テラーノベル
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「あ~ん(はぁと)待ってぇ~洋平さぁ~ん、一緒に泳ぎましょう~~♪」
洋平を追いかけて海に入る、アイドル走りの由紀を見て、くるみは思わずムカついて心の中で叫んだ
ギャーッ!(怒)「洋平君の前で走らないでよっっ!おっぱい揺れてるじゃない!ちょっと!!洋平君の前でお尻見せてかがまないでよ!具が見えちゃうじゃないっ!!」
咄嗟に自分も海に入ろうかと思ったが、あんな体を見せられたら、その隣に立つ勇気はとてもではないが、今のくるみには持てない
しかたがなく、くるみは悶々としながらでも、その場に体育座りで膝を抱え、ポツリと一人荷物番役をすることにした
あ~あ・・・ハッピー・ハネムーンの出だしは憂鬱だな・・・・
ふと横を見るとポツンと慎吾がくるみと同じ体制で隣に座り海を見ていた
「・・・どうして由紀さんと泳がないんですか?」
くるみが慎吾に聞いてみた
「僕・・・泳げないんです・・・」
「なのにハワイに来たんですか~?」(←自分の事は棚上げ)
し~ん・・・と二人で海を見つめる事30分
「あ・・・あの・・・助かりました・・・由紀ちゃん・・・僕と二人でいても退屈そうにしているんで一緒に遊んでもらってありがとうございます」
慎吾がボソボソとくるみに話し出す、ナヨナヨしている慎吾にくるみが少々イラついた
「でも新婚旅行に来たんですよね?私達こそお邪魔してません?」
「僕・・・由紀ちゃんと二人でいても何話していいか分からないんです・・・ハワイも・・・由紀ちゃんが行きたいっていうから来たんです、いつもの僕は・・・何ていうか・・・女性と接触したことがあまりないものですから・・・センスが無いっていうか・・・」
慎吾が小さく砂の山を作りながら言う
「でも由紀さんは慎吾さんの事が好きなんだと思いますよ、だから結婚したんじゃありません?」
イジイジ・・・「ハイ・・・今だに信じられないんです・・・由紀ちゃんみたいな綺麗で可愛い子が僕なんかと結婚してくれたこと・・・」
にへっと慎吾がへらへら笑う
まぁ・・・なんだかハッキリしない人ね・・・
くるみは人差し指を立てて慎吾に言った
「そんな自分を卑下しちゃいけないわ!由紀さんとお似合いよ!後は慎吾さんがもっと堂々としていればいいじゃない」
イジイジ・・・「由紀ちゃんにも同じ事言われるんですぅ~でもぉ~・・・由紀ちゃんに嫌われたらと思うとぉ~
何も言えないんですぅ~」
「ダメ!ダメ!そんなことじゃ!結婚は最初が肝心よ!もっとビシッと夫らしくしないと!大体慎吾さんがそんなだから、由紀さんがあんな(紐)を着るようになるのよ!」
あんな紐でウロウロされたら洋平君の目の毒よ!
イジイジ・・・
「そんなものですかねぇ~・・・」
「そーよ!そーよ!二人は夫婦なんだから遠慮なんかしてちゃダメよ!言いたい事もっと言いあってね!もっと慎吾さんもビシッと言えるはずよ!紐を着るなってね!」(←自分が嫌なだけ)
自分の事は棚上げのくるみが、母親譲りの結婚人生についての説教がハワイの空にいつまでも広がった
・:.。.・:.。.
夜になって二人はホテル内のナイトクラブに出かけた
そこは素敵なナイトクラブだった
照明は控えめで、高い天井から床まで白い布が優雅に垂れさがる中、真っ白なソファーが並び、マティーニは飲み放題だった
ダンスフロア中央のステージでは、ファイヤーフラダンスショーが始まり、派手な演出に感動した洋平が歓声をあげ、両人差し指を口に入れ、甲高い口笛を鳴らした
そして今、ダンサー達はしっとりとしたハワイアン音楽に耳を傾ける人々を、ダンスフロアへと誘っている
「オアフ島の方にも、評判のいいナイトクラブがいくつかあるのは知っているんだけれど、わざわざ出かける事ないね、ホテル内がこれだけ充実してればここで遊ぶだけで十分だね」
くるみはマティーニをペロぺロ舐めながら辺りを見まわした
「どこか快楽主義的なムードが漂う店ね!そのモヒートはどう?アルコール強い?」
「ちょっと甘いな、辛口が好きなんだがきみのマティーニは?」
「おいしいけどお酒の味が濃いわ」
くるみが言った
「こんなの飲んだらすぐ寝ちゃいそう」
「寝るつもりなの?」
と、洋平がくるみの唇を見つめながら言った、くるみの中で血が騒ぐような落ち着かない感覚はどんどん強くなっていた
ああ・・・ハッピーハネムーンの予感・・・(はあと)
「踊ったほうがいいな、目が覚めるからね、寝られたら困る」
「踊ったことないわ」
「僕もだよ!せっかくだから!新婚らしいことしよう!」
くるみはもうひと口マティーニを飲んだ。昼間のビーチではほとんど由紀さん達と一緒で、なかなか二人っきりになれなかった
結局くるみはビキニを洋平に披露できないまま不満が募ったが
今の二人はとっても良いムードだ。くるみはこの日の為に買った水色とピンクのグラデーションがキレイなドレスを着ていた
くるみのドレスアップした姿を見て、彼は優しく微笑んだ。人魚みたいだと褒めてくれた
私達はお似合いのカップル!ラブラブハッピーハネムーンを仕切り直しよ(BGMドラクエ)
「踊り方教えてね」
クスクス「僕もわからない・・・」
洋平はクルミに手を差し伸べた。くるみは洋平に導かれるままダンスフロアについてきて、二人向かい合った
音楽がR&B調に変わる・・・くるみは今だけはすべてを忘れて楽しもうと心に決めた
「ステップは?」
「ン〜・・・揺れてればいいんじゃない?」
この曲の間・・・
洋平君の香りや感触に浸り、少しだけ大胆になって彼を誘惑してみよう。素敵な誘惑もハッピーハネムーンを楽しむための重要な要素だ
くるみは洋平の首に腕を回し・・・・ぴったりくっついて胸を彼の分厚い胸板に押し付けた
彼がハッと息を漏らし、さらに体を強く引き寄せてくれた
「キスしてもいい?」
その声はくるみ自身の耳にも、欲望でざらついて聞こえた。彼はくるみの答えを待って・・・瞳は欲望に陰ってい る
「そんなこと聞かないで・・・」
私はあなたのものなのよ・・・いつでもキスしていいの・・・
甘い禁断の果実を味わうように、二人はそっと目を閉じ、唇が近づいた
・:.。.・:.。.
「あら~~~!くるみちゃぁ~~んすっごいぐぅぜぇ~~~ん」
同じダンスホールの、すぐ隣で踊っていた由紀と慎吾がくるみ達を見つけて声をかけた
くるみが変顔になったのは言うまでもない
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