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今日も今日とて💚💙
第二話 📕読書日和〜朝を結ぶ
翔太 side
今日も今日とて、
ほどけた夜の続きを、
朝が結び直す。
いつもの彼の匂い――
時計の針が優しく響く。
朝を告げた小鳥の鳴き声。
いつもの彼の匂い――
いつもより……近くで感じる。
柔らかなブランケットの質感の中に、立ち込めた彼の香水の香り。出処を探すように手を伸ばすと、温かい彼に触れた。
指先に触れた温度が、思っていたよりも近い。
離れようとして、やめた。
動けば、この静けさがほどけてしまいそうで。
ブランケットの内側で、呼吸のリズムがゆっくり重なる。
目を開けなくても分かる輪郭。
名前より先に、胸の奥がやわらいだ。
昨夜の気配が、体温のかたちで残っている。
待っていたのではなく、隣でほどけていた時間。
そう気づいた瞬間、指先の力が抜けた。
起こさないように、呼吸を合わせる。
思わず亮平の唇に触れたくなって近付くと吐息が静かに頰に触れた。
そのまま触れない距離を保ってとどまる。
これ以上近づけば、朝が形を変えてしまいそうで、そっと彼に背を向けた。
カーテンの向こうで、光がゆっくりと色を持つ。
夜はほどけきり、朝が形を結びはじめる。
同じ温度のまま、目を閉じた。
衣ずれの音が半拍。
背中に体温を感じる――
「こっち向きなよ?」
うなじに亮平の息がかかった。
胸が熱くなり、鼓動が早まる。
お腹に回された亮平の腕が優しく抱き寄せるとギュッと力が加わり、隙間なく距離が縮んでいく。
ふたりの足が絡み合い、ひとつ分の呼吸音が響き合う静けさの中で、ゆっくりと後ろを振り向くと〝おはよう〟と言い終える前に唇が重なった。
「ンンンッ……りょうへい?」
「やっと触れた」
重なった唇の奥で、呼吸の居場所が揺らぐ。
肩を抱かれて見上げると、ブランケットから覗く亮平の顔。
男らしく、艶やかで目が合った途端に胸が跳ねた。頰を撫で
「舌ちょうだい」
と言った亮平に萎縮すると、クスッと笑い声が漏れて、首元に吸い付かれた。
「……んっ」
乱れる呼吸に、熱くなる体。
耳に亮平の舌が這い、自然と開かれた唇に吸い付くように重ねられた亮平の唇。軽く手で亮平の胸を押し退けるも、びくともしない。
「ふふっ……上手に口開けれるじゃない」
口内に舌が侵入し、上顎を擦った。
優しく歯列をなぞる亮平の舌を必死で追いかけ、交わると、指を絡ませ、貪られるままに身を委ねた。
長く細い指が腰に触れた瞬間、胸の奥がぎゅっとなる。
緊張と安心が入り混じった感覚が、ゆっくり体全体に広がる。
亮平は、緊張を解くように優しく体の輪郭を撫でた。
昨夜まで、美しく頁を捲っていたその指は、次第に男らしく豪快に臍の隙間からズボンの中に侵入した。
侵入した指は繊細で優しく、俺のモノに触れた。
「待ってリョウ……」
「充分待った
夜がほどけてしまうほどに――」
〝ボッ〟と音が鳴ったかと思うくらい……
――きっと顔が真っ赤だ。
ふと視線を落とせば、床に寄り添うふたり分の書物。
朝日に照らされて、どこか恥ずかしそうにも見えた。
朝日に縁取られ、頁の白がやけに眩しい。
「よっ……読んだの?」
「ごめん、でも……嬉しかった」
「同じ時間を過ごせて?」
「ふふっ……そう」
胸の奥がじんわりと熱くなる。
同じ夜を、同じ時間を過ごしていたことが、指先や呼吸を通して確かに伝わってくる。
手が触れ、体温を感じるーーそのぬくもりを確かめるように、亮平は片方の手でズボンに指をかけた。
「ちょっちょっと……」
「捲っちゃったりして……」
「バカページめくるみたいに言うなよ。雰囲気ぶち壊しだよ」
「翔太を前に雰囲気も何もないでしょ」
そう言いながら茶目っけたっぷりに笑うと。下着ごとズボンを剥いだ。
「体は正直だね///俺を求めてる」
「ヤダァ///」
顔を覆った俺の手を掴んで、頭上で指を絡めると唇を重ね合わせる。主張しだした俺のモノに擦り付けるように亮平が下半身を寄せてきた。
「っ……」
〝どうしたの?可愛い子ちゃん〟だなんて意地悪く笑って、亮平の胸に拳を打ち付けて抗議する。
「焦らすなよ…胸がドキドキしちゃう///
心のしおりが飛び出しちゃいそうです……」
「あらやだ////じゃあ、一気に背表紙まで全部剥いじゃいましょう」
「何でそうなるの////いやぁ…」
朝の光の中で、夜の続きを読むみたいに、ゆっくりと頁を重ねていた。
互いに見せ合う小さな笑顔が、昨日の余韻をそっとなぞる。
ページをめくる音だけが、ふたりの時間を確かにしていた。
言葉にならない確かさが、胸の奥で静かに綴じられていく。
コメント
8件
短編じゃないことに大歓喜😍😍😍