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兵役に就き、暫くした頃の夜。
慣れぬ生活で寂しくなった時に、
厳しい訓練で苦しくなった時に、
脳裏に必ず浮かぶのは、
アッパとオンマの顔と、
そして菊、お前の顔。
お前は俺が入隊する日、
すっごく泣いてたよな。
俺と暫く会えない悲しみに、
国の酷い現実への悲しみに、
ポッコの色に染まった頬を、
温かく透明な涙で濡らして。
俺の身を案じ、俺の行く先を想い、
静かに、ただ只管に咽ぶその顔は、
この世の何よりも、美しく見えて。
家族以外にも、こんなにも俺を愛する人が、
まさに今、この世に生きているという事実。
改めて、嬉しく思う。
そんな愛しいチャギヤのためにも、
明日もより一層、訓練に励もうと、
強く心に誓って、俺は瞼を閉じるのだ。