テラーノベル
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「それ以上….近づくな」
闇の奥から声がする。敵意のこもった声、少しだけ震えていた。mtwが能力を発動させ、自身の血を集める。
サッと地面に下ろされ、自分の足で地に立つ。Itさんとrimrさんを見てみると、二人とも銃を闇の中に突きつけていた。
「少しだけ話してくれない?」
一歩も引かずにmtwが淡々と告げる。でも血で作られた槍は闇の奥に向けたまま。相手が断った言葉がきっと開戦の合図になるのだろう。
「…話?」
相手からの敵意が一瞬、緩んだ気がした。さらりと風が吹き抜け、汗が滲んでいる頬を撫でていく。日本刀に手を添え、戦闘が始まった瞬間に対応できるように神経を研ぎ澄ませる。
なぜか、この感覚が久しぶりのように思えた。懐かしい。そんな感情を覚える。一瞬思考がそちらに傾き始めるが、そんなものは正直言ってどうだっていい。今はただ、目の前の敵に集中しないと。
「…..きっと君は嫌だと言うと思うけど、mtwたちは君の妹の力を借りたいんだ」
「……….無理に決まってるだろ」
そう、低く、その声が空間に響く。開戦の合図だ。mtwも待ってましたと言わんばかりにそこら辺に放っておいていた槍を飛ばす。Itさんたちも銃とナイフを持つと闇の中へと飛び込む。
俺も日本刀を強く握り、闇の中へと飛び込む。そろそろ闇に目が慣れてきた頃で、数回瞬きをすると、ある程度の地形は把握できるようになっていた。
「標準固定….」
「させるかっての!!」
手を目の前に構える相手に、Itさんが相手に近づき、手を抑えつけようとする。だが相手にもそれは読めていたようで、逆にItさんの顎を蹴り上げ、そのままの勢いで後ろに飛び退く。
「…..っ痛..」
「…..終止符」
顎を雑に拭っているItさんを他所に、そう静かに敵が告げる。あの攻撃がまた来る。きっとあれを防御なしで食らったら相当まずい。mtwは今攻撃に専念している…ように見える。なら俺が盾にならないと。
日本刀をギラリと輝かせ、前に構える。その細い身で全てを受け止める覚悟をする。不思議とそれができる気がしてきた。息を吐く。刹那、爆風で体が吹っ飛ばされそうになるが、そこは気合いで耐える。
「….っはぁっ…はぁっ…」
「っ油断大敵ですっ!!」
肩で息をしている俺の横をrimrさんが走り抜ける。小型のナイフを構え、そのまま煙の中へ突っ込む。よく見てみると目になにか付けていた。煙の中を見えるようにするとか、そういう道具だろうか。
「読めてる」
キンッキンッとナイフがぶつかる音がする。しばらくするとカキンッとどちらかのナイフが跳ね返された音。煙の中を目を凝らしてみてみれば首にナイフを押し付けられ、血が少量垂れているrimrさんが目に飛び込む。
慌てて駆け寄ろうとするとItさんに止められる。
「むやみに突っ込んでも多分勝てない」
そう言いItさんは首を横に振る。やめろ、と強く訴えているようだった。でも勝算があるという目をしていた。…不確定なことだが今は信じるしかない。ぽっと出の俺が何かやらかしたら本当に何をしているんだという話だ。
俺も何度か瞬きをし、分かった、と意志を示す。
「さて、残り二人。かかってこいよ」
煙が晴れてくる。縄で縛り上げられたrimrさんに、ナイフを手に持ったrkと呼ばれていた男、言っているセリフ自体は油断してやられる噛ませキャラだが、なにせその気迫が違った。それに隙がない。…どうしろと言うんだ…。
ここに来て不安になってきてItさんの方を横目で見る。ナイフを取りだし、臨戦態勢を取っていた。さっきあれほど勝てないなどなんだのと言っていたのに結局こうなるのか、と思いつつ俺も日本刀に手を伸ばす。
「俺のことを舐めてるのか?」
二人で同時に挟み撃ちをする。…が、相手はそれを前に、ナイフでナイフと刀を弾く。化け物だ、そう思った。人間業じゃない。何のために挟み撃ちにしたと思ってるんだ、彼に同時に対処されないため、どちらかを弾けば真反対のどちらかは当たる。当然だ、両方瞬時に弾ける、そんな速度で人間が動けるわけないのだ。
だがその男は俺たちの予想を遥に上回った。余裕そうにカンッ、カキンッと二本の武器を弾き返すと、それぞれ一発ずつ腹にキックとパンチをお見舞いしてきた。
「….っうぐッ?!」
「…ッ──────!!!」
声にならない声を上げて倒れ込む。腹の中が一回転したみたいだ、ぐるりと、ぐちゃりと腹の中をねじ曲げられたような気分で、正直今にでも吐きそうだった。
そんな様子の俺たちを見て、相手は無表情のままナイフを俺たちの首に向け、一歩、また一歩歩み寄ってくる。
「….っ」
Itさんは彼女らしくない…と言ったら失礼かもしれないが、まあそんな様子で怯えていた。わざとらしく息を荒らげ、後ずさっていく。まるで罠にかけようとしているみたいに。
それでなんとなくやりたいことは分かった。なら俺もそれに合わせるべきだ。俺も「た、助けてくれ…」なんてテキトーな事を言いながら体を震わせ、後ずさる。
「これで…チェックメイト………」
「残念、違いまーす」
チェックメイト、そう言い相手が俺たちの首にとうとうナイフを突き刺そうとしたその瞬間、mtwの声がどこからかしたかと思えば、相手の体がワイヤー…正確に言えば血でできたお手製ワイヤーに拘束されていく。目にも見えない速度で、正確に。
「ねー、遅いんだけど、もっと早くやってくれない?」
Itさんがぶちぶちと文句を言いながら服に着いたホコリを払い、立ち上がる。その目線の先を見てみると人差し指の先に血で作ったワイヤーを巻き付け、それをクイクイと動かしているmtwがいた。あれ、いつの間に、と思ってしまう。さっきまでなぜかずっとmtwの存在を忘れていた気がする。思わずキョトンとしてしまう。
「それは自分の能力ですね」
軽く咳払いをして奥からrimrさんが歩いてくる。「まあ、説明は後です」そう言いながら俺の横に並ぶと、銃を相手の首へと突きつける。形勢逆転というやつだろう。
「どう?動けないでしょ」
無機質な声でそう言うmtw。ぐっとワイヤーを引っ張ると体中にワイヤーがくい込んで痛いのか、相手は身を捩らせていた。
やがてmtwが敵の目の前に降りてくる。さて、それじゃあお言葉を聞こうかな?
少しニヤニヤしながら、勝ち誇ったように言う。
「…….はぁ、降参だよ」
諦めのような、呆れたような声が響く。mtwは「それでよし」と言うと手を払った。
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コメント
8件
皆かっこよすぎて私の寿命がやばい(((
えーと…なんと言えばいいか…(強いな…、rkさん)