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太った葉山捜査官が、額の汗を拭いながらペットボトルの水を一口飲んだ
その動作すら、異様にスローモーションに見えた
「彼女は15歳の時に46歳の塾講師から性的虐待を受け、中絶手術を経験しました。その後遺症で子宮全摘手術を受け、子供を産むことに絶望を感じていました」
「そ・・・それじゃ・・・」
私の声は震えて言葉にならない、 細川捜査官の目が鋭く私を捉えた
「妊娠出来ない伊藤真希は、子供を得るために綿密な計画を立て、妊婦を装ってあなたに近づきました。あなたの子供を誘拐し、自分の子として育てるために」
部屋が凍りついた、私も康夫も一歩も動けなかった
真希ちゃんの笑顔がまるで悪魔の仮面のように脳裏に浮かぶ
彼女は最初から、私のすべてを・・・晴馬を奪うつもりだった、私の親友なんかじゃなかった、彼女は・・・サイコパスだったのだ
細川捜査官の表情がこわばっている、彼女は低い声で言った
「我々は容疑者伊藤真希の恋人、広島にある元海上自衛官で牡蠣養殖職人、小池俊太の家に晴馬ちゃんを連れて身を寄せていると予想しました、広島本庁と連結を取って捜査します、本日6時のニュース報道から公開捜査に入ります」