テラーノベル
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──────椎名視点──────
ひたすら泣き叫んだ後、すっと感情が収まる。泣いている場合ではない。私が、みんなの仇を打たなければならない。ただ、人間が魔人に勝てるわけが無い。私は魔法は使えないし、能力は殺しに向いていない。できることは何か?
──────裏社会の人間になればいい。そうすれば、人外の殺し屋でもマフィアにでもに頼めば3人くらい殺してくれるだろう。私が裏社会にはいるためには武器の製造をすればいい。実際に私はさっき剣を作って見せたじゃないか。銃、ロケラン、刀、ナイフ、杖、二丁拳銃、弓、鎌──────あらゆる武器を創って見せよう。そしてコネを手に入れてやる。大丈夫。これは能力の応用だ。だって人外を殺すことが私にとっての『マジック』なのだから。
そう決意を固めた時、外からなにかの話し声が聞こえる。私はドアに近づき、聞き耳を立てる。どうやらひとりのようだ。私は静かに能力を発動する。
(マジック)
私がそう念じれば、ポンッと短刀が出てくる。手によく馴染むそれは昔マジックで使ったものだった。思い出を血濡れにしてしまうのは心が痛かったがやむを得ない。
深呼吸をする。大丈夫。私なら殺せる。ただ、人外かどうかの確認を忘れるな。人間なら最大限に被害者となって、同情を誘おう。人外なら即刻殺せ。心臓を一突きするだけ。大丈夫だ。
私は決意を固め、ドアを勢いよく開ける。
───そこにいたのは不思議な少女だった。桃色のロングヘア。薄い黄色のノースリーブの服。水色の上着に水色のベレー帽スカートを履いている。その瞳はオッドアイで、ツーカラーの目を持っていた。
その少女はあたりの惨状を見ても悲しそうな顔ひとつせず、少し残念そうな表情を見せた。
外見は人間そのものであったが、私は警戒をとかずに近づく。
「あなた、誰ですか?」
私がそう短刀を突きつけて聞く。死の危険があるというのにその少女は顔色ひとつ変えずに話し始める。
「残念でしたね。みんな、死んじゃって。まあ、人間だから仕方がないと思いますよ。」
その言葉には同情も、批判もなく、ただ淡々と事実を語る。しかし、私は『仕方がない』という言葉が引っかかって仕方がなかった。抑えきれない感情が私の思うがままに叫ぶ。
「仕方がないってどういうことですか…!?みんなが死んでよかったと、本気で思ってるんですか…!?」
私がそう尋ねると少女は興味が無いのか、またしても無表情で答える。
「だって、どーせこの世界は誰にも見られることがないじゃないですか。どこで誰が死のうと、それを伝える人がいない限りそこには誰一人いないのと同じ。存在しないということ。」
少女の淡々とした響きはどこか現実味のない話をしているように聞こえた。
ただ、彼女はどこか遠く。ここでは無いどこかを見ていた気がした。
「それに、この結末になったのはあなたの責任でしょう?東雲椎名さん。」
少女はゆっくりとこちらを振り向き、抑揚のない声で言う。しかし、その言葉はナイフのように鋭い。私の、責任。その言葉が脳内を巡る。なんで、どうして。そんな疑問が思考から離れない。
彼女は答えを知っているかのようにスラスラと答える。
「壊れた柵を知らせなかったのはあなた。約束を破ったのもあなた。助けなかったのもあなた。あなたはただ、見ているだけ。いつもそうですよ。こうしようああしようって提案はするのに自らは動かない。ただ観ているだけ。」
そう言いながら少女は距離を詰めてくる。短刀をさらに前に突き刺すが、それを躊躇わずに近づいてくる。そいつが、一瞬得体の知れない化け物に見えた。
「あなたがこの村で唯一の能力者だったじゃないですか。なんでその能力を使わなかったんですか?意味が無いと思った?無駄だと思った?あなたの何か一つの行動で変わったかもしれないのに?」
淡々と突きつけられる言葉のナイフ。私は、言い返すことが出来なかった。それは、事実でしかない。たしかに他の角度から見たら私の行動はそうなる。事実が、私の心を抉りとり、罪悪感と疑心暗鬼が植え付けられる。
「…ま、これがあなたの選択ですから。これからどうなろうが私はどうだっていいです。めめ村の二次創作を書こうと思って覗いて見たら、まさかもう全滅してたなんて…。また別の世界に探しに行かないとなんですけど…。」
「別の…世界?それに、なんでめめ村のこと知ってるんですか…!?」
そいつは私のフルネームを答え、めめ村という私たちしか知らない村の名前すら当てて見せた。私の体は緊張して手が震えてくる。冷や汗が止まらない。朝焼けが私たちの村を照らし、明るく染めていく。
「別にあなたとはもう関わらないだろうし教えましょう。私はこの世界の作者です。言わるる『創造神』というやつですね。この結末を字で刻み、読者の皆さんに提供するものです。」
あ、そうだ。と『創造神』を名乗った少女が私に手を差し出す。
「私と契約してくれませんか?私は面白い物語がみたい。あなたはめめ村のみんなを幸せにしたい。ウィンウィンの関係を築けると思うんですよ!」
その言葉は私に一筋の希望を見せる。もしかしたら、みんなで幸せになれるのかもしれない。復讐ではなく、みんなとまた、平和な日常を送れるかもしれない。そんな希望のもと、私はその手を取る。
「…先に言いますけど、幸せを掴めるかはあなた次第ですよ。本当に、契約するんですね?」
最終確認、と言わんばかりに彼女がそういう。それでも───私の答えは変わらない。
「もちろん。この命、めめ村のために使ってやります!」
「…契約完了。ここからはぜーんぶ自己責任ですよ。」
「わかってますよ!」
必ずこのチャンスをものにしてみせる。私は決意を新たにその契約を結ぶ。
ここで切ります!てことで、契約完了しました〜!やっとこのシーンかけました…。疲れた〜。ここから色んな世界を巡る椎名ちゃん編ですね!所々端折りながら書くつもりです!1部ルートは既に考えてあるのですが、さすがに全部は考えてないんですよね…。ま、考えておきます。頑張りますよー!
それでは!おつはる!
コメント
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仲春さんがサイコパスだった・・・れいまりさん悲惨すぎないか?
人心を理解しすぎてるのよ
創造神が完全にサイコパス化してるなぁ