「おい、お前…確かメイズとか言ったな」
「…ええ、そうですが」
ラボに向かおうとするメイズに、ギニューは声をかけた。突如として現れたメイズについて知りたいと思うのも無理はなかったからだ。
メイズは、呼び止められたことに不満などは一切なさそうな素振りで返事をした。
「お前はその…フリーザ様によって作られた人造兵士、なんだよな?」
「どうやらそのようですね。ただ、私にはいまいち自分がなんなのかよく分かっていません。サウザーさんやクウラさんが何度かサイヤ人という言葉を発していましたが、私にはなんのことなのかさっぱり」
自我が確立されていない。ギニューは瞬時にそう察する。本来人間の自我は子供のうちに確立されていくものだが、メイズは違うようだった。
「お前は、それで良いのか?自分で自分が分からなくても…。」
「特段興味はありませんね。フリーザ様から命じられた任務の遂行に影響はありませんし」
「…フッ、大した忠誠心だ。お前とは仲良くなれそうだな」
「そうですか?よく分かりませんが…これからここで働く身として、宜しくお願いしますね」
そう言ってメイズは颯爽とラボに向かって行った。それをにこやかに送り出すギニューだったが、彼はそこでハッとした。
「……待てよ?今クウラさんとか言っていなかったか?」
すぐにメイズを呼び戻そうと飛び出すギニュー。しかし…既にメイズは見当たらなくなってしまっていた。もうラボに入ってしまったらしい。
フリーザもこれからメイズのメンテナンスに立ち会う可能性が高い。それに、クウラについての報告はメイズから詳細にされるであろう。
自分が出る幕ではないと判断したギニューは、その場から一旦立ち去ることにした。
メイズとの邂逅。それはギニューにとって新鮮なものとして彼の記憶に残ることとなった。
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