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夜更け。𓏸𓏸の荒い息遣いが、静かな部屋に響いていた。
涼ちゃんは、ベッドの上で𓏸𓏸の横顔をじっと見つめていた。
そのまま、恐る恐る手を伸ばし、𓏸𓏸の額にそっと自分の手のひらを当ててみる。
熱かった。
でも、その温もりもどこか心細く思えた。
𓏸𓏸は目を閉じていたが、
涼ちゃんの手に触れた瞬間、心の奥が小さく弾けた。
(……ああ、涼ちゃん、ちゃんと見てくれてるんだ)
それだけで胸の奥がふっと軽くなった。
表情には出さないけれど、とても嬉しくて、安心する気持ちがじんわり広がっていった。
(……ありがとう、涼ちゃん)
眠気と熱にまかせて、そのまま𓏸𓏸は静かに眠りについた。
涼ちゃんは、そんな𓏸𓏸の寝顔をしばらく見つめていた。
やがてゆっくりと立ち上がり、窓のそばまで歩いて行く。
外は深い闇に包まれて、静けさだけが漂っている。
星も見えない夜空――
その向こうに、何があるのかは分からない。
けれど、今だけは、
風に揺れるカーテンの音と、
𓏸𓏸の穏やかな寝息が、
涼ちゃんの心に静かに染み込んでいた。
どこか遠くを見ているようなまなざしで、
涼ちゃんはただ、窓の外を見つめ続けていた。