どうも皆様、サカナです
あの、本当に県民様には謝罪したいことがありまして…
三重県、一回も出してない…
ご都合京阪の時に名前だけ…セリフない…なんならピンポン押しただけ…
本当にすみませんでした
出します
三重「…一人暮らしつらい」
近畿と中部の間に位置し、どちらとも捉えられる県…それが三重だった。
何度も何度も近畿か中部に入れて欲しいと頼みに行くのだが、その度に認めないと双方から断られ、現状ぼっちである。
ヨーロッパでもアジアでもなく、ロシアはロシアだというような、そんな状態。
彼ら都道府県は地方ごとにシェアハウスをしており、皆仲良く過ごしているらしい。
その一方で、三重はアパートの一室で一人暮らしだ。
いつかどちらかの地方に入れてもらえた時に引っ越しやすいよう、儚い夢を持ってワンルーム生活。
お金は溜まりゆく一方で、同時に寂しさも募る。
地方行事にも参加が難しく、仲は悪くないのだが…気まずい。
三重自身に問題があるわけではないのだ。
むしろ、嘘がつけない素直で優しい性格、家事も得意、近所の子供にも人気。
何が悪いのかと言われれば、圧倒的に場所が悪い。
大阪は近畿だと認めてくれず、愛知にも軽くあしらわれ、かなり不遇な位置に存在している。
三重「みんな、今頃何してるんでしょう…僕を置いてシェアハウスなんて…ちょっとだけ幕藩に戻りたいなぁ…」
東京もびっくりの発言だ。
貧乏なわけでは決してないが、なんとなくもやしを炒めて食べる。
ごま油と塩胡椒で十分美味しい。
三重「どう思います?くまさん…」
物言わぬぬいぐるみに話しかけるくらいには寂しかった。
だがぬいぐるみはぬいぐるみであるので、三重の気持ちを癒すことはできても、穴埋めはできない。
三重「…明日、くまさんの服の材料、買いに行きましょうか…」
そんな三重の唯一の趣味は、ぬいぐるみの服を作ることである。
三重「〜♪」
翌日、小さなくまのぬいぐるみを抱きしめながら手芸屋に訪れた三重。
綺麗な生地や特殊なボタン、レースなどの飾りがわんさか置いてあるこの場所は、三重の楽園だった。
このくまの色にはどんな服が似合うだろうか、さっき服屋で見かけた綺麗な服を再現するには何が必要だろうか。
店の中を見て回りながら、三重は孤独を忘れて楽しんでいる。
そういえば、そろそろこのくまにも友達を作ってみたい。
後で同じサイズのぬいぐるみを買いに行こう。
三重「予算…あ、だんないそうですね。ふふふ、くまさんも1人は嫌なはずです。お友達を作ったげますね」
小声でぬいぐるみに声をかけ、折角ならということでペアルックにしようと布を手に取る。
赤い花柄の布と、青い花柄の布。
ハート型になっているボタンも手に取り、襟に使おうと白いレースもカゴに入れた。
三重「〜♪♪」
更にルンルンでショッピングモール内を歩き、ぬいぐるみを売っている店へと辿り着く。
大きなものから小さなものまで、キャラクターやただの動物、そこには色々なぬいぐるみがあった。
三重「えーっと、くまさんと同じ大きさの子は…」
「あ、三重!」
三重「はいっ?!」
ぬいぐるみを探していたところ、背後から急に声をかけられる。
肩を跳ねさせて驚きながら振り返ると、そこには九州の長崎がいた。
長崎「三重もぬいぐるみ探し?にしては大荷物やなあ!それ布?」
三重「えっと、はい、そうです。この子のお洋服と、お友達を作ってあげたくて…」
本日のくまさんは以前に作った夏コーデ。
白と青を基調に、涼しげな半袖である。
長崎「これ、三重が作ったと!?すごーい!! 」
三重「えへへ…ありがとうございます。休日とかに色々作るのが趣味なんです」
長崎「すごかのわい!僕もぬいぐるみ好きばってん、不器用やけんこがんと作れんで」
三重「そうなんですか?…えっと、それなら一緒に作ったり、とか…してみたいんです、けど…友達少なくて…」
恥ずかしくなってぬいぐるみで顔を隠し、目を逸らしながら言ってみた。
後半は声がかなり小さくなっていたにも関わらず、長崎はキラキラと大きな瞳を輝かせて頷く。
長崎「よかと!?いつか、僕んぬいぐるみたちにお洋服着せてみたかねって思うとったんだぁ!」
三重「は、はいっ、もちろんです…僕で良ければ、ですが…」
長崎「もっちろん!!自信持ちんしゃい三重、こればりやーらしかばい!」
今まで人に見せることがなかったこともあって、なんだか心が温かくなった。
三重「ほ、本当ですか?嬉しいです…!」
長崎「あ、そういえばこん子ん友達も作りぎゃ来たって言いよったっさね、どん子にすると?」
三重「実は、まだ来たばかりなんです。ペアルックにしてみたいので、同じくらいの大きさの子を探してて…」
長崎「それなら僕が案内するばい!僕も新しか子お迎えぎゃ来たんや〜」
三重「わっ、助かります!」
意外なところで仲良くなれた2人は、ぬいぐるみだらけのかわいい空間を歩き回る。
そうして三重は新しくラッコのぬいぐるみをお迎えし、長崎と共に自宅へと帰った。
見慣れたワンルームに友人が入るなんて、いつぶりだろうか。
長崎「そっか、三重ってまだどっちにも入れとらんのやっけ」
どっち、とは近畿地方と中部地方のことだろう。
三重「いつかは僕も地方入りしますよ。大阪か愛知が折れてくれればなんとかなるはずです」
長崎「東京は子どもやけんよかとして、三大都市って案外大人気なかね 」
三重「否定はできないのが悲しいですね…」
苦笑いしながら裁縫道具や保存していた布を取り出し、長崎も近くに座る。
三重「まあでも、今はぬいぐるみたちにお洋服を作る方が大事ですから。サイズが意外とシビアなので、布の裁断は僕に任せてください」
長崎「うん!ありがと!」
買ってきた布を広げ、ぬいぐるみのサイズに合うようペンで印をつけ、手際良く裁断していく。
邪魔しないように横から静かに見つめるが、シビアという割にはかなり素早い。
三重は少し遠いこともあって関わりは少なかったが、長崎は知らなかった一面が発見できてとても嬉しかった。
三重「長崎さん、どの布を使います?結構余ってるので、これ以外に使いたいものあったらどうぞ!」
長崎「ほんなこて?ありがと三重!んーっとね…あ、これやーらしかかも…使うてんよか?」
長崎が手に取ったのは、オレンジが描かれた薄い黄色の布。
以前、別バージョンで作ったくまさんの夏服用である。
三重「もちろんいいですよ!では、これで作っていきましょっか!」
長崎「おー!!」
長崎「痛っ…あー、刺してしもうた…」
三重「だ、大丈夫ですか?!」
長崎「僕は大丈夫ばってん…ごめんね、布とかに血つけてしもうたら」
三重「そんなこと気にしないでください。大丈夫ですか?絆創膏、持ってきますね」
長崎「ありがとう〜…」
急いで立ち上がって持ってきた絆創膏は、可愛らしい猫が描かれている。
長崎(やーらしか…)
そんな一幕もありつつ、数時間後、ぬいぐるみたちに小さな服が与えられた。
三重「かわいい〜…!くまさんもラッコさんもねこさんも、みんなかわいいです!」
長崎「やっぱり三重ってすごかのわい!僕一着しか作れとらんとに、すごかクオリティで二着も作るなんて!ねね、写真撮ってんよか?」
三重「もちろんです!僕も、長崎さんのねこさん撮っていいですか?」
長崎「そりゃもちろんよかばい!ばってん…僕んこと、さん付けはやめてほしかね〜。折角仲良うなったけん、呼び捨てにして?」
三重「よ、呼び捨て…!?」
近畿にも入れず、中部にも入れず、友人は少なく、ぬいぐるみと過ごす時間のほうが多いのでは?と思うほどに孤独な三重にとって、呼び捨ての難易度は高い。
元々敬語が標準であることも踏まえ、大阪と愛知以外を呼び捨てにするのは初の試みだ。
長崎「なーがーさーき!ね?」
三重「な…な、なが、さき…?」
長崎「そうそう!これからはそう呼びんしゃい、三重!」
三重「〜!!わかりました、長崎!」
自分を抜いて46人も都道府県はいるのだから、地方にこだわる必要はないと思いを改めた三重だった。
コメント
5件
あかんクッソ尊い、、、お洋服作ってる時の三重を真近で見たい。絶対無意識のうちに舌舐めずりしてる、、、! お昼は長崎とちゃんぽん食ってそう。良いな、とっても良いなぁ、、、
三重く"ん'、ニンジンがいるぞおおおお。