テラーノベル
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朝、目が覚める。
お腹が空いた。
もう1ヶ月近く獲物を捕らえていない。頼っているのは水と土の養分。それからおひさま。
俺は食虫植物。ウツボカズラと言うらしい。惨めな生き物だ。虫を捕食しないと生きていけない。最後に食べたのはいつだっけ。
そろそろ捕まえないと女王様に狩られちゃう。やだな。
意識がフラフラしてくる中、ショウタの近くに蟻が寄ってきた。獲物を。気怠い体を無理矢理起こして、甘い匂いを発させる。声をかけようとしたその時。
💜ねぇ、ちょっと
💜俺と話さない?
🖤え、俺っすか?勿論!君可愛いね
くそっ、フカザワに先取りされた。フカザワは俺に向かって小さくウインクしてくる。くそが。
捕らえられた馬鹿そうな蟻は、軈て甘い話術に飲み込まれ、腕の中に収まった。気づけば蓋が閉まって、蟻はアイツの中に入って、もう戻ってくることはない。満足そうに唾を飲み込むフカザワに、イライラする。
ーーーーーーーーーーーーーー
雨が降っている日、ショウタの近くに蜘蛛が現れた。周りのものは寝ているか、他の事に気を取られていて気付いてない。チャンスだ。
💚君、なんていうの
あった以外。蜘蛛側から話しかけられた。
💙ショウタ
💚へぇ、おれはリョウヘイ
💙ふーん
💚君、綺麗だね
リョウヘイは近づいてきて、顔を撫でた。
💚なーんちゃって!君、この辺の子?
💙まあ、いちおう。
自分が食虫植物だとバレないように慎重に話す。
💚そっか、じゃまた来るね
あっしまった。逃した。
リョウヘイはそう言って、早足に戻っていった。次第に雨が強くなってきたので、体の中に閉じこもった。
それからリョウヘイは何回か来てくれた。楽しい話や、冗談話、リョウヘイといるととても楽しかった。自分も同じ虫だったらなと、ふと頭によぎる。きっと自分も虫だったら、何処かに一緒に行くことは少なくともできるだろう。
同じ景色を見て、同じ食べ物を共有する。そんなことさえ、”植物”と”虫”じゃ出来ないのか。
空は暗くなって、星と月が輝いていた。リョウヘイも見てるかな。
でも、早く惚れさせないと。食べないと。そうしないと、女王様に、、、
触れたくもない現実の塊がショウタをジリジリと痛めつけていた。
コメント
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設定が秀逸