は美術館で我慢してあげる」と、納得してない顔で言う。
外に出たいのか、それとも美術館なのか、、。
2人は雑談をしながら家へと帰る。
ガチャリ、と鍵を回す。
「ただいま」
「?」
灯はスマホを確認する。
「…。そっか。買い物ね。」
母親のメッセージに既読をつける。
手を洗って自分の部屋へ。
「さあさあ灯!早くおいでよ!」といってするりとアカリが鏡へ入る。その勢いで鏡が水面のように歪み、うっすらと美術館が見える。
灯も、弾みをつけて鏡をくぐる。
「…っと」
顔を上げるとそこは、鏡だらけの美術館。
「…アカリ」
「?なんだいなんだい」
「今日はお母さんがいつ帰ってくるか分からないからすぐに帰るかも。」
「えぇ〜。つまんないなぁ。ま、予告もせずに来たわけだし、仕方ないかぁ」
「ごめんごめん」
でも、周りの目を気にせずにアカリと喋れるのは楽しい気がする。
「ま、短い時間かもだけど、ちゃんと美術館を案内するよ」
そういってアカリはすいーっと美術館の廊下から大きなスペースへ移動する。
「じゃじゃーん!ここは普通の鏡とかじゃなくて、学校の窓とかショーウィンドウの反射を展示してまーす!どぉ?すごいでしょ」
「うん…すごい」
窓もそうだけど、ショーウィンドウの反射もあるのか…。廊下の鏡と違って迫力あるなぁ。
「いやー、最初に連れてきた時はさらっと流しちゃったけど、大きさとか場所ごとに分けて展示してるんだよ」
「へぇ、にしてもほんとに不思議な空間…。」
アカリと歩きながら周りを見て回る。
学校 の窓とか鏡が多い気がする。
「あっ」
あの鏡、どこかで見た気がする。
ぼんやりと淡い光を放つ、不思議な鏡。
ほかの鏡よりもすこし大きく、枠が古そう。
すると、その鏡がドクン、と波打つように表面が揺れた。
「あっ、。これ、最初に来た時にも見たやつ、だった気がする」
他の鏡とはなんだか雰囲気が違う…。
「あっ、その鏡が気になるの?そういえば最初に来た時も気になってたよねぇ」
と、アカリも近づいてくる。
「…ねぇアカリ。この鏡ってどんなやつなの?
なんか表面がぼやけててなにも反射してないように見えるけど…」
アカリに聞くと、アカリはにやりとした表情を見せる。
「ふぅん?気になるなら入ってみれば?その鏡なら多分灯も入れるよ」
「えっ?あ、いやいや、そこまで気になってないからいいや…」
いや、気になるけど怖いし…
「そ、それよりアカリ。お母さんが帰ってくる前に部屋に戻っておきたいから、もう帰ろうかな。案内してくれてありがとう。」
「へぇ。じゃ、灯の鏡に戻るとしますか」
そういってアカリと来た道を戻る。
「さっ、灯。私の手を取って。エスコート?ってやつなんでしょ、これ。」
と言ってアカリが手を出す。
「うーん、エスコートとはちょっと意味が違うかな…」
「あれ?おかしいな…」
どこで覚えたんだろう…
そう思いながらアカリの手を取る。相変わらずひんやりしてるけど、驚きはしない。
ひょいっと体が持ち上がる。鏡を半分ほど潜ったところでアカリが言う。
「今度からこの鏡はすこし低い位置に展示するよ。あとそれからあの鏡についてだけど…」
そこまでは聞き取れたが、体が完全に鏡を潜ってしまい、アカリが最後なんて言っていたかはわからなかった。
「…戻ってきちゃった」
ちらりと姿見を見る。アカリが来る様子はなく、そこには灯が映っているだけだった。
もう、なんで直前で…。余計気になるよ…。
はぁ、とため息をつき、灯はカバンの荷物を整理する。
そういえば明日は委員会だっけ…。塾もあるし…。まぁ、今後の予定の確認らしいから塾には間に合うはず。
一方、美術館。
アカリは本を読みながら、服のポケットに手を入れ、ペンを取り出す。
美術館の照明を反射して、ガラスのような、飴細工のようなそのペンはキラキラと輝いた。
「たしか、みんな暇な時はこうやってペンをくるくるしてたよね…。なんだっけ、ペン回し?とか言ってたような…」
試しにペンを指の上でくるりと回す。
カチャン
「あっ…。う〜ん、意外と難しいなぁ」
本を抱えながらペンを拾い上げる。
そのとき、どこからかコツ、コツ、と音が聞こえてきた。
アカリはくるりと体の向きを変える。
「あぁ、やっぱり君か。いらっしゃ〜い」
と言って、ペンを持ったまま手をひらひらと動かす。
アカリの視線の先には、1人の少年がいた。
おそらくアカリと同じくらいの年。
栗色の長い髪をうしろで低い位置に結んでいる。
アカリはにっこり笑う。
「ふふっ、相変わらず冷たい顔だね。前髪くらい、もうすこし短くしたら?あっ、それとも、私が切ってあげようか?」