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──────椎名視点──────
私が『創造神』の手を取ったとき、新たな世界に引き込まれるかのように、今いる視界が歪み、暗闇の世界へと誘われる。まるで、世界の裏側、本の外へと飛び出すかのような、そんな不思議な感覚。
その空間に入り、元いた世界の景色が消えた時、少女はくるりと振り返る。ふわりと広がるその髪が何となく、めめさんの姿が思い出される。あのくらいの、髪の長さだったな、なんて亡き友の姿を無意識に重ねてしまう。
「さすがに神って呼ばれるのは気が引けるので…私の名前をお教えしておきます。私の名前は『仲春』。『春』と読んでください。筆者名みたいなものですけどね。さすがに本名は…非公開で。」
そう言うその立ち振る舞いはただの少女に見えたし、神とは到底思えなかった。もしかしたら彼女は能力者で幻覚を見せられているのでは?という考えが思い浮かんでしまう。しかし、その幻想を打ち破るかのように契約の内容が並べられていく。
「まずあなたには別世界の異世界に行ってもらいます。そこではめめ村の皆さんがいます。まあ、並行世界、別世界、ifストーリー…様々なパターンがありますが、まあ大方本来の人格のままな方が多いので大丈夫ですよ。」
私がこれから向かうであろう世界について説明し出す。つまり、まあ。私が住んでいた世界と似た世界である、ということらしい。まあ、つまり私が今まで過ごしためめさん達ではない、ということだ。ああ、彼女たちを救うことは私には出来ないと言うのだ。…それでも、別世界のめめ村の人達でも、助けることができるなら──────。
「…分かりました。どんな物語でも、どんな世界だろうと…私がみんなを助けます。」
私がそう言い切ると、春…さんは満足気に頷き、話を続ける。
「気合十分ですね〜。…『Aれいまり』。あなたがこの物語で登場する時の名前です。お忘れなきように。」
「急に作者らしい口調になりますねぇ…。ま、行ってきますよ。」
「あぁ、行く時は本を開いてそこに手をかざせば──────」
「こうですね!───てうわぁッッ!?」
「その時の注意点として───、てえ?」
私が本を適当に開き手をかざす。そうすると、文字だらけの世界に急に色がつき、その中に吸い込まれていく。
視界がだんだん白くぼやけていく。やがて、はっきりとその世界の色を感知する。色づけられた世界。青々とした緑。どこまでも広く広がる青い空。───世界は、あらゆる色で溢れている。
私は髪に着いているピンを強く握る。みんなが、私の背中を押してくれるような気がして。
「だ、誰ですか…!!」
その時、背後から十数人の足音が聞こえる。私がパッと振り返るとそこには、見覚えのある顔が並んでいた。───無惨にも殺されてしまったみんなにそっくりだった。
「め、めめさ───」
「あ、れ…?私と、そっくり…?」
私がめめさんに駆け寄ろうとした時、その背後にいた少女に目をやる。茶髪のショートカット。黄緑色の瞳。中性的で、整った顔立ち。そして、黄緑色の上着。
───私だった。私と、瓜二つだった。瓜二つの私は私を見て、そう叫ぶ。
「──────ぇ?」
私から思わず驚きの声が出る。周りのみんなに助けを求めようとみんなの顔をちらりと覗く。───そこには、恐怖や、怒り、殺意が滲んでいた。私は、驚きで声が出なかった。みんなから向けられる殺意が恐ろしくて、怯んでしまう。
「まさか、わざわざメテヲ達の前で姿を現してくれるなんて。馬鹿じゃないの?」
チャキッと軽い音がして私の額に銃を突きつけられる。鈍い光が私の目に反射する。おとぎ話でも聞いたことがない、私には無縁の武器。その鉄の塊が何ができるのか。───嫌な想像がめぐり、冷や汗が止まらない。
「最近、身近な人に変化する人外が多い、と聞きましたが…。まさか、椎名さんのドッペルが現れるとは…。」
そうぐさおさんが悲観するような考えを述べる。私は、めめさんの後ろでビクビクしながら震える自身を見る。
ああ、そうか。パラレル世界にも、私はいるのか。そして、不運なことにもこの世界は様々な人のドッペルと呼ばれる自分そっくりの人が現れるのだろう。───メテヲさんが武器を持っているならば、おそらくこの世界のめめ村は───。
「しかし、君も運がないですね〜。私たちはドッペルハンター。あなた達のような存在を抹消するものですよ。」
そう言って、私に敵意をむき出しにする。私は、みんなを助けに来たのに。それなのに、みんなはまるで私を異物として扱うのだ。
「待って、一旦、一旦話しましょう!話せば分かりますから!!」
私は何とか説得を試みようとするが、メテヲさんは私の頭に銃を強く押し付ける。
「命乞いなんて、何十回も聞いてきた。…もう、聞きあきた。同じ手は二度と喰らわない。」
「ち、ちが!私はッ!みんなを救うために─!!」
「…もう、死んでください。仲間の声で、そんなこと…聞きたくないです。」
そうみぞれさんが言うと、メテヲさんが引き金を引く。
バンッ!
そんな大きな音が私の耳に響く。その鉄の塊から、さらに先のとがった鉄が私の皮膚を貫通し、脳を貫通する。身体中に通った血管に収まっている血がその衝撃に乗じて勢いよく吐き出される。
微かに、声が聞こえる。悲鳴、だろうか?なんで、血が、流れ、ているのか、?ほんと、うに、人間、だったの、では、無いか、?
そ、んなぎも、んが、、、めめむら、のなかで、あふ、れている…。
失敗したのだ。みんなを救う前に、仲良くなる前に私は死んでしまったのだ。本末転倒では無いか。私がうまく説明できなかったせいで、みんなに人殺しという称号を与えてしまった。
あぁ、ごめん…ねぇ。
ここで切ります!
Aルート/失敗/銃による射殺
世界線:ドッペルゲンガーが現れる世界。
めめ村:ドッペルハンター
ドッペルハンターとは?
→ドッペルゲンガー抹殺を目指すグループ。グループ構成全員が人間であるが、そこそこ腕が効く。しかし、この後椎名の血に誘われたドッペルの大軍によって命を落とす運命。
Aルート失敗です。みんなの信用が取れず死亡、ということですね。ちなみにこの世界ではめめ村の立ち絵に、黒いローブを羽織ったような感じです。
久々の投稿ですねー。ちょっと下手になってるかもしれません。お許しを…。
今回登場した黒色の世界は本の外でありながら、私たちと同じ世界ではない、ちょうどその狭間の世界です。その黒い空間にはあらゆる可能性によって分岐した本がしまわれています。その本の中に入ることで異界渡りをしている、と言った感じですね。まあ、ずっと黒色の世界と呼ぶのは…って感じなのでこの物語の中では『創界典』と呼ばせてもらいます。よろしくお願いしますね〜!
それでは!おつはる!
コメント
16件
じゃあTは今も続いてるんですかね…
やっと読めるようになった…
えーとABCD…S…ん!?本編に続きこれも長編になる…?