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ありがとうございます🙇🏻♀️ もしネタ切れになった際やヘルプの時、またリクエスト送ってもいいですか? これからも楽しみにしています😊
前回のリクエストに続きまして、逆バージョンも書いてみました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 この日3人はそれぞれ別の仕事が入っていたため、太智と仁人だけリハーサルに参加していた。
 リハーサルが終わる頃には、仁人の顔色が明らかに悪かった。
少し前から咳き込んでいたし、声もかすれていた。でも「大丈夫」って、仁人はいつもどおりの顔をして笑っていた。
 太智は、その「大丈夫」が嘘だって、ちゃんとわかってた。
 
 「じんちゃん、うち来ぃへん? 一人やとしんどいやろ」
 「いや、大丈夫だよ。ちょっと休めば……」
 「ほら、またそれや。大丈夫やない顔してるで」
 
 結局、太智の押しに負ける形で、仁人は太智の部屋に転がり込んだ。
ベッドに横たわった仁人の頬はうっすら赤く、額には熱がこもっている。
 「熱あるやん……」
 「うん、ちょっとだけ。風邪、だと思う」
 「じんちゃん、いつも無理するからや。もう……なんで言わんのよ」
 太智は冷えピタを貼って、ポカリを飲ませて、顔を拭いて……
 器用じゃないかもしれへんけど、できることを全部したかった。
 
 「……太智」
 「なに?」
 「ありがとう、な」
 「……っ、そんなんええねん。俺は、じんちゃんがおらんと困るねんから」
 
 仁人が少しだけ笑った。
 「なぁ、じんちゃん。がまんせんでええんやで? しんどいときは、ちゃんと頼ってや」
 「……うん」
 「俺、ずっとじんちゃんのそば、おるからな」
 
 仁人の手が、弱々しく太智の袖を握る。
 「……なんかさ、太智に甘えるの、ちょっと悔しいけど、でも……ほっとする」
 「ふふっ。そやろ? 俺、けっこう頼りになるんやで」
 「うん……ありがとう。太智が、いてくれてよかった」
 
 ゆっくり閉じていく仁人の目元は、どこか安心したように見えた。
太智はその手をぎゅっと握り返す。
 
 「じんちゃん、よう頑張ったな。……おやすみ。ちゃんと休みや」