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研究室で過ごすことが多くなってきて、4年生が何をしているのかというのも見れるくらいにはなって来たとき。研究室の中にはプリンターが有る。それも一般家庭用のではなく、それなりにいい感じの大きさのやつ。
それが昼夜を問わず動き続け、さらにその印刷物をまとめて本にする作業をしている4年生が何人かいた。
「・・・それなんですか?卒業論文?」
製本まで自分たちでするのか。と思っていたのだけれど、そうではなかったらしい。けど、卒業論文ではないとのこと。でも、論文だよ。と教えてくれた。
環境論文と書かれた表紙。中身は10期生が書いたモノらしい。
「まっちゃんたちもいずれ書くことになるから」
小山さんが僕にそう言った。
書くの?なにを?内容の気になった僕は一冊受け取ると中を開いた。すると、何となくわかるような、わからないような。書いてあることはわかる。けれど、わからない。という気持ちになるそんな論文。
書いてあるのはシュタイナー教育のさわりのこととか、キックオフ合宿のこと、それと感謝祭とか会計報告とかそんなことだった。
「森田塾のまとめたのがこの論文ってことですか?」
「まあ・・・それでも間違いじゃないけどね」
「そうですか」
僕は小山さんに論文を渡すと自分の机に戻ることにした。別に興味がないとかそういう話ではなく、ただ単にわからないのであんまり思ったことを言わない方がいいだろうという僕の感覚がそこにあった。
でも、いずれにしてもあれをこの時期には作るということは知った。ただそれだけなのだけれど。と、目を部屋の本棚に向けると、そこには各期がやった「環境論文」がそれぞれ置かれていることに気が付く。
「8.9・・それぞれ作ってるんだ。こういうの」
でも別に中身をみるわけでもなく、ただそこにあるということだけを確認するだけ。特に何も思わなかった。
OB会当日になった。森田研を卒業し、それぞれの期の人たちがやってきた。最大で10年くらいの先輩がいるわけで、そうなると完全に学生と社会人みたいな構図になる。企画のビンゴゲームもつつがなく進行し、終了。矢代さんの言う通り、ある程度ネタみたいなのを仕込んだのも良かったし、空気を読んで先生に商品を渡すこともできた。
「とりあえず、ひと段落?」
と思っていたのだけれど、次の日には味噌作りが行われる。そのOB会がおわったあと、新4年生は中部屋に集まって、明日からのスケジュールと作り方を早坂君が発表しているのを聞くことに。
「・・・大豆と樽はかってきてあるから、それで。で、最初に大豆を洗って・・・」
スケジュールを見ると僕はどうやら洗うのをやるらしい。
「それで、作った味噌なんだけど、文化祭で売ることになる」
と早坂君が言う。森田塾でかかる費用は大学側が出しているわけでも、イガさんでも、院生、OBでもない。こうやって自分たちで稼いでいるらしい。現に僕らが塾で使っているスケッチブックやクレヨンなどはそこから出ているとのことだった。
るるくらげ
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保谷東