雪くんと出会って5年後。
僕らは、仲良しになった。相思相愛だ。
雪くんはずっとついてきたり、足元をウロチョロしたり、趣味のゲームをしているときは、キーボードに乗って邪魔してきたり。布団に入ると、一緒に入ってきたりする。
それくらいの仲で、5年間元気に過ごしてきた。
…………だけど、最近は違った。
雪くんは、ちょっと階段を上るだけで息切れするし、食欲も全然ない。大好きだったマグロキューブも食べなくなった。一緒に布団に入ってくれなくなったし、ずっとゲージで寝ているだけになった。
流石の僕も、様子がおかしいことが分かっていた。
だから、今日、雪くんをお医者さんに見せに来たのだ。
何も、なければいい。ただの気分であってほしい。でも、そんな僕の願いは叶うことなく、
「拘束型心筋症ですね。」
なんて、全く知らない病気がお医者さんの口から出てきた。
「拘束型心筋症……?治るんですか?雪くんは、まだ生きられますか!?」
必死だった。雪くんがもう、生きられないなんて嫌だ。雪くんがいない生活なんて、考えられない。
雪くんは、僕を見ながら呼吸をしている。口呼吸で、呼吸の数は多い。
「……残念ながら、治ることはありません。」
お医者さんは、雪くんを見つめながら呟いた。
自然と、目に涙が溜まってきてしまう。
「完治はすることはありませんが、症状の緩和をすることならできます。それでも、亡くなってしまう猫ちゃんは多いですけど……。」
「ちょっとでも、長く一緒にいられるなら、いいです。」
その後、雪くんには色々な薬が投与された。雪くんは大人しく従っているだけだった。
家に帰り、雪くんを床に下ろしてあげる。でも、雪くんは歩く気力がないのか、その場で眠りについてしまった。
それから、1分、1秒経つにつれ、雪くんがぐったりしてくる。
どうやら、薬は効かないようだ。そういう体質だったのかもしれない。
だんだんと、雪くんが弱っていく。
僕にできるのは、ただ、そばにいるだけ。
もう、死んじゃうかもしれない。なんとなく、そう感じる。
心臓がなんか変だし、飼い主さんは悲しい顔をしている。
多分だけど、虹の橋を渡る日は近いのかな。
歩きたくない。なるべく、眠ったまま飼い主さんを見ていたい。
あわよくば、飼い主さんがこっちに来てくれたらいいのに。
飼い主さんは、僕がいなくなるって分かってるのかな。
僕も、飼い主さんと離れたくないよ。なるべく、長く近くにいたい。
………でも、それは叶わないんだね。
飼い主さんと過ごしていた日々は、とっても幸せだったよ。
だから、神様、お願い。
ちょっとだけ、僕に時間をちょうだい。
まだ、やりたいことがあるんだ。ちょっとの間に、絶対やり終えるから。
コメント
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おr((ん"ん"ッッ雪くん!?え、大丈夫そ?