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はい主です。
本日2話目です。
翔太と美咲は校内の暗い廊下を慎重に進んでいた。
鬼がどこにいるか分からないが、足音や物音一つ一つに彼らの神経は鋭く研ぎ澄まされていた。
「大丈夫、非常階段はもうすぐだ…」
翔太は自分にも言い聞かせるように呟いた。
しかし、その言葉が彼を安心させることはなかった。
先ほどの校内放送とスマホのメッセージが頭の中をぐるぐると回っていた。
残り9人。
あと何人が犠牲になるのか、彼らが生き残れる保証はどこにもない。
美咲も無言で歩いていた。
彼女の表情は青ざめ、恐怖に押しつぶされそうになっているのが明らかだった。
それでも、彼女はなんとか翔太についていくことを選んでいた。
階段の手前までたどり着いた時、遠くから再びあの冷たい足音が聞こえ始めた。
鈍い、ゆっくりとした音だが、確実に彼らに近づいていることがわかる。
「来る…!」
美咲が息を詰めるように囁いた。
翔太は急いで非常階段のドアを押し開けた。
ガチャッと大きな音が響き、二人は慌てて階段を駆け上がる。
上へと続く螺旋状の階段は、暗く狭い。
明かりもなく、足元さえもよく見えない状況だったが、それでも二人は何とか上を目指して走り続けた。
「このまま上まで行けば…!」
翔太は心の中でそう念じながら、一段一段を必死に駆け上がっていた。
だが、彼らが階段の途中に差しかかったその時、不意に上から重い音が響いた。
「上にも…いる…?」
美咲が震える声で言った。
翔太は息を止めた。
確かに階段の上の方からも、何かが降りてくる音が聞こえてくる。
まるで上下から挟み撃ちにされているかのようだった。
二人は一瞬、立ち止まる。
「どうする…翔太?」
美咲が不安そうに顔を上げて聞く。
「行くしかない…!」
翔太は迷いながらも、進むしかないという結論に達した。
鬼が後ろから追ってきている以上、止まるわけにはいかない。
どちらにせよ、ここに立ち止まっていては確実に捕まってしまう。
「走れ!」
翔太はそう叫び、美咲の手を引きながら再び駆け上がり始めた。
上にいるものが何であろうと、進まなければ命はない。
彼らにはその選択肢しか残されていなかった。
階段を上り続ける二人の息が次第に荒くなり、心臓が早鐘を打つように脈打つ。
上からの音はどんどん近づいてきていた。
まるで、すぐそこに迫っているかのような感覚だ。
そして、ついに二人は屋上のドアにたどり着いた。
翔太は急いでドアを開けようとしたが、ドアはびくともしない。
「嘘だろ…!」
翔太は全力でドアを引っ張るが、鍵がかかっているのか、まったく動く気配がない。
その時、下の方からも、上の方からも足音がますます近づいてきた。
二人の周りを包む空気が、まるで命を奪い取るかのように重く圧し掛かってくる。
「どうしよう、どうしよう…!」
美咲はパニックに陥り、恐怖で動けなくなっていた。
翔太もどうすればいいのか分からなかった。
ここで終わるのか?
逃げる場所はもうどこにもない。
そんな絶望が心の奥から沸き上がってくる。
だが、彼の頭に再びある言葉がよぎった。
「過去に逃げ切った人がいる…」
翔太はふと、校内に隠された「出口」の噂を思い出した。
過去にこの学校で鬼ごっこから逃げ切った者がいるという都市伝説。
それが真実なら、どこかに外に出る道があるはずだ。
「美咲! 他に出口があるかもしれない!」
翔太は急いで美咲を振り返り、彼女を励ますように叫んだ。
「このままじゃ捕まる。何か手があるはずだ!」
しかし、その言葉が終わるよりも先に、階段の上からフードをかぶった鬼が現れた。
黒い影がゆっくりと階段を下りてくる。
全身が闇に溶け込むような姿だが、その手には同様に大きな鎌が握られている。
「来た…!」
美咲が恐怖に身を震わせた。
鬼の姿を見た瞬間、翔太は心臓が凍りつくのを感じた。
足がすくみ、動けなくなる。
しかし、ここで立ち止まれば、彼らは終わりだ。
「走れ!」
翔太は無理やり恐怖を振り払い、美咲の手を引いて再び階段を駆け下りた。
下にも鬼がいるかもしれないが、進むしかない。
逃げ続ける以外、彼らに残された道はなかった。
はい主です。
次から忘れないように気をつけます。