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番外編109『もう全て壊れてしまえ』後編〜辛いなら一緒に泣いてあげる〜
執事達が過去の絶望を思い出し、自暴自棄になり、壊れてしまいそうになる。主様、どうか彼らを止めてあげてください。彼らには貴方しかいないのです。悪魔化してしまう前に、貴方の言葉で救ってください。彼等の心の中に入り、貴方の言葉で……。
別邸2階
🐾
『俺は、2000年以上眠り続けてきた。だから今更長く眠ることくらい…いいんだよ。永遠に眠り続けることになっても……構わない。』
『ベレン、なんでそんなこと言うの…私は…。』
『主様。ごめんね。頼りない俺で…。もっと一緒にいてあげたかったけど、俺はもう無理みたい。思い出す度に苦しくなる。自分が…どれだけ弱いか。ゴエティアの代わりを努めようと必死に頑張ったつもりだけど…やっぱり…。』
私はベレンに近づいてそっと頬を包み込む。
『主様…?』
『ベレンは……。頼りなくなんてない。面倒見が良くて…優しくて…。いつも癒しをくれて…。どんな時も傍にいてくれた。そんなベレンが私は好きなんだよ。だから…居なくならないでよ……。私の前から…消えないで…。』
『主様…っ。』
俺は涙を堪えて主様を抱きしめる。
『っ、ごめんね…すぐに収まる…』
『いいんだよ。私だけには情けないところみせても。』
『優しいね…主様は。ほんと、敵わないね。』
🤍
『我にもう構うな。放っておけ。』
『そう言われて……素直に従えって?馬鹿にしないでよ。』
『……!』
『シロらしくないわ。シロはいつも強気で、どんな時も冷静で……。誰よりも強い心を持っていて…。私の大切な執事なの。辛いのも悲しいのも…分かるよ。でも。全部投げ出してそっちにいくつもりなら私は絶対に止めるから。』
『…お前に、我の何が分かる。まだ我は執事になってから日が浅い。それなのに、我の何を分かるんだ。我が弱いせいで、同胞を失った。沢山いたのに……帰ってきたのは赤ん坊だけ。もう少し早く……あと少し早かったら…失わずに済んだのに。』
シロは涙を堪えて私を睨みつける。
『この辛さがお前に分かるのか?』
『…分からないわ。それはシロの言う通りよ。でも。』
グイッ。
私はシロの手を掴む。
『知らなくても、分からなくても、歩み寄って一緒に泣くことくらい…私にも出来る。』
『……っ。』
シロを抱き締めて囁く。
『私も見ないから…今だけ、沢山泣いていいよ。』
『っ…。戯けが……っ。』
シロは私を抱きしめる。
そして、静かにすすり泣く。
『…もう少し、このままでいろ。』
『…えぇ。分かったわ。』
『……ふん。』
🐦⬛
『ご主人サマも物好きだね。ここまで俺を助けに来たんだ。俺は自分の弱いところを知られるのが1番嫌いだ。既に強い心を持っていないとね。』
『それは…マフィアのボスだから?それとも、私の執事だから?』
『俺がマフィアのボスだからだよ。こんな弱いところ、見せられない。』
『…そう思うなら、私の前ではどんなクロウザーでも受け入れるわ。私の前では…弱い所を見せてもいいのよ。』
『ふっ。優しいね、ご主人サマ。でも…今の俺は自分を抑えられない…。』
クロウザーは私を押し倒す。
ギラッ。
刃物を突き付けられる。
『……逃げないの?』
『…私の知ってるクロウザーは私を刺したりできない。それでも刺すならそれでもいい。』
『っ……。』
『私は分かる。クロウザーは優しい男だってこと。私に刃物を刺すことなんて出来ない。』
『…っ。本当、お人好しっていうかさ…。
ずるい人だよね…。』
クロウザーは武器を落とした。
すかさず私はクロウザーを抱き締める。
『っ、ご主人サマ…?』
『こうしたくなったから。ふふ、クロウザーならこういうと思って。』
『!はぁ……本当、ご主人サマはいつも一枚上手だね。それなら甘えさせて貰おう。』
クロウザーはそっと私を抱きしめる。
『……ありがと、ご主人サマ。』
本邸1階
🫖
『これまで、沢山の悪魔執事を見捨ててきました。悪魔化した執事を見殺しにしてきたんです。ベレンを救う為、私は仲間の命を犠牲にしてきた…最低な人間なのです。救いようがないでしょう…?こんな私なんて……。』
『ベリアン…っ。』
(今となっては仕方ないこと…。その話を初めて聞いた時、もちろん驚いたけど、それでも私はベリアンのことを拒絶したりしてない。むしろ……。)
助けたいって、思ったから。
私はベリアンにゆっくり近づく。
『っ、来ないで下さい!』
ぶわっ!
黒いモヤが私に襲いかかる。
『っ!』
『私は、貴方まで傷付けたくない……。お願いします…。』
『……ベリアン。私はベリアンのこと責めないよ。仲間を見捨ててきたって言ってたけど…その分…ずっと辛かったんでしょ…?心の中で…仕方ないと思っていても…やっぱり、仲間の命だもん…。』
ベリアンに歩み寄りそっと頭を撫でた。
『辛くて、苦しくて…何回死のうと思ったの…?それを何年も1人で……。』
『っ、主様…っ。』
『帰りましょう?ベリアン。』
『っ…。』
ベリアンはゆっくり私を抱き締める。
『すみません、落ち着くまで抱き締めさせてください…。』
『…えぇ。もちろん。』
『主様…ありがとうございます…っ。』
🍳
『俺には沢山の妹と弟がいました。だけど、今はもういない……。それも、俺のせいで。
あいつらにとって俺は兄貴なのに俺が守れなくて、俺だけが生き残って…最低ですね、俺って。』
『ロノ…。ロノのせいじゃないよ…だって…』
『悪いのは貴族…ですか?そんなの、分かってます……。でも。俺はあいつらを守るって決めた、守れなかったのは俺のせいです。』
(ロノはずっと囚われの身だった。妹や弟が沢山いたっていう話も聞いていた。その子たちを守れなかったのは自分のせいだと責めてるんだ…悪くないのに、ロノは悪くない…だけど、
そう思ってる以上、私が何を言っても…。)
『もう、放っておいてください……俺はこのまま死ぬ…さよなら、主様。』
『っ、ロノ――!!』
私は叫んでロノの所まで走る。
『!?』
バチンッ!
『っ!』
『はぁ、はぁ、目が覚めた……?ずるいわよ、バスティンが悪魔化した時、優しい言葉をかけてくれた…それなのに私の言葉は届かないなんて…。私も、誰もロノを責めてない…ロノは……悪くないの。』
『あるじ、さま…。』
『っ、う…っ。』
『な、なんで主様が泣いて…』
『っ、感情が高ぶったからよ…っ。』
ロノの手を掴む。
『帰るわよ、ロノ。デビルズパレスに。』
『主様…。はいっ。帰りましょう。』
⚔️
『今でも手に残る……親友を、ジェシカをこの手で…殺めたこと。』
『バスティン…。』
『俺がもっと強かったら失わずに済んだのに。ジェシカは死んだ。俺のせいで……。』
『バスティンのせいなんかじゃないよ…だって、悪いのは…。』
『あぁ…そうだな。悪いのは保身の為…ジェシカを殺した団長だ。それなら俺が死ぬべきだった。俺よりジェシカの方が誇り高き戦士に相応しかったからな。』
(そうやっていつも…自分のせいにしてきたんだろうな…感情を押し殺し、我慢し続けて……。)
『バスティン。』
『主様…?』
『何度でも私は貴方を救う。今ここで悪魔化しても…何度でも救ってみせる。』
ギュッ。
『バスティン。生きてくれて……ありがとう。私を守ってくれてありがとう。』
バスティンを両手で包み込む。
『主様…。』
『バスティンの為ならいくらでも泣いてあげる。壊れるなら一緒に壊れてあげる。』
『主様…。俺の主様は本当優しいな…。』
地下
🕯
『私は医者として未熟だ。軍医だった時の私は目の前の命を救うことだけを考えていた。手の施しようがない患者でも…どんな人間でも助けると。救ってみせると……医者としての信念を貫きたかったんだ。』
『ミヤジ……。』
『呆れてしまうよね。医者は命を救うことが使命……。それなのに救いたい命だけを優先して他の命のことなんて、考えてなかった。切り捨てるという選択肢なんて、私にはなかったんだ……。』
(ミヤジはルカスとは違う。2人は医者だけどそれぞれ信念がある。どう受け止めたらいいかなんて、分からないけど、私はミヤジを救いたい。これは、私の信念だ。)
暗闇の中で、佇むミヤジにそっと歩み寄り、大きい手を握り締める。
『ねぇ、ミヤジ。私はね、この大きな手に何度も救われてきたのよ。辛い時、ミヤジの音楽を聴くとね、安心するの。悲しいけど、涙が出ない時も…ミヤジの音楽は自然と涙が出てしまう……。ミヤジには、人を癒す心がある。ミヤジには……誰かを救える力があるの。』
『主様……。』
『ミヤジは未熟なんかじゃない。いつだって誰かのことを考えてる…優しい人よ。』
『…っ。ふふっ、私の主様には敵わないね。ありがとう…主様。』
❤️🩹
『もう、痛いのも、苦しいのも、嫌だ…。誰か、僕を助けて――。』
『精々苦しめ、ラト・バッカ。』
『ラト――!!』
『悪魔執事の主…!どうしてここへ…』
『わたしはラトを助けに来たの!許さない、ラトの心を支配して……っ。』
『こいつを助ける、か。どうやって?半狂乱のこいつを止めるのは自殺行為だ。分かるだろう?今のこいつは誰の声も届かない。何をしても無駄だ。』
『うぁっ、ああっ……っ。』
(ラト……。)
ぎゅっと拳を握りしめる。
『助けて、誰か、僕を、助けて――。』
『……。』
私はラトを抱き締める。
『…なに…?』
『大丈夫。大丈夫だよ…。ラト。私はラトを裏切ったりしない。ずっと傍にいる。もう、貴方を誰にも傷付けさせない。』
『主様……?』
『ストラス。私はラトの為ならどれだけ傷ついたって構わない。私はラトの主だから。』
『く……っ。ふざけるな、悪魔執事の主…っ!』
『っ!』
ジャラジャラ…!
『これは、悪魔を縛る鎖…!』
『私の主様に触れないでください。』
『ラト…。』
『主様。ありがとうございます…私はもう大丈夫です。』
『ラト…。』
『早く帰りたいです、私と、主様の屋敷に。』
🪡
『お母さんも姉さんも俺が殺したようなものです。強ければ守れたのに。』
『フルーレ、それは……っ。』
『ゼパルさんだって、俺が強ければ守れた…。なのに、目の前で……。う、うう…っ。』
フルーレは弱々しく座り込んで泣いている。
『フルーレ……。』
『フルーレをもう放っておいてあげて。』
『貴方は……。』
『フルーレはここにいた方が幸せなのよ。彼はもう……。』
『…フルーレは絶対に助ける。フルーレは私の大切な執事だから。死なせない…絶対に。』
私はフルーレを後ろから抱きしめる。
ギュッ。
『フルーレ。助けに来たよ。フルーレは弱くない。もう自分を責めないで。これから貴方はもっと強くなる。』
『そんなことないです、俺は……』
『私が保証する。貴方はこれからもっと強くなるから。』
『あるじ、さま……っ。』
フルーレは私の服にしがみつく。
『すみません…すぐに泣きやみますから…』
『大丈夫だよ。暫くこのままでも……』
『う、うぅ…。』
𝑭𝒊𝒏.
コメント
3件
もう、本当に好きです 自分のせいでって思うほど心が苦しくなって、 自分が〇ねばって思っちゃうから悪魔化するんだよなぁ… 一旦フブキなどは〇ろしていいと思いますよ?
いや…泣けたわ、これ。🥺 2000年以上眠ってたベレンが「もう無理」って本音こぼすとことか、シロに「一緒に泣くことくらい私にもできる」って言って抱きしめたとことか、どの執事もそれぞれ違う傷抱えてて、でも主様がひとりひとりに違う言葉で寄り添ってるのが沁みた。フルーレがしがみつくシーンで俺も泣きそうになった。 「壊れるなら一緒に壊れてあげる」って台詞、ずるいわ。番外編だけど本編のキャラの深み増すし、こういう回はやっぱ好きだわ。ぷちさん、いい話をありがとう。
ぷち
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#ベリアン・クライアン
ぷち
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