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第2話 ただの寺生まれのTさんの孫シャーーーーーー
朝の7時半、人通りもまだ少ない時間帯で、ひとりでに自転車を漕いでいた。私の家から学校までは10キロもないほどの距離で自転車で行けば30分程で着いてしまう。しかし、学校までの道で私と同じ制服を着ている人はあまり見かけない。悲しいかな、中学校は更に離れた所だったため、一緒に通学するような友達も居ないのだ。
学校に到着したが職員すらほぼ見かけない。禿げている先生は校門に立っていたけどね。教室に着いて腕時計を見る。まだ8時前で、余裕があった。今のうちに、と教科書に名前を書いていく。昨日は課題に追われていてすっかり忘れていた。
5分もすればみんな張り切っているのか、ほとんどの生徒が登校していた。右隣の人はまだ来てなかったけど。でも、後ろの席に昨日の彼はいた。。というか、これチャンスじゃね?少し話したし、なんなら意味深発言もしちゃったし、ちょうどいい機会やん。中学の友達は残念ながら、出席番号が初めなので遠い。自分は35人いる中の23番だから。友達つくらないと、ボッチになる……。
「ねえねえ。名前、なんて言うの?」
「俺?|東野 颯馬。そっちは?」
「うちは、辻森悠希。よろしく!」
なんて会話を交わして、ついでに周りの子とも軽く自己紹介をする。まあまあ、日本人らしく握手でもしようじゃないか!これで友達が増えた!
「昨日さ、あれなんだったの?」
ニヤニヤしていたら、不意に颯馬が尋ねてきた。ドン引きしていたのはきっと気のせい。
「ああ、あれね。」
まあ、そりゃあそうだよな。突然変なものが見えて。普通に考えて意味わからんよな。でも、ああいうのは深く関わらないのが1番なんだよなあ。どう説明しよう。
「うーん。……、颯馬はああいうの見るの初めて?」
少し考えた後にそう聞いてみた。これで初めてだというのならあまり深く言わないし、もし、もしも霊感のあるタイプなら、逆に説明した方が安心出来るかもしれない。
「いや、普段はあんまり見ないんだけど。ほんとにたまに、たまーに見えるんだよね。でも、昨日みたいな黒い影みたいなのじゃなくて、もっと人っぽい色したもやもやみたいなの。」
ああ。颯馬には黒い影に見えていたのか。昨日視たときはあんな反応してたから。そうか、黒いのが視えたのが初めてだったのか。
「この学校って古いじゃん」
「昨日も言ってたよね」
「ダヨネ。」
そう、この学校は古い。ほんとに古いというか朽ちかけというか、田舎あるあるだけどね!古いんだよ。
「ここっていつからあるか知ってる?」
「えーと、100年以上前って言ってたっけ?」
「そう。うちは歴史得意じゃないけど、100年前ってなにがあったか分かる?」
「100年前はー、戦争……?」
「よくわかったな。」
「いや、分かるだろ。」
「……。まじ?」
すう。と一呼吸。まあ、この際、私の社会の点数が悪いことは伏せておこう。うん。
颯馬は察しも、良いみたいだ。話が早くて助かる。
100年以上前ってことは、戦争の前からここにあったってことだ。先生達はよく、昔ながらの歴史のある学校だなんて言う。確かに、趣きのあるといえばその通りだけど。
ここが戦争の火に焼かれていなければね。
「アレはね〜、影だから黒かったんじゃないんだ。アレが黒かったんだ。」
「どういうこと。」
「きっと、戦時中、ここも空襲に合ったんだろうね。だから黒く、焦げちゃったんだよ。」
「あ……。」
なんとも言えない。苦虫を噛んだような表情。そして戦争という、私たちが想像も出来ないほどの重い歴史に触れて、また少し気味が悪くなったみたい。
「でも、アレはあんまり悪いものじゃないと思う。どっちかといえば、見守ってるような。」
そう。きっとアレは、そんな悪いモノじゃない。
その言葉を咀嚼しているとこんなことを言われた。
「てか、悠希って詳しくね?寺生まれのTさんなの?」
寺生まれのTさんか、。あながち間違ってはないかもしんないけど、正しく言うなら
「ただの寺生まれのTさんの孫だよ。」
そんな話をしていたら、朝のHRが始まった。点呼は時短でしないらしい。人数だけ数えている。
1、2、3、…………
「34、35。」
全員揃った、らしい。右隣の人は休みだった。
高校生活はまだまだこれからだな。明日は部活見学もしたいし、楽しみだなあ。