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翌日 16時58分 杯戸港
バーボンが杯戸港に到着した。
外は薄暗く、港は古びていて気味が悪い。
幽霊でも出てきそうな雰囲気だ。
「バーボン」
ジンがバーボンを呼ぶ。
(…!)
「こんな所での任務とは何です?早く教えてくれませんか?」
「そう急かすな、バーボン。おまえに会わせたいやつがいるんだ。」
ジンはスコッチを呼び寄せ、バーボンの目の前にスコッチが現れた。
(ヒロ…!?)
「こいつを見て、思う事は無いか?」
「ありませんね。」
「フッ。一緒に仕事をしてた仲間じゃねぇか。」
「強いて言うなら1つ…何故心臓を撃ち抜かれて生きているのか。という事くらいですね。 」
「赤井のした事だ。馬鹿な小細工でもしたんだろうよ。」
「これからおまえとスコッチは一緒に任務に当たってもらうぜ。 まあせいぜい、昔のことでも思い出しながら後悔するんだな。」
「後悔?そんなものはありませんけど?」
「まあいい。これはラムからの命令だ。逆らうんじゃあねぇぞ。」
「分かりました。」
ーーーーーー
「ところで、何故今スコッチの話をしたんだ?」
「ああ、今日から新しく幹部になった人がスコッチのコードネームを襲名して、2代目スコッチになったのよ。 その流れでベルモットからスコッチの事を聞いたから気になって。」
「でもそのスコッチ、前のスコッチと顔がそっくりらしいわ。ジンはラムからの命令で組織が整形したと言っていたけど。」
「何!?」
「声は元々似ている人を選んだらしいけどね。」
「そこで聞きたいんだけど、組織はスコッチを使って何をしようとしているのか、思い当たる節は無い?」
「…恐らく、バーボンのNOC説を確信にするためだ。」
「バーボンと共に行動をしていた2人がNOCだったんだ。疑われるのも無理はない。」
「… この事、バーボンに伝えた方がいいのかしら?」
「いや、それはやめておいた方がいい…どこでやつらに聞かれているか分からないからな。」
「それにバーボンはスコッチにそっくりな人物が目の前に現れても動揺したりはせんよ。 」
「随分買ってるのね。」
「……」
ーーーーーー
「まあこれから2人で楽しむんだな。俺は先に帰る。」
ジンは2人を置いて杯戸港を後にした。
「…それで?何故貴方は生きているんです?」
「さ、さぁ…オレに聞かれても…」
「まあ…言えない理由は分かりますよ。」
「それは貴方が本人ではな…」
バーボンはスコッチの首を探る。
(…え?)
「もう分かっただろ?オレは本人なんだ… 」
「嘘だ!だってあの時、 お前の心臓は止まっていたんだぞ!」
「オレがここにいることが何よりの証拠だろ?バーボンはオレよりライを信じるのか…?」
「……」
「なら、なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ!」
「それは…ラムからの命令だったから…。」
「え? 」
「ラムは、オレをダシにしてライのNOC疑惑も確かなものにしようとしていたんだけど、あの日オレがライと2人きりになった時、ライはFBIから潜入している赤井秀一だと俺にバラしたんだ。」
「でもそれはオレを油断させるために嘘をついたのかもしれないってことになって、その後ラム自らライの所へ行ってFBIだと確認したようだけどね。」
「なら貴方は、NOCだったと知られていながらここにいるという事ですか。」
「その通り。だけどもう諸伏景光は死んだ事になっているから公安からの情報も入手出来ない。だからオレは、組織に人生を捧げることにしたよ。」
バーボンはスコッチの言葉で気持ちが揺らぎ、組織に引きずり込まれそうになる。
「そういえば、バーボンは今喫茶店でアルバイトしてるんだったよな?」
「ああ。スコッチに料理を教わったおかげで上手くなったんだ。今度来てくれよ…。」
「それは楽しみだ。」