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れもん
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#曽野舜太
み!
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コメント
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最後の緊張感やばぁ… 二人とも頑張れぇ!!
うわ、ついに来たね……!第7話、めっちゃ良かったわ。 ポストの前で二人して不安抱えてる感じ、めちゃくちゃリアルで刺さった。 特に柔太朗が「怖くてたまらない」って初めて弱音見せるところ、あれで一気に人間味が増したよね。 それに対して舜太が「相棒はお前だけや」って返すシーン、熱すぎるやろ……。 最後の編集部からのメールで終わるタイミングも完璧。続き気になりすぎる🔥
原稿をポストに落としたその夜から、俺たちの世界の色はガラリと変わってしまった。
変わった、と言っても、何かが劇的に進展したわけじゃない。むしろその逆。
俺――曽野舜太は、スマホの画面と部屋の時計の針を交互に見つめるだけの、文字通り「生殺し」の毎日を送っていた。
舜「……あかん、全然集中できへん」
机に向かってシャーペンを握るものの、白い原稿用紙の上を滑る手はさっきから止まったままだ。
締め切りという明確なゴールに向かって全力疾走していたあの数日間に比べて、結果を待つだけの時間は信じられないほど長く、そして静かだった。
トスン、とあの時ポストの底で鳴った小さな音が、今も耳の奥でリフレインしている。
出したらもう、直せない。
俺たちの『マジカル・バディ』は、今頃どこかの編集部の、山積みにされた封筒の中に埋もれているのだろうか。
気がつけば、メッセージアプリを開いて柔太朗とのトーク画面を見つめていた。
最後に交わしたのは昨日の夜。
『学校の課題終わらん』という俺の泣き言に、柔太朗が送ってきた『がんばれ』の文字。
あいつは今、何を考えているんやろう。
俺みたいにビビって、心臓をバクバクさせてるんかな。それとも、あの王子様みたいな顔で、涼しい顔をして次のプロットでも考えているんやろうか。
悶々とした気持ちを振り払うように頭を振り、俺はスマホをポケットに突っ込んで、夜の街へと飛び出した。
◇
気がつくと、足は自然とあの駅前のロータリーに向かっていた。
舜「……やっぱり、おると思ったわ」
赤く光る自販機の横、街灯の薄明かりに照らされて、見慣れた背の高いシルエットが佇んでいた。
山中柔太朗。
あいつはマフラーに顔を半分うずめながら、俺たちが原稿を入れたあの真っ赤なポストを、じっと見つめていた。
舜「柔太朗」
声をかけると、あいつは少し驚いたように肩を揺らし、それからいつもの綺麗な笑みを浮かべた。
柔「舜太くん。……奇遇だね。君も散歩?」
舜「散歩っていうか……まぁ、落ち着かんくてさ」
俺は柔太朗の隣に並び、昼間とは違ってどこか寂しげに見えるポストに視線を落とした。
舜「お前も、不安になることあるんやな。いつも完璧やから、もう次のことしか考えてへんのかと思ってた」
俺が少しからかうように言うと、柔太朗はふっと自嘲気味に笑って、首に巻いたマフラーを少し緩めた。
柔「まさか。俺だって人間だよ。……本当は、怖くてたまらない」
舜「え……?」
柔「俺のプロットのせいで、舜太くんの努力を無駄にしたらどうしようって。もし1次審査で落とされたら、君はもう、俺と一緒に漫画を描いてくれないかもしれないって……そう思ったら、夜も眠れなくてさ」
白い息を吐き出しながら、ぽつりぽつりと本音をこぼす柔太朗。
いつも冷静で、俺の背中を押し続けてくれた相棒の口から出た、初めての弱音。
その瞬間、俺の胸の奥にあったモヤモヤとした不安が、すっと消えていくのが分かった。
なんだ。あいつだって、俺と同じだったんだ。
天下を獲るって大口を叩いたくせに、二人してこの小さな赤い箱に、人生を狂わされるくらい怯えてる。
そう思ったら、なんだか急に可笑しくなってきて、俺はついたん、と柔太朗の背中を強めに叩いた。
柔「痛っ……何するのさ」
舜「アホ、何言うてんねん! 俺がお前のプロットにどれだけ惚れ込んでるか、分かってへんのか?」
俺は一歩前に出て、柔太朗の目を真っ直ぐに見据えた。
舜「絵を描いてる時、めっちゃワクワクした。このキャラたちを動かせるのは俺しかおらんって、本気で思えたんや。結果がどうであれ、俺の相棒はお前だけや。天下獲るまで、絶対に裏切ったりせえへんよ」
あの日、ポストの前で柔太朗が俺の手を重ねてくれたように。
今度は俺が、言葉でその不安を溶かす番だった。
柔太朗は目を見開いた後、ふっと、あの日以上の、本当に嬉しそうな笑みをこぼした。
柔「……うん。そうだね。俺たちの漫画は、世界一面白いんだから」
舜「おうよ! 少女漫画の歴史、塗り替えたるからな!」
二人で顔を見合わせて笑う。
その時、柔太朗のポケットの中で、ブブブ、とスマホが短く震えた。
柔太朗が画面を見る。その表情が、一瞬で凍りついた。
舜「……柔太朗? どしたん?」
画面を覗き込む。そこには、俺たちが応募した女児漫画誌の編集部からの一通のメール。
件名には、こう書かれていた。
【『マジカル・バディ』ご投稿の山中様・曽野様 / 編集部より面談のお願い】
舜「これ……って……」
柔「……うん。第一関門、突破みたいだ」
冬の夜風が吹き抜けるロータリーで、俺たちの新しい境界線が、今、確かに開いた。
fin