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あざといぞ大森…
最近、元貴はある番組でやったゲームにハマっていて、暇さえあればしかけてくるんだけど…
「若井ー!」
「なにー?」
今日もスタジオ缶詰の日。
おれがギターの練習をしていると、元貴が隣にやってきた。
「目が合ったらダメゲームしよ!」
もうね、ここまで来たらワザとなんじゃないかと思う訳。
このゲームは別名、元貴が可愛いでしかないゲームだ。
ワザとあざとさを振りまいているとしか思えない。
こんな間近で30秒も元貴の顔を見つめる事が出来るなんてご褒美でしかない。
ただ、刺激が強すぎてそろそろ心臓が止まる気がしているのが最近の悩み。
元貴は手慣れた感じで携帯でタイマーをセットする。
「はい!いくよっ。」
「はいはい。」
おれは、興味のないふりをしながら元貴と向き合う。
…もう、既にドキドキしている。
「スタート!」
元貴の合図でお互い目を閉じる。
すぐに目を開けると、長い睫毛を閉じた元貴の顔が目の前に。
少し口角が上がってるのも堪らない…
心の中で『可愛すぎるだろー!』と叫ぶおれ。
ギュッ。
パチッ。
えぐ…
ギュッ。
パチッ。
ああ、尊い…
ギュッ。
パチッ。
パチッ。
かわいいかわいいかわいい…!
「わー!目ぇ合うなやー!」
そう言いながら、楽しそうに笑う元貴。
つられておれも一緒に笑うけど、内心はそれどころじゃない。
目を閉じてる時の元貴も可愛いけど、目が合ってほんの一瞬見つめ合うあの瞬間の顔面の破壊力がやばすぎて、ドキドキがおさまらない。
そうして、平静を装いながらもドギマギしていると、涼ちゃんがやってきた。
「ずるい〜!僕ともやろ〜!」
そう言うと、涼ちゃんはソファーに座る元貴の前に膝立ちになり元貴と目線を合わせた。
心なしかおれより元貴と顔の距離が近い気がして少しムッとなる。
「いいよ!じゃあ、スタート!」
おれは隣で元貴が目を閉じたり開いたりするのを眺める。
横顔も可愛いんかいっ!
心の中でツッコミを入れるおれ。
チラッと涼ちゃんを見ると、デレデレしていて、やはり涼ちゃんは仲間だと再確認した。
ゲームが終わりひとしきり盛り上がると、元貴は次にサポートメンバーの方に近寄っていく。
その隙におれは涼ちゃんにこっそり話し掛けた。
「今のやつ、元貴が可愛いでしかないゲームっていう別名付けてる。」
「めちゃくちゃ分かる。それでしかない。」
会話をしながら元貴の動向を観察するおれと涼ちゃん。
「あれは…よくないね。」
「だめですね。」
目線の先には、例のゲームをサポートメンバーに仕掛けようとしている元貴。
それが目に映った瞬間、おれと涼ちゃんは立ち上がり元貴の元へ。
「わぁ!なにすんの!」
そして、元貴の後ろに立つとおれは右目。
涼ちゃんは左目を手で隠した。
「「仕事して下さいー。」」
無事、うちのあざと可愛い歌姫を回収。
「ねえ、元貴…まじで自重して。」
「なにを?」
「なにをって…分かってるでしょ!ね!涼ちゃん!」
「うん、絶対確信犯ですね。」
「もうね、心臓がもたないのよ!」
「どゆこと?」
「僕は全然ウェルカムだけどね〜。」
「わ!急な裏切り!」
「もう!二人ともさっきから何話してるのさー!」
-fin-