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やはり桃さんは爆発好き…✨✨ 自分のした事ではないけど思い込んでしまうくらい桃さんにとって強い出来事だったのかなと思ってしまいます😣 半分背負うなんて、一度は言われてみたい台詞です…🙌🏻︎💕
桃さんに優しい言葉をかけてあげる青さんがカッコ良過ぎて、、もう、大好きです🫶
青さんが桃さんのことを分かってて桃さんを思って行動するのが青さんらしい…!
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
今回少しだけグロい描写がある…かもしれません
苦手な方はお気をつけください
人身売買の情報が入ったのは、その2日後のことだった。
最近界隈で暴れている集団がいて、子どもたちを攫っては海外に売り飛ばしているなんて噂は以前からまことしやかに囁かれていた。
この平和な国でいつの時代の話だと人は言うかもしれないけれど、裏社会では決して珍しい話ではない。
「アジトの場所が割れてさ」
チームの中では諜報活動のようなことも担当しているほとけが、PCを操作しながら言う。
「今夜取引で出払うから、その間に侵入して、戻ってきたところを壊滅させるってわけ」
カタカタとキーボードを打ちながらの声に、全員が耳を傾けていた。
「取引自体はわざと成功させる。その後別チームが攫われた子たちを助けるから、僕たちの仕事はあくまでもアジトの壊滅ね」
そこまで言って、ほとけは椅子ごとくるりと振り返る。
「でも僕ら、今日元々別件が入ってるでしょ?」
子供組は、担当している麻薬の密売について動きがあったから出払う予定だったらしい。
見守りの意味であにきも。
そんな言葉を受けて、ないこが頷く。
「いいよ、俺とまろで行く。壊滅させるだけなら二人で十分でしょ」
生け捕りより簡単、と続けたないこの言葉に、「サイコか」としょにだが苦笑した。
その目的のアジトまでの地図を脳内に叩きこみ、実際に訪れたのは連中が戻ってくるという予定の1時間ほど前だった。
その短時間でアジトの内部を捜索し、まだ捕らわれている人がいるなら解放しなくてはいけない。
思ったよりも広かったその建物の内部で、ないこは捜索しながらも片っ端から爆弾を仕掛けていった。
「時限制?」
尋ねると「いや」と短く返事が返ってくる。
物陰に隠れるようにないこは爆弾を設置して、電源スイッチを入れていった。
「取引に何かあってちょっとでも時間がずれたら困るから。リモコン1つで全部が吹っ飛ぶ設定にしてある」
「ふぅん」
これだけの爆弾が一斉に吹っ飛ぶとなると、きっとこの建物は跡形も残らないだろう。
映画か何かに出てきそうな、海近くの物流倉庫のような場所。
一般人に被害は出なそうで安堵する。
「あとあの奥の部屋だけかな」
ここまで異常はなかった。
確かに連中が生息していた気配はあるけれど、取引の細かい情報なんかは残されているわけもない。
攫われた人たちが残されていることもなく、このままなら帰ってきた連中をこの場所もろとも吹っ飛ばすだけの簡単なミッションだ。
…と、思われた。
異変を感じたのは、最後に残された奥の部屋のドアを慎重に開いた時だった。
「!!?」
思わずないこと顔を見合わせる。
相変わらず人の気配はない。
ただ、ドアを開いた瞬間に漏れ出てくる強烈な匂いが嗅覚を刺してくる。
思わず鼻と口を塞いで、俺はドアを大きく開いた。
「…っうっ」
途端にないこが声を漏らす。それほど強い匂いの正体。それは、辺りに散らばった肉塊だった。
手や足、首や胴体が切り刻まれ、おびただしい血と共に乱雑に放置されている。
そのパーツから分かるのは、この体は元はまだ幼い子どもだったのだろうということ。
長い髪の頭部に視線を落とすと、目玉だけくり抜かれていた。
一人や二人なんて、かわいい数じゃない。
そしてもっと異常なのは、これだけバラバラにされた遺体の中に「臓器」が一つもないことだ。
…やられた。「人身売買」なんてもんじゃなかった。
攫って殺して、「臓器」を売っているんだ。
「…うぇっ」
振り返ると、ないこがこらえきれずに嘔吐する。
凄惨な現場と匂いにやられたのかと思ったけれど、そうではなかった。
…多分、こいつは「重ねて」しまったんだと思う。
自分に懐いてくれていた小さな女の子が誘拐されたときと…。
そして今回、ここにいるこの数の子どもたちを救えなかったことを。
「ないこ、爆弾貸せ」
えずいて消耗しているないこにそう言う。
口を拭いながらも何とか顔を上げたないこは、眉を寄せて俺の顔を見上げた。
「でもここは…! この子たちは…!」
「もう死んどる!」
叩きつけるように言葉を遮ると、ないこは「ぐ」と押し黙った。
それでも動こうとしないないこのバッグに、俺はちっと舌打ちをして手を伸ばす。
そこから取り出した残りの爆弾を部屋に設置し、これまでないこがそうしてきたように順に電源スイッチを入れた。
「出るぞ」
奴らが帰ってくる時間がもう迫ってる。
座りこんだないこの腕を掴んで立たせた。
そのまま強引に引っ張って走らせる。
元来た道を戻り、仕掛けた爆弾を残してそこを後にした。
そのアジトから数百メートル離れたビルの屋上に侵入する。
後やるべきことは限られている。
あいつらが帰ってきた頃に、爆弾のリモコンスイッチを押すだけ。
…ただ、それだけだ。
「……」
肩で大きく息をしながら呼吸を整えようとするないこは、自分の中の「何か」と戦っているようだった。
リモコンを握り、スイッチに指をかけて準備はしているけれど目を固く閉じて深呼吸を繰り返す。
「ないこ」
小さく呼びかける声にも反応しない。
「あの子らを殺したんはあいつらや。お前やないよ」
そう告げたところで、こいつの心が軽くなるわけもないのは分かっている。
「…分かってるよ」
ようやく言葉を返したないこは、少し苛立ちが混ざったような声で答えた。
その苛立ちの向かう先が、俺ではないということは理解している。
「あそこをふっ飛ばすことであの子らが死ぬわけやないやん。あそこにあるんはもう単なる肉片やで」
「分かってるって!」
あえて死者を冒涜するような残酷な言葉を選んだのは、ないこのためだと胸の内で言い訳する。
それも汲み取ってはいるだろうが、ないこは俺の言葉を遮るように大声を出した。
「分かってるんだよ! でも…っ」
ないこが何かを言おうとした瞬間、スコープで覗いていた視界の端に動きが見えた。
何台もの車やバイクが、少しずつタイミングをずらしながらもあのアジトの敷地に入ってくる。
「ないこ」
「……っ」
そうこうしている間に、車から下りた連中が次々に建物の中へ入っていった。
もたもたしていたら爆弾に気づいて逃げられる。
そう思ってないこを急かすつもりで呼びかけたけれど、あいつは肩で大きく息をしたまま固まっていた。
リモコンを握る手が小刻みに震えている。
「……」
ため息をついて、俺は頭を振った。
ここでないこからリモコンを奪って俺が押すのは簡単だ。
でもそれじゃ何の解決にもならない。
「ないこ、手出して」
言いながら返事を待つ間もなく、俺はないこの左手に手を伸ばす。
震える手を胸の高さに上げさせると、後ろからその手に自分のそれを重ねた。
「このスイッチを押すことが罪やとお前が思うなら、それでもえぇよ」
左手はないこの手の上からリモコンに、そして右手は震える肩に置く。
「半分俺が背負うわ」
言った瞬間、ないこが息を飲むのが分かった。
それに気づかないフリをして、俺は低い声でカウントを始める。
「3,2…」
たったの数秒だったけれど、胸の内の葛藤と戦うないこにとっては、永遠にも感じられる長さだったに違いない。
「1…」
ないこの右肩を抱く手に、わずかに力をこめる。
「0!」
カチッと音がした次の瞬間。
遠く前方で轟くような爆発音と共に、赤い炎が上がるのが視界いっぱいに広がった。