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「スコッチ…知ってるわよね?」
「ああ。それが何だ。」
「日本の公安警察からのスパイだったのに、貴方が殺したんですってね。なぜそんな事したの?」
「……」
赤井は、スコッチは自殺したという事実を言おうとしたが、口を閉じた。
「まさか、誰かに頼まれたんじゃないでしょうね? 」
「いや、頼まれてはいない。」
「本当の事を言わないとこっちだって情報提供はしないわよ?」
「…分かった。」
「スコッチは自殺したんだ。俺の目の前で。」
「どういうこと?ちゃんと説明して。」
「2年前、俺はスコッチがNOCだと見破ったが、殺すつもりは無く、俺もFBIからのスパイだと伝えてスコッチを逃がす算段だった。」
「だが、スコッチは俺の拳銃を奪い、心臓に拳銃を構えたからリボルバーのシリンダーを掴み、止めた。」
「その時バーボンが階段を駆け上がる足音が聞こえてきて、その足音に気を取られた俺は手をゆるめてしまい、組織の仲間が来たと勘違いしたスコッチは胸のポケットに入ったスマホごと心臓を撃ち抜き自決したんだ。」
「このことはバーボンにも伝えていない。彼はまだ俺がスコッチを殺したと思っているだろう…。」
「そんな事があったのね…。」
「ああ。このことはバーボンには言わないでくれ。」
「分かったわ。」
「でも、スマホを撃ち抜いたのにどうして組織はスコッチが公安警察だと分かったの?」
「スコッチが死んでから調べが付いたんじゃないのか?」
(確かにその通りだ。スコッチが撃ち抜いたスマホは、穴が空いたただの鉄の板になっていた…スマホがない状態で情報を得ることは容易ではない。あれはスコッチの早とちりではなく、既に公安警察だと知っている人物が本当にいたのか? )
「バーボン…」
「え、何?」
「バーボンがバラしたという線はないか?」
「どういうこと?」
「バーボンはスコッチの家族や周辺が組織に探られてしまう事を考えて、バーボンがスコッチは公安警察だったという情報を入手したという事にして、偽の家族をでっち上げた。という可能性は無いか?」
「確かに、バーボンは今の組織では1番の探り屋だし、バーボンの言うことなら信用してくれるかも。」
「でも、そんなに頭が切れる人だとは思っていなかったわ。」
(だが、バーボンが嘘の情報をでっち上げたとしてもそれをやったのはスコッチが死んでから…)
(なぜスコッチはあの場所にいたのかは分からないままだ…。)