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感動したことでちょっと成長した僕。自分でもわかるんだ。あの日の僕から変わってあんまりだらけなくなった気がする。
テンに連れてこられたのは「だらけ問題児育成寮」だった。そこではたくさんのめんどくさがり屋が集まっていた。大きなピンクのリボンをつけたお嬢様系の女子が僕を見てニコニコしながら
「君、新入りくん?」
と聞いて僕は
「はい。森川 翔太です。よろしくお願いします」
と笑顔で言うと
「私は河水 雫。河水株式会社のお嬢様なの。まっ、そんなことここじゃ関係ないだろうけど。ここで成長できれば能力も使えるからご褒美感覚で頑張りなさい。人のこと言えないけどっ」
と言って近くのノートを手に取った。僕は雫ちゃんが河水株式会社のお嬢様と聞いて驚いた。だって河水株式会社は水を使った技術や雨が降るようなシチュエーションを作り出せる部屋などを作っている大手企業だ。でもこの寮にいるってことは雫ちゃんもめんどくさがり屋なのかな?とりあえず、みんなに挨拶しよう。仲良しそうな男子グループに話しかけてみた。
「あのっ、新しく入った森川 翔太って言います。よろしくお願いします」
男子グループの茶髪の弟系男子が声を弾ませながら
「おおっ!ついに来たかー!僕は佐藤 悠斗!金髪のやつが檜木 栄都。炎の能力で料理してるんだよな。あの植木鉢の植物を観察してる黒髪のやつが植物系の能力を持つ林 華丸。よろしくな!」
僕はこれからこのメンバーと寮で成長するんだ!それぞれの天使猫が特訓を指導するらしい。僕のコーチは三毛猫元気系女子。笑顔で
「翔太くんだよね?私はミケ!一緒に特訓頑張ろー!」
と言われてこれまたかわいい天使猫女子だと思った。ミケは満面の笑みで
「それじゃあ、まずは能力開花目指そっか!」
思わず僕は
「もちろん!」
って答えたけどよく考えたら能力開花はありえないんじゃ?と思ったが返事してしまったのだからやるしかないか。ミケは考えながら
「そうだなぁ、翔太くんは水と草の能力かなぁ」
と言い、いきなり森の中に置いてけぼりにされた。川もある森の中、一人ぼっちで心細かった。狼の遠吠えも聞こえるし、日は沈むし、身の危険しか感じなかった。草の能力と水の能力でなんとか生き延びようと力を入れるが、なんともならない。考え事をしていると目の前の草から突然、虎が出てきて襲いかかろうとしてきた!もうだめだ!そう思い、諦めて目を閉じていたが何秒経っても痛みは感じなかった。ゆっくり目を開けると雫ちゃんが虎を水の能力で閉じ込めていた。栄都も出てきて炎を出しながら「今日の晩飯は虎の丸焼きか」と目を輝かせている。晩御飯の時間、僕はみんなに能力の開花の仕方などを聞いてみた。雫ちゃんは
「ただ力を入れるんじゃなくて強い思いが必要なの。できた時を想像して水が流れる音を想像する。そしたらできるんじゃない?」
と答えた。川に向かって手を前に出し、力を入れて水を操ったときの達成感などを想像した。すると10秒だけ、少しの水が浮かんだ!丸焼きを食べてニコニコしながらもっとできるようになりたいなと思った。毎日、水を浮かせられるように想像して、力を入れるのはとても体力と集中力が必要だった。大変だけどこの森で生き延びるため!道具一つないこの森で一番に大変なのは川の近くにいい洞窟がないことだ。洞窟さえあれば、雨宿りもできる最高の拠点になるがそうなれば、水の問題はどうするべきなんだ?とりあえず、洞窟を見つけてそこから遠い川まで向かってどうやって運ぶのかを考えていると雫ちゃんは大きなペットボトル1本分くらいの水を操った。そしてそのまま運ぼうとしているが、それだけじゃ、少ないだろう。僕もやろうとしたがどうやっても100ミリリットルが限界だ。他の人には洞窟の中に穴を掘ってもらって、そこに水を流し込んだ。僕は移動中にこぼれちゃって50ミリリットルだったけど。食料はきのみとかが主流だが、昨日に食べた虎の丸焼きの味が忘れられず、肉が食べたいという欲望があった。華丸が実のなる木に能力を使って成長させ、木の実を取り、葉っぱも取ってベッドにした。木の実はたくさん集めても一つが小さいので食べてる実感がなさそうだ。一人20個でいろいろなきのみがある。僕はブルーベリーを多めに取ったが知らない沖山ベリーも食べるのは勇気がいる。食べると意外といちごに似た味で美味しかった。全部食べてもやっぱりお腹がまだ空いてる。みんなもそうらしく、木の皮で作った糸と木の棒をくっつけて釣り竿を作った。川で釣りをしているとザリガニやエビがつれた。ザリガニは栄都の炎の能力で焼いた。エビも焼いて串に刺した。味付けがないからなにか物足りないが美味しかった。食料も水問題も解決したと言えるだろう。特訓をしたおかげでコントロールはまだできないけれどある程度は過冷却や凍らせることができるようになった。ただ、困ったことがあって・・・。日常的な驚きにも過冷却が反応してしまうことだ。雫ちゃんはコントロールがほとんどできていて、狩りの時でも上手に使っている。僕もできたらな・・・そう思いながら過冷却の練習をするが逆に水を操れるようになっていた。だんだんと練習するのが馬鹿らしくなってきた。できないことをするのって意味あるのか?時間を無駄にしているのではないか?そう思って練習をある日からやめるとその日からタンが現れるようになり甘えた声で
「ねぇ?やっぱり大変でしょ?ある意味地獄でしょ♡それならもう私の堕天界に行ったほうがいいんじゃない?一緒に行こうよー♡」
疲れた僕にとってはすごく癒しになる。行きたくなる。メロメロになっているとアメがやってきてタンをつまみ上げ、
「誘惑は 絶対やらぬ 約束を したはずだけど 嘘だったかな」
と一句を詠み、僕の方を見て
「誘惑に 打ち勝てるはず メロメロに なっているのは 甘えている」
と睨まれた。その日からなんとか誘惑に打ち勝ちながら練習も再開した。あらためてあの一句がなければ僕は大変な目にあっていたのかもしれないと反省をしたのだった。頭の中でなぜか新しい短歌ばかりが流れる。
「甘えたい そんな気持ちを あらわにし 別にいいじゃん 休憩として」
甘えたい気持ちばかりが短歌になる。短歌が好きなわけでもないのに!目の前に絶対にキュン死させにきている小さな雫ちゃんそっくりがいる。雫そっくりちゃんはニッコリして
「休みたい気持ちはわかるよ!休憩するために誘惑されちゃいたい?私、どんなかわいい女子にでもなれるの!リクエストしてくれればなんでもなるよ♡」
タンそっくりの甘え声とかわいい雫ちゃんが小さくなった姿!休憩としてならいいよね・・・と思ったがブンブンと首を横に振る。昨日の反省はなんだったんだ!もう誘惑には負けない!けど・・・なんだろ・・・。急に眠くなってきた・・・。
気がつけば知らない部屋にいた。その雫そっくりちゃんはニヤリとして
「誘惑に負けない?そんなこと言う悪い子にはトラウマを植え付けなきゃね。この私、変化の悪魔猫のユアを不快な思いにしたこと、後悔なさい!さぁ、シンノア!体も心も乗っ取っちゃいなさい!」
そう言うと殺気がヤバいほど感じるハート型の尻尾を持つ虎が襲いかかってきた。鎖で繋がれているから逃げられない。食われる!目をつぶったがどれだけ経っても痛みは感じない。目を開けるとシンノアが透明になり僕に入ってきている?!まさか本当に体も心も乗っ取られるのか?!気づけば、暗くて狭い牢屋の中にいた。そこに一つ、テレビがあるだけだ。そのテレビには僕の視点が写っている。これが乗っ取られた新しい僕の視点か。もう僕はだめだったんだな。いきなり牢屋の外から誰かが走ってきた。それはアメだった。大声を出して
「牢屋から 逃がすためには 私しか いないでしょうね 安心してね」
といい、指を鳴らすと硬い鉄格子が破壊された。そうか。諦めると何もできなくなるんだ。それにテンたちに出会う前の僕も、この状態と同じだったのかもしれない。諦めない心を持ち、僕を操るシンノアのいる部屋へ向かった。
シンノアのいる部屋に行くとシンノアは不機嫌そうにこっちを見て「ガルルルル!」と威嚇をした。シンノアは魔界の危険生物としても認められるほどで、厳重なセキュリティから脱走した数匹のシンノアは今では地上でも悪さをしているらしい。もう僕は諦めない。もう一度、水を操って過冷却をしてシンノアを倒す!襲いかかってくるシンノアを四角の操った水で捕らえ、過冷却で凍らせて完全に逃げられないようにした。一仕事をしたと休憩しているとアメは驚いて
「いつの間に水の生成ができるように?!」
と思わず大声を出していた。自分でも気づかなかった。戦うことに必死だった。もしかして心の成長で能力の成長もするのかもしれない。