あぁ、眠い。
そしてとりあえずは、酒が飲みたい。乾いた喉が、慣れない教室の温度でごくりと鳴る。
別にここは寒くないから、特に飲む必要などない。だけど癖になっているんだろう。
依存。
暗闇、氷、雪の中の。
少なくとも、ロシアの奴よりかはましだと思う。まぁでも自分でも、俺はだめだとわかってる。
心のどこかで認めたくない。忘れたい。寒い。
多分酒は、そんなの気持ちごとかき消して、全てを夢の中に押し込んでしまうのだろう。
吐きそうだった。頭も痛い。それを流してしまうほどの眠気が、今は恐ろしい。
やめよう。
やめよう。
やめてしまおう。
むり。
むりなんだ。
俺は、
世界一幸せな国。
今日も、多分それに縛られて、意味もよくわからないまま心の中でそれをつぶやき続けるんだろう。
……幸せって、なんだっけ?
北欧諸国。言わずと知れた、十字国旗の国々である。
その歴史には色々あるが、ともかく、あのあたりはすでに、こんな学校側の配慮など必要ないほどに、親交があった。雪と氷で覆われ、凍えてしまう寒さの中、孤立を選ぶのは愚策だったのだ。
当然のように、教室の一部分でまとまった彼らは、気ままに過ごしていた。
例えば、他の国とおしゃべりしていたり。
例えば、ボーッとどこか別の方向を向いていたり。
例えば、眠そうに欠伸をしていたり。
そんな中で、一際目立つ存在があった。
青と白基調の暖かそうな服に身を包み、帽子もかぶり、鋭い視線を教室中に向けている。
瞳の奥には何も映らず、虚ろのようだ。それがどことなく不気味で、不思議な魅力でもあった。
だが、彼を目立たせたのはそれだけではなく、一番の要因は、背負っている、大きく立派なスナイパーライフルだった。
ぎらぎらと光るそれは、周りを威嚇しているようにも見える。
青と白の十字国旗の国、名はフィンランドといった。
そして彼は、虚空の最中にいた。
何にも興味を感じない。感覚が戻らない。寒さから抜け出しても、孤独でなくても、自我があるはずでも。
消毒、縫合、隠蔽。ただひたすらに繰り返す。
フィンランド(……こんな毎日に、なんの意味が?)
ふとそんな考えもよぎって、慌てて首を振る。俺は幸せなはずなんだ、と、つぶやく。
自分が何を求めているのかわからない。1人が怖いのかわからない。寒さに身を支配されている。
フィンランド「……ぅ、」
微かな吐き気と眩暈。頭が痛い。逃避し続けた自分への罰だってことなんて、わかっている。
助けてほしかった。
意味もなく涙が出そうだった。でも実際のところ、涙なんて出なかった。原因も、わからないまま、フィンランドは感情を出せなくなっていた。
視線を上げた。意図はなかった。ひたすら、気を紛らわせたかった。
フィンランド「……、?」
横顔が目に入った。端正な顔立ちをしていた。光を反射したまつ毛は、どこか神秘的に見えた。
折れそうなほどにすらりとのびた手足は、綺麗だった。目の下の隈も、淡白なジャージ姿も、ちょっと困ったような笑みも。
追い詰められて崩れかけたフィンランドの心には、目には、思考には、
「芸術作品」のように輝いて見えた。
フィンランド(……てん、し?)
教室の窓から差し込む光が翼のように彼を包んでいた。そう、大国に囲まれる一輪の花のような––––日本を。
フィンランドはサッと彼から目を逸らした。
咄嗟に頬を触る。熱い。赤くなって、周囲にバレていないか心配になるほどに。
フィンランド(は……? え、なに……っ)
見たことない。あんな綺麗な存在を。
もう一度、視線をあげてみる。彼と目が合う、なんてことはない。
だけど、眺めていると、ちょっとだけ苦痛を忘れた。楽になれた。自分の汚れた心が浄化されていくようだった。
何にも向かなかったフィンランドの心に、一つの”興味”が芽生えた瞬間だった。
更新が死ぬほど遅くなってすみません!!少し忙しくてですね…💦
投稿頻度はもう気まぐれですが、それでもいいというお優しい方は続きを待っていてくださると幸いです!!
あと、リクエストもまだ募集してますよ〜✨ 現時点でヤンデレ化する予定の国は、
日帝、アメリカ、中国、カナダ、ナチ、イタ王、ロシア、韓国、北朝鮮、イギリス、パラオ、フィンランド、ソ連、ドイツ、海、空
です!!この中にいなくて、ヤンデレ化させたい国がいましたらお気軽にコメントへ…!マルチエンディングが始まるともう追加不可なので!
それではまた次回🙌
コメント
3件
イタリア追加って出来ますか?
スウェーデン追加できますか?🇸🇪
フランスさんとか……どうでしょうか?