それでは、
どうぞっ。
ーーーーー
私の耳に海の波の音が響く。
海に来るとあの人を鮮明に思い出す、
一度も忘れられないあの人。
💙「ゆず…、」
届くはずのない言葉を海に向かって吐く。
ーーーーー
🩵「ももちゃんー」
🩵「教科書忘れたから見せてー?」
💙「ええ、また?」
💙「別にいいんやけど…」
🩵「よっしゃ。」
可愛い顔をして気さくなところが好きだった。
🩵「てかさ、今日放課後海見に行かない?」
💙「ほんと、好きなんやね。」
💙「いいよ、自転車の後ろ乗る?」
🩵「乗る!!」
ーーーーー
💙「いい加減見飽きたかもしれん…」
私は海を見ながらゆずに話しかける。
🩵「海に見飽きるとかあるの?」
🩵「私はずっと見てられるけどなー」
🩵「…そうだ。ストレス発散に叫ばない?」
💙「急に?狂った?」
🩵「狂ってなんかないし!!」
💙「フツーさ、やるなら山なんじゃないん?」
🩵「細かいことはいーの。気にしない、気にしない。」
🩵「あ、じゃあ私の今の気持ち叫ぶね。」
彼女は空気を大きく吸った。
🩵「ももちゃんが好きだー!!!」
💙「はっ、ちょっ、ばか…!!」
🩵「ふう、スッキリした。」
🩵「ほら、ももちゃんも早く!!」
💙「しょうがないな、ったく…」
💙「…ゆずが好きだーー。」
🩵「やだ、もう〜ももちゃん大胆〜♡」
💙「殴るで。」
ーーー
こんな何気ない日常が好きだった。
でもこの日常は壊れた。
壊された。
ゆずは自殺した。
海で、溺死。
ぶっちゃけこんな時も海なん、と思った。
自殺の理由はいじめ。
私は毎日ゆずと一緒にいた。
でも、気付けなかった。
腕にどんどん増えていく傷を、
心の傷を。
その話を聞いた時、私は怒りで震えた。
いじめの加害者にも、いじめを気付けなかった私にも。
💙「馬鹿…」
本当に馬鹿。
ゆずが私のことを恋愛的に好きなのはわかっていた。
私も、好きだった。
勉強が落ち着いてから告白しようと思っていた。
でも、もう勉強が落ち着いても
私が告白する相手はいない。
ーーー
なんて、昔のことを思い出していたら私の頬には涙が流れていた。
昔といってもさほど昔じゃないけど。
ゆず。
私が一番好きな人、好きだった人。
私が一度も忘れたことのない人。
💙「泣いとる場合じゃない、早よ終わらせんと…、」
私は海の波がギリギリ届かないところで靴を脱いだ。
あの頃、ゆずとお揃いで買ったローファー。
その靴の中に手紙を入れて
私は海の中へ入った___
💙「待っとてね、ゆず。」
💙「すぐに“逝く“から。」
end…
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