キーンコーンカーンコーン
「じゃ、また明日。仁花ちゃん」
「う、うん。バ、バイバイ、!」
そう言って彼女はさっさと帰ってしまった。
そんなに照れなくてもいいのに、と思いながら僕は体育館に向かう。
仁花ちゃんには部活に入ると決めているからと帰ってもらった。
体育館の近くまで来たときに、ふと横を風が切った。
いや、人が通ったのだ。
「おっ、と」
「ごめん!急いでるから!!」
強い風が吹いたのかと一瞬錯覚するような速さだった。
すごいなと感心していると…
「な、なんで居る!?」
……ここまで響いてくる大きな声。さっきの子だろうか?
しかもなんか言い争ってる?そう思いながら僕も体育館に入る。
するとそこにはもう1人居た。
僕はそいつを見たことがあった。
「……影山くん?」
「?…!!?でかっ!!」
「?なんだお前」
「あ、僕が一方に知ってるだけだよ」
「な、なぁ、お前、何センチあんの、?」
「ん?確か、187だったかな?」
「んな!!」
そんな会話を繰り返していると……
「いや〜〜〜!まさか北川第一のセッターが烏野(ウチ)にねぇ〜〜〜!」
なんて入ってきたのは全身黒の2・3年らしき人たちだった。
……なんか1人ヤンキーみたいな人がいるな
「ちわス!」
「っ、こんにちは!」
第一印象が怖すぎて一瞬反応できなかった。
人が良さそうな感じの2人は親しげにこちらに話しかけてる。
「君も高いな、いくつ?」
「え、えと187です」
……元強豪だから上下関係とかすごいのかと思ってたけど。
結構フランクな先輩が多いんだな。
とか思ってたけど訂正する。このバレー部の先輩は怖い。
特にキャプテンの澤村さんとか怖すぎる。
澤村さんが影山と日向?って子を外を出した後
「あ、あの澤村さん?」
「さ、練習始めんぞ!」
……どうやら本当にあの2人を参加させないみたいだ。
ほんとにいいのかなぁ。
「おい!そこの一年練習すんぞ!」
「は、はい!」
今は考えるのをよしておこう。
この人を怒らせるのは得策ではなさそうだ。
「お疲れ様でした!」
ふぅ、久しぶりのバレーだったけど、まあまあ疲れたかな。
少しもの足りなさを感じながらも僕は自身の片付けを始めた。
「勝負して勝ったら入れてください!!!」
っ!びっくりした。
誰かと思ったら、田中先輩だ。
どうやらあの2人のことを言ってるらしい。
(さすがにあの2人でもそこまではないよな……)
「キャプテン!!!」
………もう、少し慣れた。だが、今の声の主は田中先輩ではないようだった。
おそらくあの2人たろう。
何を言い出すのだろうかと思って聞いていたら……
「勝負させて下さい!」
「おれ達対先輩達とで!!」
……なんか、どっかで聞いたことがあるセリフだな。
俺的にはあいつらに呆れるより澤村さんが怒らないかが心配だった。
(あの2人大丈夫かな……)
「…………ふーーーん…」
「ー丁度良いや」
「お前らと星月の他に数人一年が入る予定だ」
「そいつらと3対3で試合やってもらおうか」
……なぜだか巻き込まれてしまった。
他の人ってどんな人なんだろう。
親しげに話しかけてくれる人だといいな。
なんて考えていると澤村さんが近づいてきた。
「お前も悪かったな、急に巻き込んで」
「あ、いえ、大丈夫ですよ。僕も体が鈍ってたんで、良い機会です。」
「そういえば、お前どこ中だよ?」
「音駒中です」
「音駒!?」
「は、はい」
そういえば、ここと音駒はゴミ捨て場の決戦、てのをやるぐらい好敵手って感じなんだっけ。
「音駒って東京だろ?なんでわざわざ」
………わざわざ、ね。
思い出したくないことまで思い出してしまった。
「そ、そういえば、他の一年って誰なんですか?名前だけでも知っておきたくて」
僕はあからさまに話題をそらした。
もしかしたら、不審に思われたかもしれない。
でも、どうしてもあっちの話はしたくなかった。
「あ、あぁ。2人なんだがーーーってやつとーーーってやつだ」
「………え、?」
その名前を聞いた瞬間、僕は言葉を失った。
それは、もう二度と会うことはないと思っていた幼馴染の名前だった。
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うん良き!