ママに、会いたい。僕だけ、捨てられた。
どうしてこんなに不幸なのか。どうしてこんなに寒いのか。
白い光が舞う季節に生まれた僕。白い光が舞う季節に捨てられた僕。
僕の白いお洋服が、だんだんと黒くなってきた。白い光は美しかったが、僕をだんだんと黒く染めた。
そうだ。我慢しなきゃ。
前の飼い主さんは、辛い思いをしたから、その黒い思いを僕にプレゼントしたんだ。僕は、だんだんと黒くなり、飼い主さんはだんだんと白くなった。
………”前の”飼い主さんはね。
捨てられてからの僕のご飯は、ほぼ水分の臭い生ゴミだった。
口にもしたくない味。でも、食べなきゃ死んでしまう。
生ゴミを食べて、今のお家のダンボールに戻る。それの繰り返し。
いつの間にか、僕は温かさを求めていた。今まで感じたことない温かさ。
空からお水が降っている日、いつも通りダンボールで雨宿りをしていた日。
僕は、あなたと出会った。
今の飼い主さんは、黒く染まった僕を、また白くしてくれた。
不思議な感触に揉まれて、白くなった。飼い主さんも、僕も、白くなった。
誰かを黒くしなければ生きられないことはないって教えてくれた。
飼い主さんのお膝は温かい。白い光に冷やされることはもうない。
飼い主さんがくれるご飯は美味しい。おやつは、その中でも特別美味しい。
なんの味かは分からないけど、とても美味しい。僕はこの味が大好き。
飼い主さんも大好き。
飼い主さんがつけてくれた輪っかは、時折チリンと音を立てる。
この音は心地いい。飼い主さんのことを思い出す。
この輪っかは、僕と飼い主さんを繋いでくれてるんだ。この人に出会えて良かった。
コメント
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感動系っ! にこのいっちゃん好きなやつですよそれ! 夜空さん…もしやエスパーなのでは…?