「…ゆきむ…ら。…..」
「…」
「…本当に、辞めちゃうの…?」
朝からカラオケで2時間歌って。そろそろ帰ろうかという頃。
しゆんが震えた声でそう聞いてきた。
3月の中頃。
僕はメンバーに、辞めたい。本当に、という事を話していた。
そまとの間題の時は皆止めたとはいえ、今回のは理由を話すと嫌々承諾してくれた。
リレーも、ライブもやるし。
でも…こいつだけは絶対、頷かなかった。
「…ゆきむら。….」
「…なあに。」
「…俺、ゆきむら。が辞めるの本気で嫌だ。」
「…うん、知ってる。」
「…俺、あんな理由じゃ頷けない。」
「…だけど」
「…俺嫌だって!6人で…この6人でやって行こうって行ったじゃん!Knight Aが墓場だって…そういったじゃん!」
「…」
「なーさんがお前を嫌いだから、お前を辞めさせようとしてるから、もしかしたら俺達もやめさせられるかもしれないからって…別にいいじゃん!他のところいったり….6人でなら….いい…じゃん…」
「…しゆん。」
「お前が居たから…だから俺は…好きでもないグループに入るのを了承したのに….お前が居なくなったらどうすれば…」
「…しゆん。」
頭に手を置く。子犬みたいな瞳が大きく揺れた。
「…ごめん。でもさ、お前らが辛い思いする位なら、僕だけで良いんだよ。」
「…そん…そんなの…」
「…一人くらい居なくたって、変わんねえよ。」
「…っ…ゆきむら。…ゆきむら。…」
分かってた。多分、変わってしまう。形が変わってしまう。だけど…僕が居なくならなきゃ駄目なんだ。
言いたいことは沢山あるだろうけど…こればっかりは聞けないや。
「一緒に居られなくて、ごめん。でも、しゆんは一人で頑張れるから。頑張れる人間だから。」
「…うん…」
「…もし…さ」
「うん。」
「…俺が、お前なしじゃ無理だったら…さ」
「…うん。」
「お前のとこ、行っていい…?」
「…うん。いいよ。」
耐えきれなくなったなら、それは僕の責任でもあるから。
…いつでも、来ればいいよ。
「…行きたいとこがあんだよね。…すっごい行くの怖いけど。」
「…行って、いいのかな。」
少しだけ声が震えているのは、端末越しでも分かった。
関係が悪くなろうとも、お互いの印象が悪くとも。
これだけは、ね。
様々な意見が飛び交うコメント欄。
そこに僕は、一言だけ、打ち込んだ。
「いいよ。」
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