テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
雪村 麻耶🦇🩷 。🦅🖤
279
75
#SixTONES
卒業式まで、あと一ヶ月。
晴海高校では、少しずつ卒業ムードが漂い始めていた。
「もうすぐ卒業なんだねー」
昼休み。
奈海が机に頬杖をつきながら呟く。
「まだ一ヶ月あるじゃん」
樹が弁当を食べながら答える。
「でも、一ヶ月って、あっという間じゃない?」
「まあ、それはそうかも」
北斗が窓の外を眺める
「みんな、卒業したらどうするの?」
奈海が6人に聞いた。
「俺は芸能の仕事、もっと頑張りたい」
ジェシーが笑う。
「俺も。ちゃんと夢叶えたいし」
慎太郎も続ける。
「俺も同じ」
大我が頷く。
「俺も芸能界かな」
高地も笑った。
「俺も」
「俺も」
北斗が短く答える。
最後に樹が、
「俺も、やりたいことは決まってる」
と言った。
「そっか…..」
奈海は6人を見渡す。
みんな、それぞれの未来をちゃんと考えている。
「奈海は?」
「私?」
「卒業したら何するの?」
「まだ、決まってないかな」
「奈海らしいな(笑)」
樹が笑う。
「なにそれ!」
「いや、なんとなく(笑)」
「ひっど!」
7人の笑い声が教室に響く。
いつもと変わらない。
何も変わっていない。
ーーそう思っていた。
放課後。
「今日はどこ行く?」
慎太郎が聞く。
「久しぶりにあそこ行かない?」
奈海が指さしたのは、学校の近くにある小さな公園。
7人が小さい頃から何度も遊んできた場所だった。
「いいじゃん!!」
ジェシーが先に走り出す
「おい、待てよ!」
6人も続いていく。
公園につくと7人はベンチに座った。
昔と変わらない景色。
昔と変わらない笑い声。
だけどーー
少しだけ違う。
みんなの制服には、卒業を知らせるように残りの日数が刻まれていた。
「….あと一ヶ月か」
大我がぽつりという。
「何が?」
奈海が聞く。
「卒業」
その言葉に、少しだけ空気が変わった。
卒業しても、会えばいいじゃん」
高地が言う。
「そうそう!」
ジェシーも笑う。
「毎週集まろうよ」
慎太郎が言うと、
「毎週は無理だろ(笑)」
樹が突っ込む。
「じゃあ月ー!!」
「それも予定あわせんの大変そう(笑)」
北斗が笑った。
「じゃあ….」
奈海が6人を見る。
「たまにでいいから、7人で集まろうよ」
「もちろん」
樹が即答した。
「絶対な」
「約束!」
ジェシーが手を差し出す。
「またそれやるの?(笑)」
奈海が笑いながら、その手に自分の手を重ねる。
6人も次々と手を重ねていく。
「卒業しても、7人。」
「当たり前」
「ずっと7人」
その言葉に、奈海は笑った。
「….うん」
夕日が7人を照らしていた。
ーー帰り道ーー
奈海と樹が二人で歩いていた。
「奈海」
「ん?」
「さっき、ちょっと寂しそうだった?」
突然言われて、奈海は足を止める。
「….分かった?」
「幼なじみ何年やってると思ってんの」
樹が笑う。
奈海も小さく笑った。
「….ちょっとだけね」
「大丈夫だって」
「うん」
「俺等、卒業しても変わんないから」
「….約束?」
「約束」
二人は笑って、また歩き始めた。
ーー卒業まで、あと30日。
7人でいられる時間は、少しずつ減っていた。
でも、誰もそのことを深く考えようとはしなかった。
この「あと少し」が、
思っていたよりずっと大切な時間になることをーー
まだ、誰も知らなかった。
コメント
1件
うわぁ…第2話、読み終わりました🥀 7人の仲の良さがじんわり伝わってきて、最後の樹くんと奈海ちゃんの二人きりの帰り道が特に好きです。「約束?」「約束」って、それだけで心がぎゅっとなる。何気ない日常こそ宝物って感じで、でもラストの一文がすごく切なくて…「まだ誰も知らなかった」怖いくらい美しい伏線ですね。続きが気になる…🌙