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放課後、薄暗くなり始めた校舎内には、わずかな人数の生徒たちが残っていた。
大半の生徒はすでに家路についており、廊下には静寂が広がっている。
主人公、坂本翔太もその一人だった。
彼は図書室で遅くまで読書をしていたが、次の授業の準備のために立ち寄っただけで、特に理由があったわけではない。
翔太は内向的な性格で、普段は目立たない存在だった。
クラスメートたちともうまく馴染めず、友人と呼べる相手も少なかった。
だからこそ、彼は放課後の静かな時間が好きだった。
誰にも邪魔されず、自分だけの時間を過ごせる場所がここにはあった。
だが、その日の放課後は、いつもと違っていた。
ふと、校内に妙な違和感を感じた翔太は、教室に戻ろうと廊下を歩いていた。
すると、ポケットの中のスマホが突然振動する。
画面を見ると、見知らぬ番号からのメッセージが表示されていた。
「鬼ごっこを始めます。逃げなければ死にます。」
その一言に、翔太は冗談か何かかと思った。
だが、周囲を見回すと、他の生徒たちも同じようにスマホを確認し、不安そうな表情を浮かべていた。
「何だよ、これ…」
隣にいたクラスメイトの藤井大輝が呟く。
彼はスポーツ万能で、いつも明るい性格だったが、その顔からは余裕が消えていた。
「何かのイタズラだろ?」
と大輝が続けたが、その言葉に誰も答えなかった。
奇妙な沈黙が漂う中、突然、校舎の入口が大きな音を立てて閉まった。
「え?」
翔太は入口の方を振り返り、驚きの声を上げる。
そこには誰もいないはずの場所に、大きな鉄の扉が下りていた。
普通の校舎にはない異常な光景だった。
さらに、窓の外を見ても、外に通じる全ての出口が封鎖されているのが見えた。
「これ…本気で閉じ込められてるのか?」
生徒たちの間にざわめきが広がる。
そして、突然、校内のスピーカーから冷たい声が響いた。
「鬼ごっこを開始します。制限時間内に逃げ切れなければ、命はありません。」
その声はどこか感情のない機械的なものだったが、言葉の内容はあまりにも現実離れしていた。
しかし、次の瞬間、現実がさらに恐ろしい形で彼らに突きつけられる。
廊下の奥から、ゆっくりと誰かが歩いてくる音が聞こえてきた。
その歩調は規則的で、一歩一歩が重い。
生徒たちは一斉にその方向を見た。
そして、廊下の向こうに現れたのは、人間とは思えないほど異形の存在だった。
全身が黒いフードで覆われ、その顔は見えない。
だが、その手には大きな鎌を持っている。
「な…なんだよ、あれ!」
大輝が叫ぶ。
「逃げろ!」
誰かが叫び、全員が一斉に走り出した。
恐怖に駆られた翔太も無意識に足を動かし、教室や階段に向かって逃げ込む。
後ろを振り返ると、その異形の鬼はゆっくりとした足取りながらも、確実に近づいてきていた。
「これ…冗談じゃない…本当に殺される!」
生徒たちは無秩序に逃げ惑い、廊下や教室に散らばっていった。
翔太もなんとか教室の中に逃げ込んだが、心臓はバクバクと鳴り止まない。
窓の外を見ると、夕焼けが暗くなり始め、校内はますます不気味な雰囲気に包まれていく。
「どうする…どうすればいいんだ…」
翔太は必死に考えるが、状況は悪化するばかりだ。
突然、廊下の方で誰かの悲鳴が上がった。
その叫び声はすぐに途切れ、重い物音が響いた。
翔太は思わず息を飲む。誰かが、鬼に捕まったのだ。
「これが現実だっていうのか…」
その瞬間、彼の中で恐怖が現実として形を持ち始めた。
これは単なるゲームではない。
逃げなければ、本当に命を落とすのだ。
はい主です。
学校鬼ごっこどうでしょうか?
これからも投稿を続けるつもりなので頑張ります。
1日1話投稿します。