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フロントに立ちながらも、華の胸にはさっきまでの出来事が残っていた。
――怪我を手当てしてくれた手の温もり。
――並んで歩いたときの安心感。
思い返すたびに、頬が自然と熱を帯びる。
「桜坂さん、お客様が参ります」
律の声に呼ばれ、華は慌てて姿勢を正した。
「はいっ!」
カードキーを手渡す指は少し震えていたけれど、心は前よりも強かった。
(もっと頑張ろう。律さんに“できる”って思ってもらいたいから)
胸に芽生えた想いが、華をまた一歩前へと進ませていた。